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地中タンクや海上タンクの屋外貯蔵所はなぜ消火設備が二重になるのか|不活性ガスやハロゲン化物消火設備を追加する理由を解説

地中タンクや海上タンクの消火設備の違いを解説する記事のアイキャッチ画像

危険物の屋外タンク貯蔵所に泡消火設備を設置していれば、消火設備の基準はどれも同じだと考えている管理者もいるかもしれません。
しかし危険物の規制に関する規則第33条は、地中タンクや海上タンクに係る屋外タンク貯蔵所に対して、通常のタンクにはない消火設備を追加で義務付けています。
なぜこの2種類のタンクだけ設備が二重になるのか、どんな設備を選べばよいのか、条文を確認しないと判断を誤りやすい論点です。
この記事では規則第33条第2項の表が定める地中タンク・海上タンクの消火設備の中身を確認します

うちの屋外タンクには泡消火設備を付けているので、消火設備の基準はそれで十分だと思っていました。

地中タンクや海上タンクに係る屋外タンク貯蔵所には、泡消火設備だけでは足りないケースがありますよ。
順番に確認しましょう。

地中タンクや海上タンクというのは、うちのタンクとは違うものなんですか。

はい、タンクの設置形態そのものが違います
まずは条文から見ていきましょう。

この記事の結論
  • 危険物の規制に関する規則第33条第2項の表は、地中タンクや海上タンクに係る屋外タンク貯蔵所に、通常の屋外タンクにはない消火設備を追加で義務付けている
  • 地中タンク・海上タンク以外の通常の屋外タンクは、多くの場合第3種の固定式泡消火設備だけで足りる
  • 地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所は、泡消火設備に加えて不活性ガス消火設備又はハロゲン化物消火設備のいずれかを設けなければならない
  • 海上タンクに係る屋外タンク貯蔵所は、泡消火設備に加えて水噴霧・不活性ガス・ハロゲン化物のいずれかを選べる
  • どちらのタンクに当たるかは規則第22条の2の8の定義で決まり、判断に迷う場合は所轄消防署に確認する

地中タンクや海上タンクは消火設備が二重になることを示す図解

なぜ地中タンクや海上タンクは消火設備が二重になるのか

泡消火設備のみのタンクと、ガスボンベ型の設備を追加したタンクを比較するイメージ
危険物の規制に関する規則第33条は、屋外タンク貯蔵所の消火設備の種類を表で定めています。
ところがこの表は、すべての屋外タンク貯蔵所を同じ扱いにしているわけではありません。
危険物の規制に関する規則第33条第2項第1号の表(抜粋) 屋外タンク貯蔵所 地中タンクに係るもの 第三種の固定式の泡消火設備及び移動式以外の不活性ガス消火設備又は移動式以外のハロゲン化物消火設備 / 海上タンクに係るもの 第三種の固定式の泡消火設備及び水噴霧消火設備、移動式以外の不活性ガス消火設備又は移動式以外のハロゲン化物消火設備
地中タンクと海上タンクに係る屋外タンク貯蔵所だけ、泡消火設備にもう一つ設備を組み合わせなければなりません
通常の屋外タンクが泡消火設備1種類で足りるのに対し、この2つのタンクは条文が組み合わせを指定しています。
なぜこの2つのタンクだけ設備が加わるのか、理由までは条文に書かれていませんが、地中や海上という設置場所では泡だけでは対応しにくい事情があると考えられます。
具体的にどんな屋外タンク貯蔵所が地中タンク・海上タンクに当たるのかは、別の条文で定義されています。
次の項目で、対象になる屋外タンク貯蔵所を確認します。

