特例認定を受けた防火対象物で、管理権原者が交代したのに届出をしないままになっていないでしょうか。
この届出は消防法第46条の5により義務づけられており、怠ると刑事罰の罰金とは別の「過料」の対象になります。
過料は防火対象物点検の特例認定だけでなく、防災管理点検の特例認定にも同じように及びます。
本記事では、5万円以下の過料の対象になる届出の範囲と、権原者変更の届出義務を条文に沿って整理します。
特例認定を受けている建物で、経営者が交代したときの届出をうっかり忘れていました。
それは5万円以下の過料の対象になり得ます。
罰金と何が違うんですか。
過料は刑事罰ではない秩序罰です。
順番に見ていきましょう。
- 消防法第46条の5は、特例認定を受けた防火対象物の管理権原者変更届出などを怠ると5万円以下の過料に処すると定めています
- 過料は刑事罰の罰金とは異なる行政上の秩序罰で、確定しても前科は付きません
- 権原者変更の届出は第8条の2の3第5項に基づき、届け出るのは変更前の権原者と定められています
- 第36条第1項の準用により、防災管理点検の特例認定にも同じ届出義務が及びます
- 過料の対象になる届出は他にも特殊消防用設備等の軽微な変更の届出と自主表示対象機械器具等の届出事項変更等の2つがあります
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目次
過料と罰金はどう違うのか

まず消防法第46条の5の条文を確認します。
罰金は刑事罰で、確定すると前科が付き、検察官の起訴を経て刑事裁判で科されます。
一方の過料は行政上の秩序罰で、刑事罰ではないため前科は付きません。
消防法第46条の5が定める5万円以下の過料は、指定された届出を怠ったこと自体に対する制裁です。
金額は罰金より小さく見えますが、届出を怠っただけで科される点は見落とせません。
過料も罰金も同じようなものだと思っていました。
いいえ。
過料には前科が付きませんが、届出を怠れば科されます。
5万円以下の過料の対象になる届出は何か

まず中心になる届出の条文を確認します。
1つ目は、いま引用した特例認定を受けた防火対象物の管理権原者変更届出(第8条の2の3第5項)です。
2つ目は、特殊消防用設備等の認定を受けた者が軽微な変更をしたときの届出(第17条の2の3第4項)です。
3つ目は、自主表示対象機械器具等の製造・輸入業者が行う届出事項の変更や廃業の届出(第21条の16の4)で、こちらは設備を作る側の義務です。
このうち防火管理の実務でもっとも見落としやすいのが、次に見る1つ目の届出です。
届出がいる場面はそんなに種類があるんですね。
はい。
読者に関係が深いのは権原者変更の届出です。
管理権原者が変わったらなぜ届け出るのか

届出の様式を定めた規則の条文を確認します。
第8条の2の3第5項は「当該変更前の権原を有する者」に届出義務を課しており、退任する側が最後に手続きを終える構造になっています。
届出の様式は別記様式第一号の二の二の三と定められており、所轄の消防長または消防署長に提出します。
特例認定は防火対象物の状態だけでなく申請者との関係を前提にした制度なので、権原者が変われば認定の前提も変わるという理屈です。
届出そのものは認定の効力を失わせるものではありませんが、怠れば別途5万円以下の過料の対象になります。
新しい経営者が届け出るんじゃないんですか。
いいえ。
交代前の権原者が届け出る決まりです。
防災管理点検の特例認定にも同じ義務があるのか

防災管理点検の特例認定への準用を条文で確認します。
防火管理者は防災管理者に、防火対象物点検資格者は防災管理点検資格者に読み替えられ、条文の骨組みは同じまま防災管理版として機能します。
つまり防災管理点検の特例認定を受けた建物でも、権原者が変わればこれまで見てきた届出義務がそのまま生じます。
防火対象物点検・防災管理点検の両方の特例認定を受けている建物では、どちらの認定についても別々に届出が必要です。
片方だけ届け出て安心してしまうと、もう片方の届出懈怠でも5万円以下の過料の対象になり得ます。
うちは防火対象物点検の届出しか出していません。
防災管理点検の特例認定も持っているなら、そちらも別に届け出てください。
明日から何を確認すればよいのか

確認すべき順番を整理します。
- 自社または管理先の建物が、防火対象物点検・防災管理点検のどちらかの特例認定を受けていないかを確認する
- 過去に管理権原者の変更(法人の代表者交代・売却・合併等)があった場合、届出を済ませたかを確認する
- 両方の特例認定を受けている建物では、それぞれについて別々に届出が必要であることを担当者に周知する
- 届出は変更前の権原者が行うため、退任・交代の手続きの中にこの届出を組み込んでおく
うちの建物が対象かどうかは何を見ればいいですか。
認定証の掲示や過去の申請書類を確認してください。
よくある質問
まとめ
自社の特例認定と届出状況を、まず確認します!
特例認定や届出まわりの実務まで、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第46条の5
- 消防法第8条の2の3第5項・第36条第1項
- 消防法第17条の2の3第4項・第21条の16の4
- 消防法施行規則第4条の2の8第7項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





