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自衛消防組織の班長にも講習は要るのか|統括管理者の直近下位を統括する者への教育を解説

自衛消防組織の班長にも講習は要るのかというタイトルと研修室の写真を組み合わせたアイキャッチ

大きな建物の自衛消防組織では、初期消火や避難誘導といった業務ごとに班を置いているところが多くあります。
その班をまとめる人を誰にするかまでは決めたものの、そこから先で手が止まるという相談をよく受けます。
統括管理者に講習が要ることは知られていますが、その下の班長にも決まりが置かれています。
この記事では自衛消防組織の班長にどんな教育が求められているのかを整理します

統括管理者は講習を受けさせました。
班をまとめる人までは何もしていません。

そこは見落とされがちです。
班長への教育の方法は告示で決められています。

社内で勉強会を開けば足りると思っていました。

班長は例外です。
原則として自衛消防業務講習を受けさせることになっています。

この記事の結論
  • 班長という言葉は消防庁の告示の中で定義されています
  • 統括管理者の直近下位の内部組織を統括する者が班長にあたります
  • 班長への教育は自衛消防業務講習を受けさせることにより行います
  • 消防職員や消防団員の経歴がある班長は消防計画に定めるところにより教育します
  • 要員に対する教育及び訓練は消防計画に定める事項とされています

直近下位の四つの班と班をまとめる者が班長で講習を受けさせて教育し消防計画にも書き残すという流れを並べた図解

自衛消防組織の班長とは誰のことなのか

左の高い台に立つ人と右に並ぶ四つの台に一人ずつ立つ人を描いたイラスト
はじめに、班長という言葉がどこで決められているのかを確かめます。
社内の呼び名だと思われがちですが、消防庁の告示に定義が置かれています。
平成20年消防庁告示第13号 消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号。以下「規則」という。)第四条の二の十第四項の規定に基づき、自衛消防組織の要員に対する教育に関する事項のうち、統括管理者の直近下位の内部組織で規則第四条の二の十一各号に掲げる業務を分掌するものを統括する者(以下「班長」という。)に対するものは次のとおりとする。
班長は法令の言葉です
定義の骨は二つで、一つは統括管理者の直近下位であること、もう一つは規則第4条の2の11各号の業務を分掌する組織を統括していることです。
その各号とは、初期消火/情報の収集及び伝達並びに設備の監視/避難誘導/救出及び救護の四つの業務を指します。
つまり初期消火班・通報連絡班・避難誘導班・救護班といった班をまとめている人が、そのまま班長にあたります。
まずは自分の建物の編成表を開いて、統括管理者のすぐ下にいくつの班があり、それぞれ誰がまとめているのかを書き出してください。

うちは班長ではなくリーダーと呼んでいます。
それでも同じ扱いになるのでしょうか。

呼び名は問われていません。
統括している立場かどうかで判断してください。

班長への教育は誰がどこで決めているのか

左の机に開いたバインダーと人が立ち中央の横棒の先に書類を載せた高い台があるイラスト
次に、教育の決まりがどう組み立てられているのかを見ます。
要員全体の話と班長だけの話が、同じ条文の中で分かれています。
消防法施行規則第4条の2の10 第1項 (略) 二 自衛消防組織の要員に対する教育及び訓練に関すること。 第4項 第一項第二号に掲げる自衛消防組織の要員に対する教育に関する事項のうち、統括管理者の直近下位の内部組織で次条各号に掲げる業務を分掌するものを統括する者に対するものについては、消防庁長官の定めるところによる
要員の教育は消防計画で決め班長の教育は告示で決まります
第一項第二号のとおり、要員に対する教育及び訓練は消防計画に定める事項です。
そこまでは建物ごとに中身を決めてよいことになっています。
ところが第四項が、そのうち班長に対する部分だけを切り出して消防庁長官の定めに預けています。
だから班長の教育は、消防計画に何と書くかを考える前に告示の中身を確かめる順序になります。

要員の教育は自由に決めてよいと思い込んでいました。

大部分はそのとおりです。
班長のところだけ別扱いになっていると覚えてください。

班長にはどんな教育をしなければならないのか

左の大きな白い板の横に立つ人と右に並ぶ三つの机に座る人と書棚を描いたイラスト
ここがこの記事のいちばん大事なところです。
告示は教育の方法を一つに絞って書いています。
平成20年消防庁告示第13号 一 班長(次号に掲げる者を除く。)に対する教育は、消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第四条の二の八第三項第一号に規定する自衛消防組織の業務に関する講習を受けさせることにより行うものとする。
班長の教育は講習を受けさせることによって行います
ここでいう講習は、統括管理者になるために修了が求められているものと同じ自衛消防業務講習です。
社内の勉強会や訓練で置き換えてよいとは書かれていないので、その形で済ませることはできません。
講習の中身は消防法施行規則第4条の2の14に定めがあり、新規講習はおおむね12時間で、防火管理及び防災管理に関する一般知識/自衛消防組織並びにその統括管理者及び要員の役割と責任/防災設備等に関する知識とその取扱い訓練/災害時における対応に係る総合訓練の四つを学びます。
自分の建物の班長がこの修了証を持っているかどうかを、今週のうちに確かめてください。

