移送取扱所の配管には、危険物の流れを止めたりコントロールしたりするための弁が数多く取り付けられています。
なかでも経路を切り替える「切替え弁」や流れをコントロールする「制御弁」は、配管の弁のなかでも特に重要な役割を持つため、通常の弁より厳しい基準が求められます。
しかも設置場所が地上か地下かによって、確認すべき基準も変わってきます。
今回は、危険物の規制に関する規則第28条の49が定める切替え弁等の基準を解説します。
うちの移送取扱所にも配管をつなぎ替えるための弁がいくつかあるんですが、普通の弁と何が違うのか分かっていません。
切替え弁や制御弁には、配管の弁の基準に加えて専用の基準が上乗せされています。
まずは、なぜ別扱いになるのかを確認しましょう。
上乗せというと、共通する部分と追加される部分の両方があるということですか。
そのとおりです。
結論から確認して、そのあと条文の中身を順に見ていきましょう。
- 切替え弁、制御弁等は規則第28条の49の規定により告示で定める基準に従って設けなければならない
- 一般の配管の弁と同じく溶接部の肉厚や耐震性など第十七条第四号から第八号までの基準を準用する
- 切替え弁は原則として移送基地又は専用敷地内に設けなければならない
- 弁の開閉状態は設置場所において容易に確認できるものでなければならない
- 弁の管理者又はその指定した者以外は手動で開閉できない構造にしなければならない
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目次
切替え弁や制御弁はなぜ規則で別に定められているのか

このうち経路を切り替える弁や流れを制御する弁は、規則の中で独立した条文によって規制されています。
規則第28条の49は、「切替え弁、制御弁等」という配管の経路や流れをコントロールする弁について、具体的な基準を告示に委任しています。
規則の条文自体はごく短く、中身は告示第64条を確認しなければ分かりません。
告示第64条は、一般の配管の弁の基準を準用したうえで、切替え弁・制御弁だけに追加される基準を定める二段構えになっています。
次の見出しから、まず共通する基準を確認します。
切替え弁というのは、配管の途中にある弁なら何でも当てはまるんでしょうか。
いいえ、経路を切り替えたり流れを制御したりする役割を持つ弁が対象です。
次の見出しで、一般の弁と共通する基準を見ていきましょう。
切替え弁は配管の弁とどこが共通しているのか

まずはこの準用される一般の弁の基準を確認します。
第四号は溶接接続時の肉厚が急変しないように施工することを求め、第五号は弁の自重で配管に異常な応力をかけないよう取り付けを求めています。
第六号は地震力等の異常な力が直接弁に作用しないよう考慮することを、第七号は開閉速度を油撃作用(配管内の急な圧力変動)を考慮した速度にすることを求めています。
第八号はフランジ付き弁の材料規格を定めており、これらの五つの号は切替え弁・制御弁にもそのまま準用されます。
つまり切替え弁は、まず一般の弁としての基準をクリアしたうえで、次の見出しの追加基準を満たす必要があります。
一般の弁の基準がそのまま使われている部分も多いんですね。
そうです。
次の見出しで、切替え弁だけに追加される基準を確認しましょう。
切替え弁だけに追加される基準は何か

一つずつ確認します。
第一号は、切替え弁を移送基地又は専用敷地内という管理の行き届いた場所に置くことを原則としています。
第二号は、弁が開いているか閉じているかを設置場所で容易に確認できることを求めており、離れた場所からの遠隔確認だけでは足りません。
第三号は弁を地下に設ける場合の基準で、次の見出しで詳しく確認します。
第四号は、弁の管理者又はその指定した者以外が手動で開閉できない構造を求めており、無関係な人が誤って弁を操作することを防いでいます。
開閉状態がひと目で分かるようにする、というのは具体的にはどんな表示を想定すればいいんでしょうか。
条文に表示の形式までは定められていませんが、開閉の状態が現地で判別できることが条件です。
所轄消防署に確認しながら整備するのが確実です。
地下に設ける切替え弁はどう扱われるのか

地上に設ける場合との違いを確認します。
第三号は「弁を地下に設ける場合」という条件付きの規定で、地上に設ける弁には点検箱を求めていません。
地下の弁を点検箱に収める理由は条文に明記されていませんが、土砂に埋もれて位置が分からなくなることや、開閉状態を確認できなくなることを防ぐためと考えられます。
一方、第四号の無権限者による操作の禁止は地上・地下の区別なく、すべての切替え弁・制御弁に一律で適用されます。
「地下だけの条件」と「地上地下共通の条件」を混同しないことが実務では大切です。
地下に埋めてしまえば、点検箱がなくても表示さえあれば大丈夫だと思っていました。
地下設置の弁には点検箱内への設置が明文で義務づけられています。
埋設方式を採用する前に条文を確認しておきましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

確認の起点は、弁の設置場所と操作できる人の範囲です。 まず設置場所が移送基地または専用敷地内にあるかを確認します。
切替え弁・制御弁が移送基地又は専用敷地内にあるかどうかを最初に確認し、該当しない場所にあれば早急に是正を検討します。
次に、弁の開閉状態が設置場所で容易に確認できる状態になっているかを点検します。
地下に設けている弁については、点検箱の有無と、ふたの開閉に支障がないかを確認します。
最後に、弁を手動で開閉できるのが管理者またはその指定した者に限られているか、施錠や立入制限の状況を見直すことをおすすめします。
まずは地下の弁に点検箱が付いているかどうかから確認してみます。
それが確認できれば、開閉表示と操作制限も合わせて見直せます。
不明な点があれば所轄消防署にも相談してみてください。
よくある質問
まとめ
移送基地内にあるかどうかから確認してみます!
切替え弁や制御弁の基準づくりは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第28条の49
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第64条・第17条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





