BLOG

火を使う設備は周囲に火災を出さないためにどう造るのか|九つの号の並びと数値の無い基準の確かめ方を解説

火を使う設備の周囲の基準はどこまで求められるかと題したアイキャッチ画像

ボイラーや厨房の設備というと、壁からどれだけ離すかという話が先に出てきます。
ところが条文にはもう一つ、設備の周囲で火災を起こさせないための構造を求める号があります。
それを受けた省令の条には九つの号が並び、数値の書いてある号はそのうち二つだけです。
この記事では周囲に火災が発生するおそれが少ない構造に何が求められるのかを条文から解説します。

立入検査で設備のまわりに物を置くなと言われました。
これも条文に書いてあるのでしょうか。

令が周囲において火災が発生するおそれが少ない構造を求めています。
受けている省令の条には九つの号が並びます。

九つも読まないといけないのですか。

名指しの無い号は二つだけです。
残りは設備の名前で読む側が決まります。

この記事の結論
  • 周囲に火災が発生するおそれが少ない構造は消防法施行令第5条第1項第6号を受けた省令第11条に置かれています。
  • 同じ条には九つの号が並び柱書きはその種類ごとにと書いています。
  • 設備を名指ししていないのは表面の温度の第1号と燃料タンクの第6号の二つだけです。
  • 数値が書かれているのは風道の第4号と厨房設備の第8号だけです。
  • 数値の無い号は測って合否を出せないので設備の状態そのものが見られます。

周囲に火災が発生するおそれが少ない構造は設備の種類で読む号が変わり数値のある号は二つだけであることをまとめた図解

周囲に火災が発生するおそれが少ない構造とはなにを指すのか

建物の隣に据えられた設備とその周囲に広がる床の範囲を描いた図
火を使う設備の構造の基準は、設備そのものに向いた号と周囲に向いた号に分かれています。
周囲の側の入口になるのが令のこの号です。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条第1項 (略) 六 対象火気設備等は、その種類ごとに総務省令で定めるところにより、その周囲において火災が発生するおそれが少ないよう防火上有効な措置が講じられた構造とすること。 省令第11条 令第五条第一項第六号の規定により、対象火気設備等は、次の各号に定めるところにより、その周囲において火災が発生するおそれが少ないよう防火上有効な措置が講じられた構造としなければならない。
名指しされているのは設備の周囲です。
令は同じ第1項の中に、設備の一部分を扱う第5号と、その外側を扱う第6号を並べて置いています。
第6号を受けているのが省令第11条で、ここには九つの号が並びます。
柱書きがその種類ごとにと書いているとおり、九つの号が全部の設備にかかるわけではありません。
自分の建物にある設備がどの号を読む側なのかを、条文を追う前に決めておいてください。

設備の一部分と周囲では読む条が変わるのですね。

令の第5号と第6号でそれぞれ別の省令の条に送られています。
読む条を取り違えないようにしてください。

九つの号のうち全ての設備にかかるのはどれか

炉とふろがまと乾燥設備を並べてそれぞれ別の号がかかることを示した図
九つの号を並べると、設備の名前が書いてある号とそうでない号に分かれます。
名前の書いていない号から先に見ます。
省令第11条 一 表面の温度が過度に上昇しないものとすること。 (略) 六 燃料タンクは、使用中に燃料が漏れ、あふれ、又は飛散しないものとすること。
名指しの無い号は二つだけです。
第1号の表面の温度と第6号の燃料タンクには設備の名前が書かれていないので、対象火気設備等であれば読む側になります。
残りの号は設備を名指ししていて、第2号は炉、第3号は熱風炉とふろがまと温風暖房機と乾燥設備と一般サウナ設備、第5号は固体燃料を使うもの、第7号と第8号は厨房設備、第9号は乾燥設備です。
第4号だけは前号の風道という書き方なので、第3号が挙げた設備を持っていなければ読む必要がありません。
設備の名前を先に確定してから、自分にかかる号を拾ってください。

名前の書いていない号が二つあるということですね。

そのとおりです。
表面の温度と燃料タンクはどの設備でも読む側になります。

炉と乾燥設備には固有になにが求められるのか

溶融物を受ける樋を備えた炉と棚が熱源から離れている乾燥設備を並べた図
名指しされた号のうち、この記事で正面から扱うのは二つです。
炉と乾燥設備には、その設備でしか起きないことに向けた号が置かれています。
省令第11条 二 炉にあっては、溶融物等があふれるおそれのある部分に、あふれた溶融物等を安全に誘導する装置を設けること。 (略) 九 乾燥設備にあっては、次によること。 イ 乾燥物品が直接熱源と接触しないものとすること。 ロ 火粉が混入するおそれのある燃焼排気により直接可燃性の物品を乾燥するものにあっては、乾燥室内に火粉を飛散しないものとすること。
どちらもあふれと接触を扱う号です。
第2号は炉の溶融物等を対象にしていて、あふれるおそれのある部分に安全に誘導する装置を設けることとされています。
閉じ込めるのではなく逃がす、という書き方になっているのがこの号の特徴です。
第9号は乾燥設備で、イが乾燥物品が直接熱源と接触しないこと、ロが火粉の混入するおそれのある燃焼排気で可燃性の物品を乾燥する場合に乾燥室内へ火粉を飛散させないことを求めています。
棚の位置や物の積み方を変えただけで熱源へ近づくことがあるので、入替えのたびに確かめてください。

