広島市で起きた木造の飲食店ビルの火災を受け、消防庁は全国の消防機関に重点的な立入検査を呼びかける通知を出しました。
対象になるのは「木造」「2階建て以上」「(3)項ロの用途に供される部分がある」など、条件を満たす防火対象物です。
この記事では通知が求める防火対策の中身と、建築部局や風俗営業行政との連携で見落としやすい点を解説します。
自分の建物が対象に当てはまるかどうかは、この記事を読めば今日中に確認できます。
うちの店、木造の2階建てなんですが、なにか特別な対象になったりするんでしょうか。
広島市で飲食店の火災があってから、木造の飲食店ビルは重点的な立入検査の対象になっています。
まずは条件に当てはまるか一緒に確認しましょう。
うちは1階が厨房と客席で、2階にも個室の客席があります。
それなら対象条件にほぼ当てはまります。
この記事で条件と当面の対策を確認していきましょう。
- 広島市の飲食店火災を受け、木造の飲食店ビルは重点的な立入検査の対象になりました
- 対象は木造・2階建て以上・(3)項ロ又は(16)項イの用途など、3つの条件をすべて満たす防火対象物です
- 求められる対策は消防法令違反の是正に加え、避難施設への物品放置防止や避難経路の周知など4点です
- 増改築の履歴や風俗営業の兼業があると、建築部局や風俗営業行政との連携指導に発展することがあります
- 立入検査は用途・規模や過去の指摘事項の是正状況を踏まえて計画的に実施されます
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目次
広島市の飲食店火災はなぜ全国への通知に発展したのか

この火災を受け、消防庁は同年10月13日付で全国の消防機関に向けた通知を発出しています。
自動火災報知設備の地区音響装置が鳴動し、気づいて避難できた在館者がいた一方、2階の在館者6名が逃げ遅れて死傷しています。
消防庁は消防法第35条の3の2に基づく火災原因調査を現地で実施し、その状況を踏まえて全国への通知に至りました。
自分の建物にも同じ構造上の弱点がないか、まずは意識してみてください。
うちも1階が入口で階段が一つしかないんですが、それだけで危ないんでしょうか。
階段が一つでも管理がしっかりしていれば問題にはなりません。
次で対象になる条件を確認しましょう。
どんな飲食店ビルが重点的な立入検査の対象になるのか

3つの条件をすべて満たす防火対象物が対象になります。
単独の飲食店ビル((3)項ロ)だけでなく、雑居ビルのように複合用途で2階以上に飲食店部分が入っている(16)項イの建物も対象に含まれます。
さらに自動火災報知設備の設置義務があることも条件の一つで、規模の小さい店舗でも設置義務があれば対象から外れません。
なお通知は(2)項(ロを除く)の用途がある建物についても、同様の危険性があれば指導対象に加えるよう付記しています。
うちは1階が飲食店で、2階は別のテナントの事務所です。
それでも対象になりますか。
はい、2階が(3)項ロの用途でなくても、建物全体が(16)項イの複合用途にあたれば対象です。
まず登記や図面で用途を確認しましょう。
当面の防火対策として何をしなければならないのか

特に火災予防対策は、明日からでもすぐに着手できる内容になっています。
そのうえで火災予防対策として、階段等の避難施設に物を放置しないこと、建物周囲に燃えやすい物を置かないこと、火気使用設備・器具を適切に管理することの3点が求められます。
店舗が個室に分かれていて避難経路が分かりづらい場合は、避難経路図の掲示と利用客への周知、施設の実情を踏まえた訓練の実施も必要です。
今日の営業終了後にでも、階段まわりに置いてある物がないか一度歩いて確認してみてください。
うちの店、個室が多いので避難経路が分かりにくいかもしれません。
それなら避難経路図の掲示から始めましょう。
訓練とセットで行うとより効果的です。
建築部局や風俗営業行政との連携でなにを見落としやすいのか

特に増改築の履歴と風俗営業の兼業は、着眼点として押さえておきたいところです。
消防の立入検査だけでは建築基準法側の適合状況までは分からないため、増改築の履歴を新たに確認した場合は建築部局への情報提供と合同立入検査の検討が求められます。
実際にこの通知と同時に、国土交通省住宅局からも建築主務部局あてに延べ面積300平方メートル以上の建物の排煙設備や廊下幅の規定違反に留意するよう通知が出されています。
店舗が風俗営業の用途を含む場合も、関係行政機関への情報提供が求められる点を見落とさないようにしましょう。
うちのビル、数年前に増築したんですが、それも関係あるんでしょうか。
はい、増改築の履歴は建築部局との連携のきっかけになります。
図面や確認済証が残っているか確認しておきましょう。
明日から防火管理者は何を確認すればよいのか

これは防火管理者にとっても、日常の点検に取り入れられる視点です。
当てはまる場合は、階段等の避難施設に物が置かれていないか、避難経路図が掲示されているかを今日中に点検してください。
過去に増改築を行った記録があれば、建築確認や検査済証の有無を整理しておくと、立入検査の際にスムーズに説明できます。
消防計画の点検結果報告書や自主検査の記録も、日頃から整理しておくことが、計画的な立入検査への備えになります。
今日の閉店後に、まず階段まわりから確認してみます。
それが一番の近道です。
気になる点があれば所轄消防署にも相談してみてください。
よくある質問
まとめ
対象条件と当面の対策がよく分かりました!
まずは階段まわりの点検から始めてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 飲食店等が存する防火対象物に係る防火対策の徹底について(平成27年10月13日 消防予第430号)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条第1項・第2項・第35条の3の2
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一(2)項・(3)項ロ・(16)項イ
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