地中タンクや海上タンクなんて、うちの施設にはなさそうですけど。

多くの施設は該当しませんが、該当するかどうかは形式で決まります
次で対象を確認しましょう。

どんな屋外タンク貯蔵所が地中タンクや海上タンクとして扱われるのか

地面に埋め込まれたタンクと海に浮かぶタンクを比較するイメージ
地中タンクと海上タンクは、屋外タンク貯蔵所のなかでも特別な設置形態を指します。
どちらも独自の技術基準の対象になるため、まず定義を確認します。
危険物の規制に関する規則第22条の2の8(抜粋) 令第十一条第五項の総務省令で定める屋外タンク貯蔵所は、次のとおりとする。 二 第四類の危険物を地中タンクにおいて貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所 三 原油、灯油、軽油又は重油を海上タンクにおいて貯蔵し、又は取り扱う屋外タンク貯蔵所のうち、(略)
地中タンクは地盤の中に、海上タンクは水面の上に設置する特別な屋外貯蔵タンクです
地中タンクは第4類の危険物を貯蔵・取り扱う場合に限って対象になります。
海上タンクは原油・灯油・軽油・重油を貯蔵・取り扱う場合で、条文が定める二重の隔壁構造を備えたものに限られます。
どちらも一般的な屋外タンク貯蔵所の基準(規則第33条第1項の各号)とは別に、専用の位置・構造基準(規則第22条の3の2・第22条の3の3)が適用されます。
次の項目で、この2つのタンクに義務付けられる消火設備の中身を確認します。

うちのタンクは地面の上に普通に建っているので、地中タンクではなさそうです。

はい、その場合は通常の屋外タンク貯蔵所として扱われます。
次で消火設備の中身を確認しましょう。

追加で設けるのは不活性ガス設備かハロゲン化物設備のどちらか

泡消火設備とガスボンベ型の消火設備を並べて指し示す点検員のイメージ
地中タンクと海上タンクに義務付けられる設備の組み合わせは、規則の表にそのまま書かれています。
もう一度、条文の中身を確認します。
危険物の規制に関する規則第33条第2項第1号の表(抜粋) 地中タンクに係るもの 第三種の固定式の泡消火設備及び移動式以外の不活性ガス消火設備又は移動式以外のハロゲン化物消火設備 / 海上タンクに係るもの 第三種の固定式の泡消火設備及び水噴霧消火設備、移動式以外の不活性ガス消火設備又は移動式以外のハロゲン化物消火設備
泡消火設備は必ず設け、そのうえで不活性ガス消火設備かハロゲン化物消火設備のどちらか一方を組み合わせます
条文の「又は」という言葉のとおり、不活性ガス設備とハロゲン化物設備の両方を設ける必要はありません。
海上タンクだけは、この組み合わせに水噴霧消火設備も選択肢として加わります。
どちらの設備を選ぶかは、貯蔵する危険物の性質や設備の管理方法にあわせて設計段階で判断されます。
次の項目で、通常の屋外タンクとの違いを整理します。

不活性ガスとハロゲン化物、両方いっぺんに用意しないといけないのかと思っていました。

いいえ、どちらか一方でよいと条文に書かれています。
次で通常タンクとの違いを見てみましょう。

通常の屋外タンクの区分と混同していないか

泡消火設備のみのタンクと追加設備を備えたタンクを見比べる管理者のイメージ
同じ屋外タンク貯蔵所でも、地中タンク・海上タンク以外は消火設備の中身が変わります。
表の別の行を見て、違いを確認します。
危険物の規制に関する規則第33条第2項第1号の表(抜粋) 地中タンク及び海上タンクに係るもの以外のもの 引火点が七十度以上の第四類の危険物のみを貯蔵し、又は取り扱うもの 第三種の水噴霧消火設備又は固定式の泡消火設備 / その他のもの 第三種の固定式の泡消火設備
地中タンク・海上タンク以外の通常の屋外タンクは、多くの場合泡消火設備1種類で足ります
引火点が70度以上の第4類危険物のみを扱うタンクは、水噴霧消火設備でも代替できます。
つまり「地中タンク・海上タンクだから設備が二重」なのであって、屋外タンク貯蔵所であれば必ず二重になるわけではありません。
この区分を混同すると、通常のタンクに不要な設備を追加したり、逆に地中タンク・海上タンクで設備が不足したまま運用してしまう可能性があります。
次の項目で、実務で確認すべき点を整理します。

