避難器具は火災のときに階から外へ出るための最後の手段です。
ところが屋上に避難橋を架けると直下階の避難器具を減らせることがあります。
根拠は消防法施行規則第26条第4項で屋上広場の有効面積や階段の本数まで条件が決められています。
この記事では消防法施行令と消防法施行規則の条文だけを見て避難橋による個数の減の要件を整理します
うちのビルは隣の建物と屋上どうしが橋でつながっているんです。
避難器具の数に関係したりしますか。
関係することがあります。
消防法施行規則第26条第4項は避難橋があるとき直下階の避難器具の個数を減らせると定めています。
橋が架かっている屋上の階ではなくその下の階が減るのですか。
順番が逆のように思えるのですが。
そこが第4項の読みどころです。
条文は当該直下階に設置する避難器具の個数と書いています。
- 避難器具を設ける階は消防法施行令第25条第1項が用途と階と収容人員で決めている
- 消防法施行規則第26条第4項は避難橋を屋上広場に設けた場合に直下階の避難器具の個数を減らせると定めている
- 引ける数は避難橋の数に二を乗じた数で引いた数が一に満たないときは設置しないことができる
- 屋上広場の側には有効面積と防火戸と経路の扉という三つの要件がそろっていなければならない
- 直下階から屋上広場に通じる避難階段又は特別避難階段が二以上あることも柱書が求めている
▼

目次
避難橋を架けると避難器具が減るのはどの階か

条文は減らせる階を直下階と名指ししています。
第26条は第1項から第4項までが個数を減らす規定で第5項から第7項までが設置しないことができる規定です。
そのうち第4項だけが避難橋を条件に置いていて逃げる先を横につないだ屋上に取る形になっています。
条文が当該直下階と書いているのは屋上広場の真下の階のことなのでその下の階にまでは及びません。
まず自分の建物の屋上に架かっている橋が図面でどう書かれているかを確かめるところから始めます
下へおりるのではなく横へ渡るという考え方なんですね。
屋上の橋は避難と結び付けて考えていませんでした。
そのとおりです。
まずは屋上の平面図と面積の記載を手元に出しておいてください。
どの建物なら第4項の個数の減に乗れるのか

第4項は柱書で建物側の条件を二つ重ねています。
一つ目は特定主要構造部を耐火構造としたものであることで木造や一般の準耐火ではこの項に乗れません。
二つ目は直下階から屋上広場に通じる避難階段又は特別避難階段が二以上あることです。
屋上へ通じてはいても普通の直通階段のままでは数に入りません。
図面で階段の種別と本数を数えて二つそろっているかを先に確かめます
階段が屋上まで上がっていればよいと思っていました。
避難階段かどうかまで見るのですね。
そこが見落としやすいところです。
階段の種別は確認申請の図面か消防用設備等の届出の図面で追えます。
屋上広場と経路はなにを満たさなければならないのか

第4項は号を三つ立てています。
第一号は有効面積百平方メートル以上で単なる面積ではなく有効面積と書かれています。
第二号は窓と出入口の防火戸に加えて出入口から避難橋までの経路そのものを見ています。
第三号は経路の扉等が避難のとき容易に開閉できることを求めているので施錠の仕方や物の置き方が問われます。
屋上へ出る扉の鍵の掛け方と経路に置いた物を今日のうちに見直します
つまり橋を架けただけでは足りないということですね。
屋上の経路まで条文が見ているとは思いませんでした。
屋上は物置になりやすい場所です。
今日は扉を実際に開けて経路を歩いてみてください。
うまく減らせないのはどんなときか

数え方の側でも取り違えが起きます。
第4項は末尾で第二項後段を準用しているので必要数が二個の階に要件を満たす避難橋が一本あれば計算上ゼロになります。
引く相手は令第25条第2項第一号本文又は前三項により算出した数なので第1項から第3項までを経たあとの数に重ねて効きます。
屋上広場が出てくる第7項とは別の規定で第7項は面積千五百平方メートル以上による設置の免除です。
有効面積百平方メートルと面積千五百平方メートルを取り違えないように条文の項を控えておきます
同じ屋上広場という言葉なのに数値の桁がまるで違うのですね。
これは取り違えそうです。
項の番号まで書いて控えておくと迷いません。
減免を当てにする前に所轄消防署へ相談してください。
明日からなにを確認すればよいのか

そのうえで最後は設置と維持の義務に戻ります。
はじめに特定主要構造部が耐火構造かどうかを確認申請の図面で確かめます。
次に直下階から屋上広場に通じる避難階段又は特別避難階段の本数を数えて二以上あるかを見ます。
そのうえで屋上広場の有効面積と防火戸と経路の扉を現地で確かめます。
条件がそろっていても当てはめの判断は所轄消防署が行うので既にある避難器具を自己判断で外さないでください
図面を見る順番が決まっていると助かります。
まず階段の種別から数えてみます。
その順番で構いません。
数えた結果を図面に書き込んで所轄消防署への相談に持っていってください。
よくある質問
まとめ
直下階という言葉の意味がはっきりしました。
まずは屋上の階段の本数と橋までの経路を見に行きます。
条件の当てはめや図面の読み方で迷ったら㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第25条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第26条
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





