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気動車の車庫やアーケード商店街は防火対象物として何項に該当するか|特殊な建物の判定事例5選

気動車の車庫、アーケードでつながる商店街、一部だけ指定された重要文化財の建物。
昭和40年代の複数の通達が、それぞれ異なる建物の実態を防火対象物としてどう扱うかを示しています。
建物の見た目や名前は様々でも、問われているのは同じことです。
判定の決め手は権原の及ぶ範囲と実際の使われ方です。

気動車の車庫って、車庫としか思ってなかったんですけど防火対象物になるんですか。

実は使われ方を見ると答えが出ます。

アーケードでつながった商店街は1棟として扱われるんですか。

それも含めて5つの実例を順に見ていきます。

この記事の結論
  • 気動車の車庫や整備を行う建物は令別表第1(12)項イの作業場に該当します
  • アーケードで接続された商店街は棟ごとに個別の防火対象物として規制されます
  • 一部だけ重要文化財に指定された建物は指定部分以外も(17)項に含めて運用されます
  • 穀物乾燥設備(カントリーエレベーター)は令別表第1(14)項に該当します
  • 壁のない作業用の建物は(15)項に該当し自動火災報知設備の設置が必要です

気動車の車庫や整備を行う建物は防火対象物として何項になるか

気動車を収容し車体の修繕及び検査を行う車庫と機械職場を含む建物が消防法施行令別表第1(12)項イの作業場に該当することを示したイメージ
鉄道の車両基地に建てられる車庫は、何項の防火対象物になるのでしょうか。
車体の修繕や検査という作業実態が判断の決め手になります。
問 国鉄の気動車基地内に、機械職場及び充電室を1階とし、詰所、事務室等を含む3階建物1棟とその横に車庫2棟が建設される。車庫においては、車体の修繕及び検査を行なわれることとなるが、(1)この建物は防火対象物に該当するか、(2)防火対象物であれば消防法施行令第6条にかかる別表第1のいずれに該当するか、について御教示願いたい
答 設問の建築物は、消防法施行令別表第1(12)項イの作業場に該当するものと解する。
車体の修繕と検査を行う場所は作業場です
詰所や事務室を含む3階建ての本体建物と、車体の修繕・検査を行う車庫が一体の施設として計画されていますが、令別表第1(12)項イの作業場に該当すると整理されました。乗り物を保管するだけの車庫ではなく、修繕・検査という作業が行われる場所だという実態が判断の軸になっています。
車両や機械の修繕・検査を行う建物を管理しているなら、単なる保管施設と思い込まず、作業実態から令別表第1のどの項にあたるかを確認してください。

車庫という名前だけでは判断できないんですね。

作業の実態から確認してください

アーケードでつながった商店街は1棟とみなされるか

木造アーケードで接続された数棟の店舗建築物は各店舗が個人所有であってもアーケードの接続を考慮せず棟ごとに別々の防火対象物として規制されることを示したイメージ
渡り廊下でつながる建物は1棟とみなされる場合があります。
では、屋根だけのアーケードでつながる商店街はどうなるのでしょうか。
問 終戦直後の資材不足の折、商店街として建築された木造の大建築物数棟が、商業政策上内部に設けられていた通路上に木造アーケードを設置したことで、あたかも一体構造の建築物のような観を呈している。建築後まもなく各入店者に分譲されたため、権原の及ぶ範囲は店舗ごとに分割されている。消防法第8条及び第17条の規定の適用について、(1)各店舗の所有権が異なっても木造一体の現状から政令別表第1第4項該当対象物として取扱うべきか、(2)各店舗が個人所有(権原の及ぶ範囲が当該部分のみ)であるため上記関係規定の適用対象にならないと解すべきか、いずれをとるべきか
答 設問の事実関係が明確でないが、消防法第8条又は第17条の規定の適用における防火対象物の棟数の算定においては、アーケードによる接続の有無を考慮する必要はない。従って、個々の棟の防火対象物として規制することとされたい。
アーケードでつながっていても棟は別々です
渡り廊下で接続された建物は一棟とみなされる場合がありますが、商店街のアーケードは同じ扱いにはなりません。各店舗の所有権が分譲によって分かれている以上、見た目が一体の建築物のように連なっていても、棟の数はアーケードの接続を考慮せずに算定されます。
アーケードで連なる商店街に店舗を構えているなら、隣の店舗と一体の防火対象物として扱われるという思い込みを外し、自分の店舗単位で消防法第8条・第17条の義務を確認してください。

