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セルフ給油所は非常停止まで無人化できるのか|上位区分の条件付自動制御装置と係員の義務を解説

セルフ給油所は非常停止まで無人化できるのかを解説する記事のアイキャッチ画像給油所の制御卓とスタンド全景の写真

セルフ式のガソリンスタンドで、係員が非常停止ボタンに常に手をかけている必要はあるのでしょうか。
危険物の規制に関する規則第四十条の三の十は、条件付自動制御装置を使えば係員の監視や制御の一部を自動化できると定めています。
ただし基本形の装置で自動化できる範囲には、実は非常時の一斉停止が含まれていません。
この記事では、非常停止まで自動化できる上位区分の装置と、それでも残る係員の義務を条文から整理します。

うちのセルフスタンドは監視カメラ任せなのに、非常停止だけは係員がやると聞きました。

それが基本形の条件付自動制御装置の仕組みです。

非常停止まで自動化する方法は無いんでしょうか。

規則には上位区分の装置も定められています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 基本形の条件付自動制御装置(規則第二十八条の二の五第八号)が自動化できるのは直視監視と給油の開始・停止の制御までで、非常時の一斉停止は対象外です。
  • 非常停止の制御装置は同条第六号ニに規定され、火災その他の災害の際に全設備を一斉に止める役割を持ちます
  • 同条第九号の上位区分の条件付自動制御装置を設ければ、非常停止の制御まで自動化の対象に加えられます。
  • 上位区分の装置も監視設備・記録装置・表示という基本形と同じ三要件を備える必要があります
  • 上位区分を使っても、係員には異常時に直ちに認知して操作を引き継ぐ義務が残ります

基本形と上位区分の条件付自動制御装置の違いから非常停止まで自動化できる条件を示す図解

セルフ給油所の非常停止はなぜ基本形の装置では自動化されないのか

制御卓の前で係員が非常停止用の制御装置に手をかけているイメージ
まず、非常停止だけが自動化の対象から外れている理由を条文で確認します。
基準になるのは、装置が代替できる範囲を定めた規定です。
危険物の規制に関する規則第四十条の三の十第二項 条件付自動制御装置を使用して顧客の給油作業等の監視等を行う場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、前項第三号イからハまでの規定(略)は、適用しない。(略)危険物の規制に関する規則第二十八条の二の五第六号 (略)ニ 制御卓及び火災その他の災害に際し速やかに操作することができる箇所に、全ての固定給油設備及び固定注油設備のホース機器への危険物の供給を一斉に停止するための制御装置を設けること。
基本形の条件付自動制御装置が適用除外にできるのは、条文上「イからハまで」と明記された範囲だけです。
非常停止の制御装置は同条第六号ニに規定されており、この号は基本形の適用除外の対象に含まれていません。
つまり全設備を一斉に止める最後の操作だけは、基本形の装置を入れても係員の仕事のまま残ります。
この扱いを変えられるのが、次に見る上位区分の装置です。

条文の「イからハまで」に、非常停止のニは入っていないんですね。

はい、ニだけが除外されていません
次は上位区分の装置を見ましょう。

非常停止まで自動化できる上位区分の装置とはどんな装置か

給油エリア全体を映す複数のモニターと記録装置が並ぶ制御卓のイメージ
非常停止まで自動化するには、別枠の要件を満たす装置が必要です。
条文から確認します。
危険物の規制に関する規則第二十八条の二の五第九号 給油取扱所の係員が行う第六号ニに規定する制御装置(略)による制御を代替して自動的に行うことができる条件付自動制御装置であつて、告示で定める機能を有するものを設ける場合にあつては、前号イからハまでに定めるところによること。
上位区分の装置は、非常停止の制御まで代替できる条件付自動制御装置と定義されています。
満たすべき要件は「前号イからハまで」、つまり基本形(第八号)と同じ監視設備・記録装置・表示の三つです。
上位区分だからといって、まったく別の構造が必要になるわけではありません。
非常停止の制御まで担わせられる性能を告示の基準で満たしているかどうかが分かれ目になります。

基本形とは別の装置を新しく買い足す必要があるんですか。

告示の基準を満たす機能を持つ装置かどうかが分かれ目です。
次は運用がどう変わるかを見ましょう。

上位区分を使うと係員の操作義務はどう変わるのか

離れた事務所からモニターで給油エリア全体を見る係員のイメージ
上位区分の装置を設けると、適用除外の範囲そのものが広がります。
条文のかっこ書きを確認します。
危険物の規制に関する規則第四十条の三の十第二項 条件付自動制御装置を使用して顧客の給油作業等の監視等を行う場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、前項第三号イからハまでの規定(当該条件付自動制御装置が第二十八条の二の五第九号に規定するものである場合には、前項第三号イからニまでの規定)は、適用しない。
装置が第九号の上位区分に該当する場合、適用除外の範囲は「イからニまで」に広がります。
このニこそが、前のセクションで見た非常時の一斉停止にあたる号です。
つまり上位区分を導入すれば、非常停止についても係員がその都度操作せずに済む状態を作れます。
ただし広がるのはあくまで条文上の「適用しない」範囲であり、係員の義務が消えるという意味ではありません。

