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学習塾や予備校は消防法上の学校に当たるのか|各種学校の認可の有無で変わる収容人員の数え方を解説

学習塾は各種学校の認可で扱いが変わるのかを紹介するアイキャッチ画像

「学習塾」「予備校」という名前だけでは、消防法上の分類は決まりません。
消防法施行令別表第一(7)項の「学校」に当たるのか、それとも(15)項の「前各項に該当しない事業場」に区分されるのかで、収容人員の数え方が変わります。
分かれ目は生徒の人数でも教室の広さでもなく、各種学校としての認可を受けているかどうかです。
認可の有無を確かめないまま防火管理者の要否を判断すると、収容人員の数え方を取り違えることがあります

うちは学習塾を経営していますが、消防法上は学校として扱われるのでしょうか。

そこはよく誤解されるところです。
都道府県知事等の認可を受けた各種学校でなければ、(7)項の学校には入りません

認可は受けていません。生徒数だけで判断できないのですね。

その場合は(15)項の事業場として扱われ、収容人員の数え方そのものが変わります。
条文を順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 消防法施行令別表第一(7)項の「学校」は、学校教育法上の正規の学校・専修学校・各種学校に限られます
  • 各種学校になるには都道府県知事等の認可(学校教育法第134条)が必要で、認可のない学習塾や予備校、企業の研修所はここに入りません
  • (7)項に入らない教育・研修施設は、消去法で(15)項「前各項に該当しない事業場」に区分されます
  • 収容人員の算定方法は(7)項と(15)項で異なり、(7)項は人数を直接数え、(15)項は床面積で人数を推計します
  • どちらの区分でも収容人員50人以上で防火管理者の選任義務が生じるため、数え方の違いが判定を左右します

学習塾が(7)項の学校か(15)項の事業場かを認可の有無で見分ける図解

学習塾や予備校は消防法上の学校に当たるのか

学校の校舎と学習塾の店舗を虫眼鏡で見比べているイメージ
「学校」という言葉は日常でも広く使われますが、消防法上の(7)項はもっと狭い範囲を指しています。
まずは条文そのものを確認します。
消防法施行令別表第一(7) 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校その他これらに類するもの
(7)項は正規の学校に加えて、専修学校と各種学校という2つの区分まで並べた閉じたリストです
リストにあるのは学校教育法が定める正規の学校のほか、専修学校各種学校という2種類の教育施設だけです。「その他これらに類するもの」という表現はありますが、これは正規の学校に類する法的な位置づけを持つ施設を指すもので、名称や実態が学校らしいというだけでは足りません。
学習塾や予備校、企業の研修所がこのリストに直接入っていない以上、そのままでは(7)項に区分されないということになります。
次の章で、専修学校・各種学校になるための条件を確認します。

「学校」と名乗っていれば(7)項になる、というわけではないのですね。

そのとおりです。
条文が指す法的な区分に当たるかどうかで決まります。

どんな施設なら各種学校として(7)項に入るのか

都道府県知事の認可証を受け取っている施設のイメージ
各種学校という区分は、学校教育法にはっきりと定義があります。
中身を見ると、単に教育を行っているだけでは足りないことが分かります。
学校教育法第134条第1項 第1条に掲げるもの以外のもので、学校教育に類する教育を行うもの(当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるもの及び第124条に規定する専修学校の教育を行うものを除く。)は、各種学校とする
各種学校になるには、都道府県知事等の認可を受ける必要があります
第134条第2項が学校の設置認可を定める第4条を各種学校にも準用しており、市町村や個人が各種学校を設置する場合は都道府県の教育委員会又は都道府県知事の認可が必要です。認可を受けた美容学校・調理学校・専門学校などは、この手続きを経て初めて(7)項の各種学校になります。
専修学校(第124条)も同様に、修業年限1年以上などの要件を満たした組織的な教育を行う施設として別途定義されており、名乗るだけでなれるものではありません。
逆に言えば、この認可を受けていない学習塾・予備校・企業の研修所は、いくら学校らしい実態があっても各種学校にも専修学校にもならず、(7)項には入りません。

教育の中身ではなく、認可という手続きの有無で決まるのですね。

そうです。
まずは認可書類の有無を確認してください。

認可のない学習塾は収容人員をどう数えるのか

学習塾の教室とオフィスビルが同じ区分になることを示したイメージ
各種学校の認可を受けていない施設は、令別表第一のどこにも直接は当てはまりません。
このときに働く受け皿と、そこでの数え方を確認します。
消防法施行令別表第一(15) 前各項に該当しない事業場
消防法施行規則第1条の3 令別表第一(15)項に掲げる防火対象物 従業者の数と、主として従業者以外の者の使用に供する部分の床面積を3平方メートルで除して得た数とを合算して算定する
(15)項は消去法の受け皿であり、収容人員も生徒の実人数ではなく床面積から推計します
認可のない学習塾・予備校・企業の研修所は、(1)項から(14)項までのどの用途にも直接該当しないため、事務所やオフィスビルと同じ(15)項の事業場として扱われます。
その上で収容人員を数えるときも、生徒を1人ずつ数える(7)項の方法とは違い、教室など生徒が使う部分の床面積を3平方メートルで割った数を従業者数に足して算定します。実際の在籍者数や同時受講人数とは一致しません。
同じような教室・同じような人数でも、区分が違うだけで収容人員の出し方がまったく別物になるということです。