渡り廊下とアーケードで扱いが逆になるんですね。

自分の店舗単位で
義務を確認してください

一部だけ重要文化財に指定された建物はどう扱われるか

渡り廊下で接続された本堂書院庫裡のうち本堂のみが重要文化財に指定されている場合でも指定部分以外を含めて建物全体が消防法施行令別表第1(17)項の防火対象物として運用されることを示したイメージ
書院に付属する茶室だけが重要文化財に指定されている、という建物があります。
指定されていない部分は(17)項の防火対象物から外れるのでしょうか。
問 防火対象物の一部分(例えば書院に付属する茶室のみ、個人の住居に付属する茶室のみ、又は渡り廊下で接続された本堂・書院・庫裡のうち本堂のみ)が消防法施行令別表第1(17)項の防火対象物に該当する場合は、当該防火対象物全体を(17)項防火対象物とみなし同施行令第21条の規定を適用してさしつかえないか
答 設問については、重要文化財として指定された部分以外は(17)項の防火対象物とは解しがたいが、この規定の趣旨から、指定された部分以外の部分も(17)項に含めて運用することが適当である
指定されていない部分も(17)項に含めて運用します
文言どおりに読めば、重要文化財として指定された部分だけが(17)項の防火対象物ということになりそうですが、それでは規制の実効性が保てません。そこで規定の趣旨に立ち返り、住居や書院など指定されていない部分も含めて建物全体を(17)項として運用することが適当だと整理されました。
史跡・重要文化財の一部だけが指定されている建物を管理しているなら、指定範囲の外だからといって対象外にはならないことを前提に確認してください。

指定されていない部分は対象外だと思っていました。

建物全体を
(17)項に含めて確認してください

穀物乾燥設備(カントリーエレベーター)は何項に該当するか

収穫した穀物を乾燥しサイロに貯蔵する地上6階建てのカントリーエレベーターが消防法施行令別表第1(14)項の倉庫に該当することを示したイメージ
穀物を乾燥させてサイロに貯蔵する、背の高い施設があります。
倉庫なのか、それとも前各項に該当しない事業所なのか、判断が分かれそうな設備です。
問 穀物乾燥設備(カントリーエレベーター)は、建坪716.055平方メートル(延べ814.129平方メートル)、地上6階、構造は鉄骨一部鉄筋コンクリートで、収穫した不乾燥の粒を乾燥設備により完全に乾燥し、貯蔵量2,000トンのサイロに貯蔵する。必要に応じ籾摺りし玄米として出荷する。これは消防法施行令別表第1(14)項の倉庫と(15)項の前各項に該当しない事業所のいずれに該当するか
答 設問の防火対象物は、消防法施行令別表第1(14)項に掲げる防火対象物に該当する。
乾燥と貯蔵をあわせ持つ施設は倉庫です
籾摺りという加工の工程を含んでいても、この施設の主目的は穀物の乾燥と貯蔵にあり、令別表第1(14)項の倉庫に整理されました。地上6階という規模の大きさや加工工程の有無ではなく、貯蔵という機能が判断の軸になっています。
穀物や資材の乾燥・貯蔵設備を計画しているなら、加工工程が一部含まれているという理由だけで事業所扱いになると考えず、施設全体の主目的から令別表第1の項を確認してください。