統括管理者と同じ講習だったのですね。
班長の人数ぶん受けさせると日程が大変です。

だからこそ年度の初めに枠を押さえておきます。
異動で班長が替わる時期も見込んでおいてください。

講習を受けさせなくてよい班長はいるのか

左でカードを持つ制帽の人と机の上のバインダーと右の平屋の建物へ歩く人を描いたイラスト
実務で見落としやすいのが、この例外の読み方です。
告示の第一号は「次号に掲げる者を除く」と断っていて、その第二号が指しているのは次の条文の人たちです。
消防法施行規則第4条の2の13(統括管理者の資格を有する者) 令第四条の二の八第三項第二号に掲げる者は、次のいずれかに該当する者とする。 一 市町村の消防職員で、一年以上管理的又は監督的な職にあつた者 二 市町村の消防団員で、三年以上管理的又は監督的な職にあつた者 三 前二号に掲げる者に準ずるものとして消防庁長官が定める者
もともと統括管理者になれる人は講習の対象から外れます
この条文に当たる人が班長になっている場合、その教育は防火管理者が消防計画に定めるところにより行うこととされています。
第三号の「準ずる者」は平成20年消防庁告示第14号で定められていて、廃止前の防災センター要員講習を修了し、その後に自衛消防組織の業務に関する追加講習を修了した人が挙げられています。
そして自衛消防組織が火災以外の災害の業務も行う建物では、この教育を防災管理に係る消防計画にも定めることになります。
なお除かれるのはこの人たちだけなので、社歴が長いというだけの班長は講習の対象のままです。

つまり消防の経歴がある人だけが別扱いということですね。

そのとおりです。
別扱いでも教育そのものは要るので消防計画に書き残してください。

明日からなにをすればよいのか

左の机のバインダーと書類の横で向かい合う二人と右の書棚と札の付いた柱を描いたイラスト
最後に、手元でできる確認の順序をまとめます。
どの講習を押さえればよいのかは、規則が科目まで書いています。
消防法施行規則第4条の2の14第2項 自衛消防業務新規講習は、次に掲げる事項に係る知識及び技能の修得を目的として行うものとし、その講習時間はおおむね十二時間とする。 一 防火管理及び防災管理に関する一般知識に関すること。 二 自衛消防組織並びにその統括管理者及び要員の役割と責任に関すること。 三 防災設備等に関する知識とその取扱い訓練に関すること。 四 自衛消防組織の統括管理者及び要員の災害時における対応に係る総合訓練に関すること。
確かめる順序は三つです
一つ目は編成表で、統括管理者の直近下位にある班と、それをまとめている人の名前を洗い出します。
二つ目はその一人ひとりについて、自衛消防業務講習の修了証があるか、それとも消防職員や消防団員の経歴で外れる人かを分けます。
三つ目は消防計画の教育及び訓練の欄を開いて、班長の教育をどう行うのかが書いてあるかを見ます。
未受講の班長がいるときは、次の講習の日程を押さえたうえで、管理について権原を有する者に報告しておいてください。

編成表と修了証を並べれば足りない人が見えますね。
今日のうちに人事にも声をかけます。

その順で見れば抜けが分かります。
異動の多い建物は年に一度は同じ確認をしてください。

よくある質問

Q班長ではない一般の要員にも講習は必要ですか?
A講習を受けさせることにより行うと定められているのは班長に対する教育です。一般の要員については消防法施行規則第4条の2の10第1項第2号により教育及び訓練を消防計画に定めることとされているので、その中身は建物の実情に合わせて決めることになります。
Q班長が講習を受けていないと罰則がありますか?
A班長の未受講そのものを直接に罰する規定は見当たりません。もっとも教育及び訓練は消防計画に定める事項であり、防火対象物点検や防災管理点検では消防計画に基づいて適切に行われているかが見られます。点検の場面で問われる事項だと考えて備えてください。
Q班長が受ける講習は再講習も必要になりますか?
A消防法施行規則第4条の2の14第1項は、自衛消防組織の業務に関する講習を新規講習と再講習で構成しています。再講習を受けなければならない期間は消防庁長官が定めるところによるとされているので、修了証の交付を受けた日から数えて、所轄の消防署や登録講習機関の案内で確かめてください。
Q班長が委託先の社員でも同じ扱いになりますか?
A告示は班長を統括している立場で定義していて、雇用の形では区別していません。委託先の社員が班をまとめているのであれば、その人も班長として扱われます。受講の費用や日程を誰が負担するのかは契約の話になるので、消防計画と契約の内容を並べて確かめてください。

まとめ

班長は消防庁の告示の中で定義された立場です
統括管理者の直近下位で四つの業務を分掌する組織を統括する人が班長です
要員の教育は消防計画で決めますが班長だけは告示に預けられています
その告示は自衛消防業務講習を受けさせることにより行うと定めています
新規講習はおおむね12時間で四つの科目を学びます
消防職員や消防団員の経歴がある班長は消防計画に定めるところにより教育します
編成表と修了証と消防計画の三つを並べて抜けを探します

班長にも講習が要ることが分かって助かりました。
編成表を持って人事と話してきます。

そこがそろえば消防計画も書けます。
自衛消防組織の編成でお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の5第1項・第36条第7項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の8第3項
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の10第1項・第4項
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の11・第4条の2の13・第4条の2の14
  • 消防法施行規則第4条の2の10第4項の規定に基づき自衛消防組織の要員に対する教育に関する事項のうち統括管理者の直近下位の内部組織で同規則第4条の2の11各号に掲げる業務を分掌するものを統括する者に対するものを定める件(平成20年消防庁告示第13号)
  • 消防法施行規則第4条の2の13第3号に基づき同条第1号及び第2号に掲げる者に準ずる者を定める件(平成20年消防庁告示第14号)
  • 消防庁予防課長「消防法施行規則の一部を改正する省令の公布に伴う関係告示の公布について」(平成20年9月24日 消防予第238号)
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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