学習塾が事務所ビルと同じ区分で、しかも教室の広さで人数を出すことになるのですね。

そうなります。
次の章でこの違いが防火管理者の要否にどう響くかを見てみましょう。

数え方の違いが防火管理者の要否をどう左右するのか

生徒を1人ずつ数える方法と教室の床面積を測る方法を並べたイメージ
数え方が違っても、防火管理者を選任すべきかどうかの基準そのものは共通です。
落とし穴は、基準ではなく数え方のほうにあります。
消防法施行令第1条の2第3項第1号ハ 別表第一(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ及び(17)項に掲げる防火対象物で、収容人員が50人以上のもの
(7)項も(15)項も、防火管理者が必要になる収容人員の基準は同じ50人以上です
基準の数字は共通でも、そこに至る収容人員の出し方が違うため、同じ生徒数でも判定結果が変わることがあります。教室の床面積が広く生徒の入れ替わりが多い学習塾では、(15)項の面積按分の計算のほうが実際の同時在室人数より多く出ることもあれば、逆に少なく出ることもあります。
自分の施設が(7)項の各種学校なのか(15)項の事業場なのかを取り違えたまま収容人員を計算すると、本来必要な防火管理者の選任が漏れる、あるいは不要な選任をしてしまうおそれがあります。
教室の床面積と認可の有無は、どちらか一方だけでは判断材料になりません。次の章で確認の手順を整理します。

基準の50人という数字だけを見ていても、見落とすことがあるのですね。

はい。
区分を先に確定させてから、数え方を選ぶ順番が大切です。

学習塾や研修施設の運営者は明日から何を確認すればよいか

チェックリストと電話で所轄消防署に確認する担当者のイメージ
区分の判定は、認可の有無という1点から始まります。
確認の順番を整理しておきます。
  • 自分の施設が各種学校又は専修学校としての認可を受けているかを、認可書類で確認する
  • 認可があれば(7)項として、教職員数+児童・生徒・学生数で収容人員を数える
  • 認可がなければ(15)項として、従業者数+従業者以外が使う部分の床面積÷3㎡で数える
  • 算定結果が50人前後になる場合は、自己判断せず所轄消防署に確認する
  • 教室を増床・移転するなど床面積が変わるたびに、収容人員を計算し直す
区分と数え方は、名称やイメージではなく認可書類という客観的な証拠で確認できます
複数の教室を抱えるフランチャイズ形式の学習塾では、教室ごとに認可の有無や床面積が異なることもあるため、拠点ごとに個別の確認が必要です。
所轄消防署では、用途区分や収容人員の算定方法についての相談も受け付けています。判定に迷う場合は、計算結果を持参して一度問い合わせてみてください。

まずは認可書類の有無を確認するところから始めればよいのですね。

そのとおりです。
そこが決まれば、あとは正しい算定式を選ぶだけです。

よくある質問

Q大学受験の予備校も認可を受ければ(7)項になりますか?
A学校教育法第134条が定める各種学校としての認可を都道府県知事等から受けていれば、消防法施行令別表第一(7)項に区分されます。認可を受けていない予備校は、この記事で説明したとおり(15)項の事業場として扱われます。
Q企業の研修所や社内スクールも(15)項になりますか?
Aはい。企業の研修所は各種学校や専修学校としての認可を受けていない限り、消防法施行令別表第一(1)項から(14)項までのいずれにも該当しないため、(15)項「前各項に該当しない事業場」として扱われます。
Q認可を受けているかどうかはどこで確認できますか?
A各種学校の設置認可は都道府県の教育委員会又は都道府県知事が行います。設置時に交付される認可書のほか、認可を行った都道府県の担当窓口に照会することでも確認できます。
Q(15)項の床面積按分で人数がちょうど50人になった場合はどうすればよいですか?
A消防法施行令第1条の2第3項第1号ハは「収容人員が50人以上」と定めており、ちょうど50人でも選任義務の対象に含まれます。端数処理を含めた具体的な計算結果は、所轄消防署に確認することをおすすめします。

まとめ

消防法施行令別表第一(7)項の「学校」は、正規の学校・専修学校・各種学校に限られる閉じたリストです
各種学校になるには都道府県知事等の認可(学校教育法第134条)が必要です
認可のない学習塾・予備校・研修所は、消去法で(15)項の事業場に区分されます
(7)項は人数を直接合算し、(15)項は床面積を3㎡で割って人数を推計します
防火管理者の選任基準は(7)項・(15)項とも収容人員50人以上で共通です
基準は同じでも数え方が違うため、区分の取り違えが判定ミスに直結します
認可書類の有無を最初に確認し、迷えば所轄消防署に相談しましょう

認可の有無を確認するところから始めます。
数え方も間違えないようにします。

認可の確認、算定式の選択、所轄消防署への相談。
この3つを押さえれば実務は形になります
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参考・出典

  • 消防法施行令別表第一(7)項・(15)項
  • 消防法施行令第1条の2第3項第1号ハ
  • 消防法施行規則第1条の3
  • 学校教育法第1条・第124条・第134条
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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