ハロゲン化物消火設備は、水をかけられない電算室や変電設備の部屋で選ばれる消火設備です。
この設備の噴射ヘッドには、放射圧力と放射時間という2つの数値基準が条文で定められています。
しかもこの数値は、使っている薬剤の種類によって変わります。
なぜ薬剤ごとに基準が分かれているのか、条文の構造から確かめます。
うちの電算室にもハロゲン化物消火設備があります。
点検票にある圧力の数値の意味まで見てみましょう。
薬剤の種類で決まっています。
数字を見ても何を意味しているのか分かりません。
放射圧力と放射時間、両方とも条文に根拠があります。
順番に確認しましょう。
- 全域放出方式のハロゲン化物消火設備は、噴射ヘッドの放射圧力と放射時間が薬剤の種類ごとに条文で定められています。
- ハロン系の薬剤は、種類によって放射圧力が0.1から0.9メガパスカルまで分かれます。
- HFC系・FK系の薬剤は、いずれも0.3メガパスカル以上または0.9メガパスカル以上の圧力が必要です。
- 消火剤の放射時間は、ハロン系が30秒以内、HFC系・FK系が10秒以内と定められています。
- 防護区画の開口部に自動閉鎖装置を設けない場合は、貯蔵する消火剤の量を増やす必要があります。
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目次
ハロゲン化物消火設備とはどんな薬剤を使う設備なのか

条文は、この薬剤を種類ごとに具体的な名称で挙げています。
一 ジブロモテトラフルオロエタン(以下この条及び第三十二条において「ハロン二四〇二」という。)又はドデカフルオロ―二―メチルペンタン―三―オン(以下この条及び第三十二条において「FK―五―一―一二」という。)を放射する噴射ヘッドは、当該消火剤を霧状に放射するものであること。
ハロン系は、ハロン二四〇二・ハロン一二一一・ハロン一三〇一の3種類です。
HFC・FK系は、HFC―二三・HFC―二二七ea・FK―五―一―一二の3種類です。
ハロン系は、オゾン層を壊す物質として国際的に生産が規制されており、既設の設備に残っている薬剤を大切に使う扱いになっています。
自分の建物にどちらの系統の薬剤が入っているかは、設置届出の書類や薬剤の容器に貼られた銘板で確認できます。
うちの設備がどちらの薬剤か知りません。
容器の銘板に薬剤名が書かれています。
点検のときに確認してみましょう。
噴射ヘッドの放射圧力は薬剤の種類でどう変わるのか

条文は薬剤ごとに数値を分けています。
イ ハロン二四〇二を放射するハロゲン化物消火設備にあつては〇・一メガパスカル以上、ハロン一二一一を放射するハロゲン化物消火設備にあつては〇・二メガパスカル以上、ハロン一三〇一を放射するハロゲン化物消火設備にあつては〇・九メガパスカル以上であること。
ロ HFC―二三を放射するハロゲン化物消火設備にあつては〇・九メガパスカル以上、HFC―二二七ea又はFK―五―一―一二を放射するハロゲン化物消火設備にあつては〇・三メガパスカル以上であること。
ハロン二四〇二は0.1メガパスカル以上、ハロン一二一一は0.2メガパスカル以上、ハロン一三〇一は0.9メガパスカル以上と、数値が段階的に上がります。
HFC・FK系では、HFC―二三だけが0.9メガパスカル以上で、残りの2種類は0.3メガパスカル以上です。
理由までは条文に書かれていませんが、薬剤ごとに気化のしやすさが異なるため、必要な圧力も変わるものと考えられます。
点検票の圧力の数値は、まず自分の設備がどの薬剤かを確認してから見比べる必要があります。
薬剤によってこんなに違うんですね。
薬剤の名前を先に確認するのがコツです。
点検業者にも聞いておきましょう。
消火剤の放射時間はなぜ薬剤によって違うのか

条文はここでも薬剤ごとに時間を分けています。
イ ハロン二四〇二、ハロン一二一一又はハロン一三〇一を放射するものにあつては、第三項第一号イに定める消火剤の量を三十秒以内に放射できるものであること。
ロ HFC―二三、HFC―二二七ea又はFK―五―一―一二を放射するものにあつては、第三項第一号ロに定める消火剤の量を十秒以内に放射できるものであること。
どちらのグループも「防護区画の隅々まで薬剤の濃度が消火に必要な水準へ達するまでの上限」を定めたものです。
HFC・FK系の時間がより短いのは、薬剤ごとの放出設計に合わせて上限が個別に決められているためで、条文自体は薬剤間の優劣を示すものではありません。
自分の設備の放射時間は、設計図書や点検記録に記載された数値で確認できます。
放射時間まで決まっているとは知りませんでした。
設計図書に放射時間の記載があります。
一度確認しておくと安心です。
防護区画の開口部に自動閉鎖装置がないとどうなるのか

条文は自動閉鎖装置の有無で必要な量を変えています。
これは、閉鎖されない開口部から薬剤が漏れ出す分をあらかじめ見込んでおく考え方です。
自動閉鎖装置があれば放出時に開口部が閉じるため、この加算は必要ありません。
自分の防護区画の扉やシャッターが、放出と連動して自動で閉まる構造かどうかは、設計図書や点検記録で確認できます。
閉鎖装置が古くなって動作しなくなっていないかは、日常点検でも見ておきたいポイントです。
扉が自動で閉まるかまでは見ていませんでした。
閉鎖装置の動作は次の点検で確認しましょう。
設計図書と照らし合わせると分かりやすいです。
明日からなにを確認すればよいのか

3つのポイントに整理します。 確認は三つのポイントに整理できます。
まず、設備に使われている薬剤の名称を、容器の銘板や設置届出の書類で確認します。
次に、その薬剤に対応する放射圧力と放射時間が、点検記録の数値と一致しているかを確認します。
最後に、防護区画の開口部の閉鎖装置が正しく動作するかを確認します。
薬剤の量は容器の質量で管理されているため、点検のたびに秤で量を確かめてもらうと安心です。
次の点検で薬剤の名前から確認してみます。
薬剤名・圧力・閉鎖装置の3点セットで見ましょう。
点検業者と一緒に確認すると確実です。
よくある質問
まとめ
薬剤ごとの基準の違いがよく分かりました!
薬剤の確認や点検計画の見直しはまとめてお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第20条第1項(ハロゲン化物消火設備の噴射ヘッドの放射圧力・放射時間)
- 消防法施行規則第20条第3項第一号(貯蔵する消火剤の量と開口部の自動閉鎖装置)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





