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屋内貯蔵所や屋外タンク貯蔵所はどこから消火困難な施設になるのか|第四種と第五種を組み合わせる基準を解説

消火困難な施設の消火設備の基準を解説する記事のアイキャッチ画像倉庫で消火器を点検する担当者

危険物施設の消火設備は、著しく消火困難・消火困難・その他という三段階に分けて基準が定められています。
このうち「消火困難」に区分される施設は、著しく消火困難ほど大規模ではないものの、第五種だけでは足りません
屋内貯蔵所や屋外タンク貯蔵所、屋外貯蔵所や給油取扱所など、対象になる施設の種類も区分の基準もそれぞれ異なります。
この記事では危険物の規制に関する規則第三十四条が定める消火困難な施設の区分と消火設備の基準を解説します

うちは屋内貯蔵所なんですが、著しく消火困難と消火困難のどちらに当たるのか分かりません。

延べ面積などの基準を確認すれば区分できます。
まず規則第三十四条を見てみましょう。

消火困難になると、消火設備はどう変わるんですか。

第四種と第五種を組み合わせて設けることになります。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 危険物施設の消火設備は著しく消火困難・消火困難・その他の三段階に区分され、規則第三十四条は中間の「消火困難」に当たる施設の基準を定めている
  • 屋内貯蔵所は貯蔵倉庫の延べ面積が百五十平方メートルを超えると消火困難に区分される
  • 第二種販売取扱所は規模を問わずすべて消火困難に区分される
  • 消火困難な施設は第四種の消火設備と第五種の消火設備を組み合わせて設ける必要がある
  • 屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所は第四種と第五種をそれぞれ一個以上設ける

危険物施設の消火設備が著しく消火困難消火困難その他の三段階に区分され消火困難は屋内貯蔵所の延べ面積百五十平方メートル超と第二種販売取扱所が対象で第四種と第五種を組み合わせ屋内消火栓等の放射能力範囲内は第四種を省略できることを示した図解

消火困難な施設とはどの段階に位置づけられるのか

製造所の建屋と屋内貯蔵倉庫と給油取扱所が並ぶ様子
危険物施設の消火設備基準は、施設の危険度に応じて三段階に分かれています。
規則第三十四条が対象にするのは、そのうち中間に位置づけられる施設です。
危険物の規制に関する政令第二十条第一項第二号 (前号に掲げるもの以外の製造所等のうち)火災が発生したとき消火が困難と認められるもので総務省令で定めるものは、総務省令で定めるところにより、別表第五に掲げる対象物について同表においてその消火に適応するものとされる消火設備のうち、第四種及び第五種の消火設備を設置すること。 危険物の規制に関する規則第三十四条 令第二十条第一項第二号の総務省令で定める製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、屋外貯蔵所、給油取扱所、第二種販売取扱所及び一般取扱所は、次の各号のとおりとする。
規則第三十四条は「著しく消火困難」より一段階軽い「消火困難」の施設を対象にしています。
危険物施設は規則第三十三条(著しく消火困難)で最も重い基準が定められ、それに次ぐ規模の施設に第三十四条が適用されます。
第三十三条の施設が第一種から第三種までの大型消火設備を求められるのに対し、第三十四条の施設は第四種と第五種の組み合わせで足ります。
同じ危険物施設でも、規模や取り扱う危険物の量によって求められる消火設備の種類がまったく違う点がこの条文の出発点です。

著しく消火困難と消火困難の違い、どう見分けるんでしょう。

規模や延べ面積の数値で決まります。
次の見出しで具体的な基準を確認しましょう。

どんな施設が消火困難に区分されるのか

延べ面積を示す線で囲まれた屋内貯蔵倉庫と硫黄等を収めた屋外の囲いと店舗のような第二種販売取扱所が並ぶ様子
規則第三十四条第一項は、施設の種類ごとに数値の基準を定めています。
屋内貯蔵所や屋外貯蔵所は面積や指定数量の倍数で、第二種販売取扱所は規模を問わず対象になります。
危険物の規制に関する規則第三十四条第一項第二号 屋内貯蔵所のうち、(略)貯蔵倉庫の延べ面積が百五十平方メートルを超えるもの(略)。 第四号 屋外貯蔵所のうち、塊状の硫黄等のみを地盤面に設けた囲いの内側で容器に収納しないで貯蔵し、又は取り扱うものにあつては当該囲いの内部の面積が五平方メートル以上百平方メートル未満のもの(略)。 第五号 第二種販売取扱所
面積や指定数量の倍数が一定の線を超えると、消火困難な施設として扱われます。
屋内貯蔵所は貯蔵倉庫の延べ面積が百五十平方メートルを超えると、著しく消火困難の基準に届かなくても消火困難に区分されます。
屋外貯蔵所で硫黄等を容器に入れずに貯蔵する場合は、囲いの内部の面積が五平方メートル以上百平方メートル未満という帯で消火困難になります。
一方、第二種販売取扱所は面積や数量にかかわらず、施設の種類そのものでこの区分に入る点が他と異なります。

