スプリンクラー設備が入っているビルでも、天井を見上げるとヘッドが1つも無い部屋があります。
トイレや浴室なら見当がつきますが、事務室や倉庫でヘッドが無いこともあります。
これは工事の抜けではなく、消防法施行規則第13条第3項がヘッドを設けなくてよい部分を14の号で並べているからです。
その14のうち、建物の側でつくれる免除は第11号と第12号だけです。
うちのビルはスプリンクラーが入っているのに、事務室の天井にヘッドが見当たらない部屋があります。
付け忘れではないかと心配になりました。
付け忘れとは限りません。
耐火構造で区画された部分は、省令が最初からヘッドの対象外にしています。
区画さえすれば、どんな部屋でも外れるということでしょうか。
建物と階の条件が先にあります。
そのうえで壁と床と開口部と内装をそろえて、はじめて外れます。
- ヘッドを設けなくてよい部分は消防法施行規則第13条第3項が14の号で定めています
- 区画をつくって使えるのは第11号と第12号の二つだけです
- どちらも特定主要構造部を耐火構造とした建物が前提で、地階と無窓階は外れます
- 区画の条件は内装と開口部と防火戸と床面積の四つです
- 開口部は合計8平方メートル以下、床面積は10階以下の階で200平方メートル以下です
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目次
スプリンクラーヘッドを設けなくてよい部分はどう決まっているのか

しかも「設ける場所」ではなく「設けなくてよい場所」を並べる書き方になっています。
令が「総務省令で定める部分に設けること」と書き、規則が「次の各号に掲げる部分以外の部分とする」と受けています。
つまり第3項の14の号に当たる部分だけがヘッドの側から外れ、それ以外は全部設ける側に残ります。
第1号の階段や便所、第2号の通信機器室、第7号の手術室のように、号の多くは部屋の用途で決まります。
用途で決まる号は建物の使い方が変われば動きますが、第11号と第12号だけは区画という工事でつくり出せます。
自分の建物のどの部屋がどの号に当たるのかを、図面と照らして一度書き出してみてください。
設けなくてよい部分を先に並べる書き方なのですね。
号の番号まで意識したことがありませんでした。
号ごとに理由が違います。
点検票の免除欄と図面を突き合わせると、どの号を使っているのかが見えてきます。
区画による免除はどの建物のどの階で使えるのか

構造と階と用途の三つで、入口が先に絞られています。
どちらの号も特定主要構造部を耐火構造とした建物が前提なので、準耐火構造や木造では土俵に乗りません。
そして地階と無窓階は最初から除かれますので、地下の店舗や窓の少ない倉庫階では区画をつくっても免除になりません。
第11号が名指ししているのは令第12条第1項の第3号と第4号と第10号と第11号と第12号で、いずれもスプリンクラー設備が階数や床面積で義務づけられる建物です。
ただし(5)項ロすなわち寄宿舎や共同住宅の用途に供される部分は、そこから除かれています。
第12号は(16)項イの複合用途ビルに限られる代わりに、(7)項から(15)項までの学校や工場や駐車場や倉庫や事務所の部分を正面から拾っています。
まず自分の建物がどちらの号の入口に立っているのかを確かめてから、区画の条件に進んでください。
うちは(16)項イの雑居ビルなので、第12号のほうを見ればよいのですね。
事務所の階が対象になるという読み方で合っていますか。
地階と無窓階でなければそうなります。
ただし地階を除く階数が11以上のビルは第12号から外れるので、階数を先に数えてください。
区画にはどんな条件が付くのか

規則第13条第2項第1号が、イからニまでの四つを並べています。
イは内装で、地上に通ずる主たる廊下は準不燃材料、それ以外の部分は難燃材料まで落とします。
ロは開口部で、区画する壁と床の開口部を合計8平方メートル以下、かつ一つあたり4平方メートル以下に抑えます。
ハはその開口部に付ける建具で、特定防火設備である防火戸を随時開くことができる自動閉鎖装置付のものにし、煙感知器の作動と連動して閉じさせます。
ニは広さで、10階以下の階なら200平方メートル以下、11階以上の階なら100平方メートル以下です。
どれか一つでも欠ければ区画として認められないので、図面ではなく現物を測って確かめてください。
開口部の合計というのは、出入口の扉も数に入るのでしょうか。
区画する壁と床にある開口部はすべて数えます。
扉も窓も含めて足し合わせるので、図面の寸法を先に拾っておいてください。
実務で見落としやすいのはどこか

答えは条文の括弧書きに書いてあります。
第2項第2号は廊下の特則で、イとハだけに該当すればよく、ロの開口部の面積とニの床面積は求められていません。
第3項第11号の括弧書きは、(16)項イで地階を除く階数が11以上の建物のうち、(1)項から(6)項まで又は(9)項イの用途が無い10階以下の階に限って、200平方メートルを400平方メートルと読み替えます。
第12号にはイとロしかなく、内装と床面積の条件が付かない代わりに、建物が(16)項イに限られ、地階を除く階数が11以上のものは外れます。
そして区画は工事で壊れますので、開口部を増やす改装や防火戸の撤去や内装の張り替えをすれば、その部屋はヘッドを設ける側へ戻ってきます。
テナントの内装工事の図面が回ってきたら、区画の条件が崩れていないかを必ず見てください。
内装を張り替えただけで、ヘッドが要るようになることもあるのですね。
条件が一つでも崩れれば戻ります。
内装工事に入る前に、免除を使っている部屋かどうかを確かめておいてください。
明日からなにを確かめればよいのか

消防法は設置だけでなく、維持まで関係者の義務にしています。
一つ目は図面で区画の範囲を色分けすることで、ヘッドの無い部屋がどの号を使っているのかを書き込みます。
二つ目は開口部の実測で、合計と一つあたりの面積が条件の中に収まっているかを確かめます。
三つ目は防火戸の自動閉鎖装置と煙感知器の連動を実際に動かし、閉まりきるかどうかを見ます。
四つ目は内装材の変更履歴を残すことで、張り替えのたびに準不燃材料か難燃材料かを記録しておきます。
判断に迷う区画が出てきたら、図面と写真を持って所轄の消防署に相談してください。
ヘッドの無い部屋を先に洗い出してから、条件を一つずつ当てていけばよいのですね。
その順番が確実です。
洗い出した表は点検の記録としてもそのまま使えます。
よくある質問
まとめ
ヘッドの無い部屋の一覧を作って、条件を一つずつ当てていきます。
区画は図面より現物のほうが確かです。
迷う部屋が出てきたら㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 消防法第17条第1項(消防用設備等の設置及び維持の義務)
- 消防法施行令第12条第1項(スプリンクラー設備を設置する防火対象物)
- 消防法施行令第12条第2項第1号(スプリンクラーヘッドを設ける部分)
- 消防法施行令第12条第2項第8号(補助散水栓)
- 消防法施行規則第13条第2項(耐火構造の壁及び床で区画された部分の要件)
- 消防法施行規則第13条第3項(スプリンクラーヘッドを設けなくてよい部分)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





