消防用の機械器具や設備には、決められた検定に合格した証として表示(検定マーク)が付いています。
この表示が無いまま設置工事に使われた製品や、偽って表示を付けた製品が見つかることもあります。
そうした場合、総務大臣は表示を除去させたり、販売業者等に回収を命じたりすることができます。
この記事では消防法第21条の2から第21条の16の6までが定める表示の仕組みと、命令に従わなかったときに罰則がどう変わるのかを解説します。
検定マークが無い製品を使うと、なにか問題になるんですか。
はい、工事への使用そのものが法律で禁止されていますよ。
もし紛らわしい表示が見つかったら、どうなるんでしょうか。
総務大臣が表示の除去や回収を命じることができます。
- 検定マークのない検定対象機械器具等は、販売も設置工事への使用も禁止されている(第21条の2第4項)
- 自主表示対象機械器具等にも同じ禁止が及ぶ(第21条の16の2)
- 表示が不正だったり検定が取り消されたりすると、総務大臣が表示の除去や回収を命じられる(第21条の12・第21条の13)
- 違反そのものと命令への違反では罰則の号が分かれている(第41条第1項第6号・第7号)
- 命令を無視すると法人の罰金は一億円以下まで引き上がる(第45条第1号)
▼

目次
消防用の機械器具に付いている検定マークはなにを保証しているのか

この表示は思いつきで付けられるものではなく、法律が定める二段階の手続きを経て初めて付きます。
まず型式承認で、その製品の設計(型式)が技術上の規格に適合しているかを総務大臣が審査します。
次に型式適合検定で、実際に製造された個々の製品が承認された型式どおりに作られているかを確かめます。
どちらも日本消防検定協会か総務大臣の登録を受けた法人(登録検定機関)が担っています。
つまり検定マークは「設計」と「個体」の両方が合格したことを示す二重の保証です。
設計と製品の両方をチェックしているんですね。
はい、二段階の合格があって初めて表示が付きます。
表示のない機械器具等を工事に使うとどうなるのか

販売することも、工事に使うこともはっきり禁止されています。
禁止されているのは販売・陳列だけでなく、設置・変更・修理の工事に使うことそのものです。
検定の対象から外れて自主表示の仕組みに移った品目(ホースなど)にも、第21条の16の2が同じ禁止を定めています。
つまり検定対象と自主表示対象のどちらでも、表示のない製品を工事に使わせてはいけないという建て付けです。
工事を発注する側は、業者が持ち込む製品に表示があるかを意識しておくとよいでしょう。
販売だけじゃなくて、工事に使うこと自体が禁止なんですね。
はい、自主表示の製品にも同じ禁止が及びますよ。
マークが不正だったり検定が取り消されたりしたときはどう是正されるのか

そこで総務大臣には、段階に応じた是正の手段が用意されています。
軽い段階では、総務大臣の職員が販売業者等の倉庫にある不正表示品の表示を除去し、消印を付すことができます(第21条の12)。
重大な支障のおそれがあると認められる段階では、回収命令という重い手段に進みます(第21条の13)。
自主表示対象機械器具等についても、同じ構造の除去・回収の規定が第21条の16の5・第21条の16の6に置かれています。
どちらの命令も名宛人は製品を扱った販売業者等であり、報告や立入検査を求められることもあります。
いきなり回収ではなくて、段階を踏んでいるんですね。
はい、除去から回収へと重さが上がっていきます。
命令そのものを無視すると罰則はどう変わるのか

罰則の条文を見比べると、その差がはっきり表れています。
表示のない製品を使った違反(第41条第1項第6号)も、命令に従わない違反(同項第7号)も、個人には一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金という同じ枠が定められています。
差が出るのは法人が負う罰金のほうです。表示なし違反そのものは各本条どおり百万円以下にとどまります。
ところが命令そのものを無視した場合、法人の罰金は一気に一億円以下まで引き上がります(第45条第1号)。
是正のチャンスを与えられたのに応じなかったことが、法人にとってはるかに重い代償につながる仕組みです。
命令を無視したときだけ、会社の罰金が跳ね上がるんですか。
はい、一億円以下まで上がる重い扱いです。
工事を発注するとき明日から何を確認すればよいか

命令の名宛人は業者ですが、建物側が意識しておくと後のトラブルを避けられます。
- 新しく設置する消防用の機械器具や設備に検定マークまたは自主表示マークが付いているか確認する
- 表示のない製品は設置工事に使わせてはいけないことを業者との打ち合わせで共有しておく
- もし表示に関する是正命令や回収の連絡が来たら、まず工事を発注した業者に確認する
- 命令を放置すると法人側の罰則がさらに重くなることを業者にも伝えておく
検定マークも自主表示マークも、製品のどこかに小さく付いています。
新しい設備が入るたびに表示の有無を業者と一緒に確認しておけば、後から是正命令を受けるリスクを減らせます。
万が一連絡が来ても、慌てず業者と情報を共有しながら対応する順序を押さえておきましょう。
日々の点検のついでに、設備の表示にも目を向けてみてください。
今度の点検で、表示があるかも一緒に見てみます。
それが一番の予防になります。
気になる表示があれば業者にご確認ください。
よくある質問
まとめ
表示の意味と命令の重さが分かって、業者への確認がしやすくなりました。
それは何よりです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第21条の2・第21条の9・第21条の12・第21条の13(e-Gov法令検索)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第21条の16の2・第21条の16の3・第21条の16の5・第21条の16の6(e-Gov法令検索)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第41条第1項・第45条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