うちの倉庫、延べ面積を測ったことがありませんでした。

百五十平方メートルという数字がひとつの目安です。
図面で一度確認してみてください。

消火設備は第四種と第五種をどう組み合わせるのか

据置型の大型消火設備と小型消火器がタンクの脇に並ぶ様子
消火困難に区分された施設は、規則第三十四条第二項で消火設備の組み合わせが決まっています。
施設の種類によって、求められる数値の基準が違います。
危険物の規制に関する規則第三十四条第二項第一号 製造所、屋内貯蔵所、屋外貯蔵所、給油取扱所、第二種販売取扱所及び一般取扱所にあつては、第四種の消火設備をその放射能力範囲が建築物その他の工作物及び危険物を包含するように設け、並びに第五種の消火設備をその能力単位の数値が危険物の所要単位の数値の五分の一以上になるように設けること。 第二号 屋外タンク貯蔵所又は屋内タンク貯蔵所にあつては、第四種及び第五種の消火設備をそれぞれ一個以上設けること。
施設の種類によって、第五種消火設備の量の決め方が違います。
製造所や屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・給油取扱所・第二種販売取扱所・一般取扱所は、第四種消火設備を建築物と危険物を包含するように設けたうえで、第五種消火設備を所要単位の五分の一以上の能力単位で設けます。
屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所はこれと違い、第四種と第五種をそれぞれ一個以上設ければ足ります
同じ「第四種と第五種」という言葉でも、施設の種類によって数え方の基準がまったく違います。

うちは屋外タンク貯蔵所なんですが、第五種は何個あればいいんでしょうか。

タンク貯蔵所は第四種と第五種をそれぞれ一個以上で足ります。
所要単位の計算は不要です。

実務で見落としやすいのはどこか

屋内消火栓のある建物の内側の区画と離れた区画に大型消火設備が置かれた対比
規則第三十四条第三項には、第四種の消火設備を省略できる例外があります。
ただし省略できるのは一部の範囲だけです。
危険物の規制に関する規則第三十四条第三項 第一項各号に掲げる製造所等に第一種、第二種又は第三種の消火設備を設けるときは、前項の規定にかかわらず、当該設備の放射能力範囲内の部分について第四種の消火設備を設けないことができる
第一種から第三種までの消火設備がある範囲だけ、第四種を省略できます。
たとえば屋内消火栓設備(第一種)を設けている施設で、その放射能力範囲内であれば第四種消火設備を重ねて設ける必要はありません。
ただし放射能力範囲の外側にある建築物や危険物には、この省略は適用されません。
「大型の消火設備があるから第四種は要らない」と施設全体を一括りにすると、範囲外の部分で基準を満たさなくなる落とし穴があります。

うちは屋内消火栓があるので、第四種はもう要らないと思ってました。

放射能力範囲の外側は別に確認が必要です。
図面で範囲を確認しましょう。

明日からなにを確認すればよいのか

担当者がクリップボードを持ち倉庫の図面と消火設備を確認する様子
自分の施設がどの区分に当たるかで、必要な消火設備の組み合わせが変わります。
まず区分を確認したうえで、それぞれの基準に沿って点検しましょう。
  • 自分の施設が著しく消火困難・消火困難・その他のどれに当たるかをまず確認する
  • 屋内貯蔵所は貯蔵倉庫の延べ面積が百五十平方メートルを超えていないかを確認する
  • 屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所は第四種と第五種をそれぞれ一個以上設けているかを確認する
  • 屋内消火栓等がある場合は放射能力範囲の内外で第四種の要否が変わることを確認する
危険物の規制に関する規則第三十四条第一項・第二項・第三項(前掲のとおり)を、自分の施設の図面や消火設備の配置と照らし合わせて確認することが実務上の第一歩になります。

今日中に倉庫の延べ面積を図面で確認します。

屋内消火栓の放射能力範囲もあわせて確認しましょう。

よくある質問

Q消火困難とその他ではなにが一番違うのですか?
A消火設備の種類が違います。その他(規則第三十五条)は第五種のみですが、消火困難(第三十四条)は第四種と第五種を組み合わせて設けます。
Q屋内貯蔵所の延べ面積が百五十平方メートルちょうどの場合はどうなりますか?
A条文は「百五十平方メートルを超えるもの」と定めているため、ちょうど百五十平方メートルは対象外です。ただし判断は所轄消防署に確認してください。
Q屋外タンク貯蔵所の第四種消火設備はどんな種類でもよいのですか?
A別表第五で危険物の品名等に応じて適応する消火設備の種類が定められています。品名を確認したうえで選定する必要があります。
Q屋内消火栓の放射能力範囲はどうやって確認すればよいですか?
A設置図面や消防計画に記載された放射能力範囲を確認します。分からない場合は所轄消防署や施工業者、㈱防災屋にご相談ください。

まとめ

危険物施設の消火設備は著しく消火困難・消火困難・その他の三段階に区分される
規則第三十四条は中間に位置づけられる「消火困難」な施設の基準を定める
屋内貯蔵所は貯蔵倉庫の延べ面積が百五十平方メートルを超えると消火困難に区分される
第二種販売取扱所は規模を問わずすべて消火困難に区分される
消火困難な施設は第四種の消火設備と第五種の消火設備を組み合わせて設ける
屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所は第四種と第五種をそれぞれ一個以上設ける
屋内消火栓等の放射能力範囲内であれば第四種の設置を省略できる

うちの施設がどの区分か、今日中に図面を確認します!

放射能力範囲の内外もあわせて確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第二十条第一項第二号
  • 危険物の規制に関する規則第三十四条
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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