イからニまでになるだけで、そんなに変わるんですか。

はい、最後の砦だった非常停止まで含まれます。
次は残る義務を見ましょう。

それでも係員の義務がゼロにならないのはなぜか

無線機を持った係員が異常発生の表示灯にすぐ気づいて駆け寄るイメージ
適用除外の範囲が広がっても、条文が外していない部分があります。
ここを見落とすと、完全な無人運用ができると誤解しかねません。
危険物の規制に関する規則第四十条の三の十第二項 (略)四 給油取扱所の係員が、次の要件を満たしているとき。イ 前三号のいずれかに該当しなくなつた場合において、直ちに、そのことを認知するとともに、顧客の給油作業等の監視等を引き継ぎ、並びに第二十八条の二の五第六号ハ及びニに規定する制御装置(略)を確実に操作することができること。ロ 危険物の流出その他の事故が発生した場合において、直ちに、引き続く危険物の流出及び拡散の防止、流出した危険物の除去その他災害の発生の防止のための応急の措置を講ずることができること。
係員には、装置や条件が崩れたときに非常停止の制御装置まで確実に操作できる態勢が求められます。
この要件は基本形・上位区分のどちらの条件付自動制御装置を使う場合でも共通して外れません
事故が起きた場合に応急の措置を講じられることも、装置の区分にかかわらず必要な条件です。
上位区分は「都度の操作を任せられる範囲」を広げる規定であって、係員をゼロにする規定ではありません。

上位区分の装置さえ入れれば、係員はもう要らないと思っていました。

いいえ、直ちに操作を引き継げる態勢は必須です。
最後に確認の手順をまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

係員がクリップボードを持ち制御卓の表示と装置の区分を照合しているイメージ
最後に、これまでの内容を確認の手順として整理します。
順番にチェックしてください。
  • 設置している条件付自動制御装置が、基本形(第八号)か上位区分(第九号)かを確認する
  • 上位区分であっても監視設備・記録装置・表示の三要件を備えているかを確認する
  • 非常停止の制御まで自動化されている場合、その旨が告示の基準を満たす機能によるものかを確認する
  • 係員が、異常発生時に直ちに認知して操作を引き継げる態勢にあるかを確認する
  • 事故発生時に応急の措置を講じられる要員が確保されているかを確認する

装置の区分と係員の態勢の両方を見ればよいのですね。

はい、装置の区分と係員の態勢で確認してください。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Qセルフ給油所は、非常停止まで無人で運用できますか。
A規則第二十八条の二の五第九号に規定する上位区分の条件付自動制御装置を設ければ非常停止も適用除外の対象になりますが、係員が異常時に操作を引き継ぐ義務は残ります。
Q上位区分の装置は、基本形の装置と構造が違うのですか。
Aいいえ。規則第二十八条の二の五第九号は基本形と同じ監視設備・記録装置・表示の三要件を求めており、非常停止まで代替できる告示の機能を備えているかが分かれ目です。
Q上位区分を導入すれば、係員は現場を離れても構いませんか。
Aいいえ。条件から外れた場合に直ちに認知して操作を引き継げる態勢が前提で、応急の措置を講じられる要員の確保も必要です。
Q基本形の装置を先に入れてから、あとで上位区分に切り替えられますか。
A条文上は装置が告示で定める機能を満たすかどうかで区分が決まるため、機能を満たす装置に更新すれば上位区分としての扱いになります。

まとめ

基本形の条件付自動制御装置(規則第二十八条の二の五第八号)が自動化できるのは直視監視と給油の開始・停止の制御までです
非常停止の制御装置は同条第六号ニに規定され、基本形の適用除外には含まれません
同条第九号の上位区分の装置を設ければ、非常停止の制御まで適用除外の範囲に加わります
上位区分の装置も監視設備・記録装置・表示という基本形と同じ三要件を備えます
係員には、条件が崩れたときに直ちに認知して操作を引き継ぎ、応急の措置を講じられる態勢が求められます
上位区分は操作を任せられる範囲を広げる規定であって、係員をゼロにする規定ではありません
判断に迷うときは、所轄消防署に確認してください

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助かります

まずは装置の区分と係員の態勢から確認してください。
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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第二十七条第六項第一号の三
  • 危険物の規制に関する規則第四十条の三の十第二項
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の二の五第六号・第八号・第九号

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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