籾摺りもするから事業所かと思いました。

主目的から確認してください

壁のない作業用の建物は何項に該当するか

鉄骨屋根スレート葺で壁のない24時間稼働の荷捌き用建物が消防法施行令別表第1(15)項に該当し感知器を屋外の気流が流通しない場所に設置する必要があることを示したイメージ
庇の下り壁以外に壁がない、荷捌き用の建物があります。
壁がないことは、消防用設備等の設置義務を免除する理由になるのでしょうか。
問 建築予定の建物は鉄骨屋根スレート葺の平家(面積3,270平方メートル、増築)で、既存の耐火構造事務所(建築面積504平方メートル、延1,237平方メートル)に接続する。最高の高さ7.6メートル、庇部分に80センチメートルの下り壁があるほかは壁がなく、24時間荷物の発着のための作業をしている。(1)当該対象物は施行令別表第1のどこに分類すべきか、(2)自動火災報知設備の設置は必要か、必要であればどのような基準にするか、不要であればその理由は何か
答 消防法施行令別表第1(15)項に掲げる防火対象物に該当する。自動火災報知設備の設置は必要である。感知器は、上屋、庇部分その他外部の気流が流通する場所以外の場所に設置しなければならない。
壁がなくても設置義務はなくなりません
下り壁を除けば壁のない開放的な建物ですが、令別表第1(15)項に該当し、自動火災報知設備の設置は必要と判断されました。ただし感知器をどこにでも設置してよいわけではなく、上屋や庇部分など外部の気流が流通する場所を避けて設置することが求められています。
壁のない荷捌き場や作業場を計画しているなら、壁がないことを理由に設置を省略できると考えず、感知器の設置場所まで含めて確認してください。

壁がないなら設置しなくていいと思っていました。

感知器の
設置場所まで確認してください

よくある質問

Qアーケードでつながった商店街は必ず別々の防火対象物になりますか?
A回答はアーケードによる接続の有無を考慮する必要はないとし、個々の棟の防火対象物として規制するとしています。渡り廊下でつながる場合とは扱いが異なります。
Q重要文化財の指定を受けていない部分は消防用設備等の対象外になりますか?
A回答は指定された部分以外も(17)項に含めて運用することが適当としています。指定の有無だけで対象外にはなりません。
Q気動車の車庫はなぜ(12)項イの作業場になるのですか?
A車体の修繕及び検査という作業実態から(12)項イの作業場に該当すると判断されています。
Q壁のない建物には自動火災報知設備を設置しなくてよいのですか?
A回答は設置が必要としたうえで、感知器は外部の気流が流通する場所以外に設置するとしています。壁がないことは免除の理由になりません。

まとめ

気動車の車庫や整備を行う建物は令別表第1(12)項イの作業場に該当します
アーケードで接続された商店街は棟ごとに個別の防火対象物として規制されます
一部だけ重要文化財に指定された建物は指定部分以外も(17)項に含めて運用されます
穀物乾燥設備(カントリーエレベーター)は令別表第1(14)項に該当します
壁のない作業用の建物は(15)項に該当し自動火災報知設備の設置が必要です
共通するのは建物の名前ではなく実態と権原の及ぶ範囲で判断することです
用途や構造が特殊な建物を管理しているなら、まず実態を整理してから所轄消防署に確認してください

建物の名前じゃなくて、実際にどう使われているかを見るんですね。
勉強になりました。

権原の及ぶ範囲と実際の使われ方。
この2つを確認してください
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参考・出典

  • 気動車の車庫等の建物の用途について(昭和41年7月11日 自消丙予発第79号 予防課長から岐阜県総務部長あて回答)
  • 防火対象物の棟の解釈及び消防用設備等の技術上の疑義について(昭和41年8月27日 自消丙予発第114号 消防庁予防課長から福岡県民生部長あて回答)
  • 消防法施行令別表第1(17)項の防火対象物の解釈について(昭和42年8月3日 自消丙予発第61号 予防課長から京都市消防局長あて回答)
  • 穀物乾燥設備(カントリーエレベーター)は消防法施行令別表第1に掲げる防火対象物のいずれに該当するか(昭和47年10月30日 消防予第152号 予防課長から香川県あて回答)
  • 建築予定建物の防火対象物としての分類及び消防用設備に関する疑義について(昭和47年10月30日 消防予第153号 予防課長から長野県あて回答)
  • 消防法施行令別表第1
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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