危険物の規制に関する政令第二十七条は、危険物の取扱いの技術上の基準を定めています。
蒸留や抽出といった製造工程だけでなく、詰替や消費や廃棄にもそれぞれ専用の基準が置かれています。
防火上安全な場所で行うことや、作業後の廃液や見張人の要否まで、行為ごとに求められることが違います。
この記事では政令第二十七条第三項から第五項に基づいて、詰替・消費・廃棄それぞれの取扱いの基準を解説します
詰替や廃棄まで基準があるとは、正直あまり意識していませんでした。
詰替や廃棄にも防火上安全な場所という基準があります。
製造ほど目立ちませんが、確認しておくと安心です。
消費の基準というのは、具体的にどんな作業を指すんでしょうか。
吹付塗装や焼入れや染色又は洗浄など、現場でよく行う作業が対象です。
順番に見ていきましょう。
- 危険物の詰替・消費・廃棄には、それぞれ政令第二十七条が定める専用の技術上の基準がある
- 詰替は容器への収納方法に加え、防火上安全な場所で行うことが必要である
- 吹付塗装は防火上有効な隔壁等で区画された安全な場所で行う
- 焼入れは危険物が危険な温度に達しないように行い、染色又は洗浄は換気をよくして廃液を放置しない
- 焼却は見張人をつけて行い、海中又は水中への流出・投下は原則禁止である
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目次
危険物の詰替や消費や廃棄にはなぜ専用の基準があるのか

製造所や取扱所では、危険物を作るだけでなく、詰め替えたり、消費したり、廃棄したりする場面があります。
政令はこれらの行為ごとに、別々の号で取扱いの基準を定めています。
同条第三項 危険物の取扱いのうち詰替の技術上の基準は、次のとおりとする。
同条第四項 危険物の取扱いのうち消費の技術上の基準は、次のとおりとする。
同条第五項 危険物の取扱いのうち廃棄の技術上の基準は、次のとおりとする。
詰替・消費・廃棄にも、それぞれ専用の基準があります。
製造工程と同じ第二十七条の中に置かれていますが、対象になる行為が号ごとに分かれています。
第三項は詰替、第四項は消費、第五項は廃棄と、行為の性質ごとに求められることが違います。
どの行為も危険物が漏れる・あふれる・危害を及ぼすことを防ぐという発想は共通していますが、注目する場面は行為ごとに違います。
次から三つを順番に見ていきます。
詰替も消費も廃棄も、ひとつの条文にまとまっているんですね。
第二十七条の中で号が分かれているだけで、内容は行為ごとに違います。
順番に確認していきましょう。
詰替はどんな場所と方法で行えばよいのか

詰替は、タンクや大きな容器から別の容器へ危険物を移す作業です。
政令は収納の方法と、作業を行う場所の両方に基準を置いています。
一 危険物を容器に詰め替える場合は、総務省令で定めるところにより収納すること。
二 危険物を詰め替える場合は、防火上安全な場所で行うこと。
収納の方法と場所の両方が問われます。
第一号は容器への詰め方そのもの、第二号は詰め替える場所を指定しており、二つの視点で見ます。
容器の材質や密閉性だけでなく、詰替を行う場所が防火上安全かどうかも同時に満たす必要があります。
火気の近くや通路をふさぐ場所での詰替は、収納方法が正しくても基準を満たしません。
容器と場所の両方を、詰替のたびに確認する習慣が実務の中心になります。
容器さえ正しければ、場所はどこでもいいと思っていました。
場所も別立ての基準です。
火気の近くや通路をふさぐ場所は避けてください。
吹付塗装や焼入れや染色又は洗浄の作業にはどんな基準があるのか

消費は、危険物を使って製品を仕上げる作業です。
吹付塗装・焼入れ・染色又は洗浄という代表的な三つの作業に、それぞれ基準が置かれています。
一 吹付塗装作業は、防火上有効な隔壁等で区画された安全な場所で行うこと。
二 焼入れ作業は、危険物が危険な温度に達しないようにして行うこと。
三 染色又は洗浄の作業は、可燃性の蒸気の換気をよくして行うとともに、廃液をみだりに放置しないで安全に処置すること。(第四号のバーナーを使用する場合の基準は別記事で解説済みのため略)
三つの作業は、それぞれ違う視点で規制されています。
吹付塗装は場所そのものを隔壁で区画すること、焼入れは温度を危険な水準まで上げないことが中心です。
染色又は洗浄は換気と廃液の処置という、作業後まで含めた基準になっています。
どれも装置の型式までは指定しておらず、作業の状態や結果を基準にしている点は共通しています。
現場では作業の種類ごとに、見るべきポイントを分けて確認してください。
三つとも別々に覚えないといけないんですね。
場所・温度・換気と廃液という三つの視点で分けて考えると整理しやすいです。
作業日誌にもこの三つを書き込んでおきましょう。
危険物を焼却や埋没で廃棄するにはどんな基準があるのか

廃棄は、不要になった危険物を処分する作業です。
焼却・埋没・海中又は水中への投下という三つの方法に、それぞれ基準が置かれています。
一 焼却する場合は、安全な場所で、かつ、燃焼又は爆発によつて他に危害又は損害を及ぼすおそれのない方法で行うとともに、見張人をつけること。
二 埋没する場合は、危険物の性質に応じ、安全な場所で行うこと。
三 危険物は、海中又は水中に流出させ、又は投下しないこと。ただし、他に危害又は損害を及ぼすおそれのないとき、又は災害の発生を防止するための適当な措置を講じたときは、この限りでない。
海中や水中への投下は、原則として禁止されています。
焼却は場所と方法に加えて見張人を置くことまで求められ、燃え広がりや爆発を人の目で監視する前提です。
埋没は危険物の性質に応じた安全な場所を選ぶ必要があり、性質を確認せずに埋めることは基準を満たしません。
海中又は水中への投下だけは、ただし書きで例外が認められていますが、危害のおそれがないと言い切れる場面は限られます。
廃棄の方法に迷ったら、まず投下ではなく焼却か埋没を検討し、専門業者への委託もあわせて考えてください。
使い残しは川に流してもいいと思っていました。
海中又は水中への投下は原則禁止です。
迷ったら流さずに、焼却や専門業者への委託を検討してください。
詰替や消費や廃棄の前に何を確認すればよいのか

詰替・消費・廃棄はどれも日常的に行う作業なので、基準を覚えるだけでなく確認の手順に落とし込むことが大切です。
政令はこの先の号でも、施設ごとに基準を積み重ねています。
まず押さえるべきは製造・詰替・消費・廃棄という四つの基本です。
第六項以降は給油取扱所や移送取扱所など施設ごとの基準を積み重ねていく構成になっています。
詰替の前には容器と場所、消費の前には作業の種類ごとの隔壁や温度や換気、廃棄の前には方法と見張人の要否を確認してください。
現場の作業日誌に、この三つの確認項目をチェック欄として組み込んでおくと抜け漏れが減ります。
基本の四つを押さえたうえで、自分の施設に他の号が及ぶかどうかは個別に確認しておきましょう。
確認すべきことが増えると、日々の点検が大変そうです。
詰替・消費・廃棄の三つの確認項目をチェック欄にしておけば負担は減ります。
まずは自分の施設に当てはまる号から確認してください。
よくある質問
まとめ
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
詰替も消費も廃棄も、それぞれ見るべきポイントが違うんですね。
次の点検からさっそく確認します!
行為ごとの確認ポイントを押さえておけば十分です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 消防法第十条第三項
- 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第二十七条第一項・第三項・第四項・第五項・第六項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