うちは普通の屋外タンクなので、地中タンクや海上タンクの基準とは関係なさそうです。

はい、該当しなければ通常の基準のままで大丈夫です。
最後に確認事項をまとめましょう。

明日からなにを確認すればよいのか

書類とタンクを確認する施設管理者のイメージ
最後に、実務で確認すべき点を整理します。
自己判断せず、条文と設計図書をもとに確かめることが大切です。
  • 自施設の屋外タンク貯蔵所が地中タンク・海上タンクの定義(規則第22条の2の8)に当てはまるか確認する
  • 該当する場合は泡消火設備に加えて不活性ガス消火設備かハロゲン化物消火設備のいずれかが設置されているかを確認する
  • 海上タンクの場合は水噴霧消火設備も選択肢に入ることを設計図書で確認する
  • 地中タンク・海上タンクに該当しない通常のタンクまで、不要な設備を過剰に設けていないか確認する
  • 判断に迷う場合は自己判断せず所轄の消防署(市町村長等)に相談する

まずは自分のタンクが、どちらの区分に当たるか確認してみます。

はい、区分と設備の有無を順番に確認してください。
不明な点は所轄消防署にご相談ください。

よくある質問

Q通常の屋外タンクにも不活性ガス消火設備を追加してよいですか?
A条文上の義務ではありませんが、設備を上乗せすること自体は禁止されていません。ただし維持管理の負担も増えるため、所轄消防署と相談のうえで判断してください。
Q地中タンクと海上タンクを両方持っている施設は、それぞれ別の基準に従いますか?
Aはい。地中タンクは規則第22条の3の2、海上タンクは規則第22条の3の3と、それぞれ別条の特例が適用されます。
Q屋内タンク貯蔵所にも同じ地中タンク・海上タンクの区分がありますか?
Aいいえ。地中タンク・海上タンクの区分は屋外タンク貯蔵所に限られます。屋内タンク貯蔵所には別の基準が定められています。
Q不活性ガス消火設備とハロゲン化物消火設備は、どちらを選んでも設置基準は同じですか?
Aいいえ。規則第32条の7(不活性ガス消火設備の基準)と第32条の8(ハロゲン化物消火設備の基準)にそれぞれ個別の技術上の基準が定められています。

まとめ

危険物の規制に関する規則第33条第2項の表は、地中タンクや海上タンクに係る屋外タンク貯蔵所に通常より重い消火設備の基準を課している
地中タンク・海上タンク以外の通常の屋外タンクは、多くの場合泡消火設備1種類で足りる
地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所は、泡消火設備に加えて不活性ガス消火設備又はハロゲン化物消火設備のいずれかが必要
海上タンクに係る屋外タンク貯蔵所は、泡消火設備に加えて水噴霧・不活性ガス・ハロゲン化物のいずれかを選べる
地中タンク・海上タンクに当たるかどうかは規則第22条の2の8の定義で決まる
不活性ガス消火設備とハロゲン化物消火設備は「又は」でつながれておりどちらか一方でよい
対象や設備の選定に迷う場合は所轄の消防署(市町村長等)に相談する

設備の組み合わせを、まず自施設で確認してみます!

タンクの区分と設備の有無を確認するいちばんの近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第20条第1項第1号・第3項
  • 危険物の規制に関する規則第22条の2の8
  • 危険物の規制に関する規則第22条の3の2・第22条の3の3
  • 危険物の規制に関する規則第33条第1項第3号・第2項
  • 危険物の規制に関する規則第32条の7・第32条の8
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令等に基づく一般的な解説です。個別の設備の選定や設計は施設の構造によって異なる場合があります。具体的な判断は所轄消防署にご確認ください。

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