炉の溶融物という言葉は初めて見ました。

金属やガラスを溶かす炉を想定した号です。
お持ちでなければこの号は読まなくて構いません。

数値が書かれていない号はどう確かめるのか

被覆した風道に物差しを当てた様子と平らな盤に手をかざすだけの様子を並べた図
九つの号を読み比べると、数値の書いてある号がごく少ないことに気づきます。
数値のある側の書き方を先に見ます。
省令第11条 四 前号の風道にあっては、火を使用する部分から防火ダンパーまで及び防火ダンパーから二メートル以内の部分を厚さ十センチメートル以上の金属以外の不燃材料で被覆すること。 ただし、建築物等の可燃性の部分及び可燃性の物品との間に十五センチメートル以上の距離を有する部分にあっては、この限りでない。
数値が出てくる号は二つだけです。
第4号は2メートルと10センチメートルと15センチメートルを、第8号は350キロワットと31メートルを置いています。
残りの七つの号には数値も試験方法も書かれていません。
第1号の過度に上昇しないも、第6号の漏れ、あふれ、又は飛散しないも、図面の上で測って合否を出せる書き方ではありません。
立入検査でこの種の号が見られるときは、設備の実際の状態と使い方そのものが材料になります。

数値が無い号はどう直せばよいのでしょうか。

図面ではなく現物で見るしかありません。
使い方を含めて所轄消防署にご確認ください。

明日からなにを確認すればよいのか

周囲が片づいた設備と段ボール箱が寄せかけられた設備を点検する人が見比べている図
確認は設備の名前から始めると迷いません。
最後は令が置いている管理の号まで戻ります。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条第1項 (略) 十一 対象火気設備等については、必要な点検及び整備を行い、その周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理を行うこと。
順番を決めれば九つの号は短く済みます。
はじめに設備の種類を確定し、次に自分が読む号だけを拾い、第4号と第8号は寸法と入力を測って控えます。
数値の無い号は、表面の温度なら覆いの外側に手をかざして触れられるか、燃料タンクなら継手の下に染みが無いかというように、状態で確かめます。
そのうえで令第5条第1項第11号が求める周囲の整理及び清掃まで戻ると、設備のまわりに物を置かないことがこの条の目的そのものだと分かります。
実際に建物にかかるのは市町村の火災予防条例なので、条例の条文と併せて所轄消防署にご確認ください。

つまり設備の名前から入ればよいのですね。

そこが決まれば読む号も決まります。
あとは数値のある号だけ測って控えてください。

よくある質問

Q周囲に火災が発生するおそれが少ない構造とは壁の側の基準ですか?
Aいいえ。令第5条第1項第6号は対象火気設備等そのものの構造として求めています。壁や可燃物までの距離は同じ項の第1号が扱う別の話です。
Q九つの号は全部読まなければならないのですか?
A柱書きが種類ごとにと書いているので、名指しされていない設備は読む必要がありません。どの設備でも読む側になるのは第1号と第6号の二つです。
Q表面の温度が過度に上昇しないとは何度までですか?
A省令にこの号の数値はありません。試験方法も置かれていないので、設備の実際の状態で判断されます。個別の当てはめは所轄消防署にご確認ください。
Q変電設備や蓄電池設備にもこの条はかかりますか?
A省令第17条の表が、これらについて第11条をまるごと適用しないとしています。表に並ぶ八つの設備のうち第11条の号が残るのは、内燃機関を原動力とする発電設備の第6号だけです。

まとめ

令第5条第1項第6号は設備の周囲において火災が発生するおそれが少ない構造を求めています。
受けているのは省令第11条で九つの号が並んでいます。
設備を名指ししていないのは第1号と第6号だけで残りは名前で読む側が決まります。
ただし書きを持つ号は第4号と第7号と第8号の三つです。
数値が書かれているのは風道の第4号と厨房設備の第8号の二つだけです。
炉の溶融物等と乾燥設備の乾燥物品はそれぞれ専用の号で扱われます。
数値の無い号は令が求める周囲の整理及び清掃まで含めた状態で見られます。

まず設備の名前を一覧にしてきます!

名指しの無い号は表面の温度と燃料タンクの二つだけです
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第11条・第17条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
火を使う設備の周囲の基準はどこまで求められるかと題したアイキャッチ画像
ボイラーや厨房の設備というと、壁からどれだけ離すかという話が先に出てきます。 ところが条文にはもう一つ、設備の周囲で火災を起こさせないための構造を求める号があります。 それを受けた省令の条には九つの号が並び、数値の書いて...