ガソリンスタンドの多くは、顧客自身がノズルを持って給油するセルフ式です。
このセルフ式には、通常の給油取扱所には無い専用の表示義務が数多く上乗せされています。
進入時の掲示から給油ノズルの色分けまで、条文は思った以上に細かく決めています。
この記事では、セルフ式ガソリンスタンドに義務づけられる表示の中身と見落としやすい点を順番に整理します。
いつも行くスタンドはセルフ式なんですが、何か特別な決まりがあるんですか。
はい、通常より詳しい表示が義務づけられています。
色分けまで決まっているとは知りませんでした。
文字と色の両方にルールがあります。
- 顧客が自ら給油等を行うセルフ式の給油取扱所には、通常の給油取扱所を上回る特別な表示義務が課されています。
- 通常の給油取扱所の表示義務は給油ホース近くへの品目表示だけですが、セルフ式はこれに加えて何段階も上乗せされます。
- 進入時に見やすい箇所へセルフ式である旨を掲示することが義務づけられています。
- 給油ノズルにはレギュラー・ハイオク・軽油・灯油それぞれ定められた文字と色で表示しなければなりません。
- スタッフ専用の給油設備には逆に、顧客が自ら使えない旨の表示が必要で、ここが見落とされがちです。
▼

目次
セルフ給油ができる給油取扱所とはどこを指すのか

言葉の範囲を先に固めておくと、あとの表示義務が理解しやすくなります。
スタッフが給油する通常の給油取扱所とは区別され、「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所」という正式な呼び方が条文にあります。
顧客自身が操作するからこそ、誤操作や誤給油を防ぐための追加ルールが必要になります。
その追加ルールは、総務省令、つまり危険物の規制に関する規則に細かく定められています。
次の項目から、通常の給油取扱所との表示義務の違いを見ていきます。
灯油を自分で容器に詰め替えるのもセルフ式に入るんですね。
はい、給油も詰め替えも同じ扱いです。
表示義務は普通の給油取扱所とどう違うのか

基準になるのは、規則にある一般ルールです。
場所は「給油ホース等の直近」、内容は「取り扱う危険物の品目」の二点だけが条文の要求です。
一方でセルフ式には、この一般ルールを上書きする形で追加の特例が定められています。
条文は「第二十五条の三の規定にかかわらず」と明記し、セルフ式だけ別の基準に切り替えています。
次の項目で、その切り替え後の中身を具体的に確認します。
普通のスタンドはそんなに表示が少ないんですね。
はい、位置と品目の二点だけです。
具体的に何を表示しなければならないのか

まずは進入時の掲示と、色分けを含む品目表示の中身を見ます。
続いて給油機側では、その設備が顧客用かスタッフ専用かを見やすく示し、周囲の地盤面には停止位置なども表示します。
使用方法と品目の表示では、レギュラーガソリンは赤、ハイオクガソリンは黄、軽油は緑、灯油は青と、油種ごとに文字と色が細かく決まっています。
文字による品目表示はどの給油取扱所でも必須ですが、色を付けるかどうかは任意です。
次の項目で、この三段階のうち見落としやすいポイントを整理します。
色まで決まっているとは、思ったより細かいですね。
はい、誤給油を防ぐための工夫です。
見落としやすいのはどこか

いずれも「片方だけ整えて終わり」にしてしまいがちな部分です。
顧客が自ら用いることができない旨の表示は、顧客用と対になる義務なので両方そろって初めて基準を満たします。
また、バイオエタノールを混合した燃料を扱う場合、通常のレギュラー・ハイオクとは別の色が定められており、名前が似ているだけに取り違えやすいところです。
彩色そのものは任意ですが、彩色する場合は定められた色から外れてはいけません。
文字表示は彩色の有無にかかわらず常に必須という点も、あわせて確認しておく必要があります。
スタッフ専用の給油機にも表示が必要とは思っていませんでした。
はい、顧客用と対になる義務です。
明日からなにを確認すればよいのか

条文の号を順番になぞるだけで、抜けなく点検できます。
該当するなら、①進入時の掲示、②顧客用設備の油種ごとの文字と色の表示、③スタッフ専用設備の逆表示の三点を順に点検します。
色を付けている場合は、バイオエタノール混合燃料の区分が通常の色と混ざっていないかも見ておきます。
非該当の通常の給油取扱所であれば、位置と品目だけのシンプルな表示で足ります。
判断に迷う項目があれば、点検業者や所轄消防署に確認しておくと安心です。
まずは自分のスタンドがセルフ式に該当するか確認します。
はい、それが確認の出発点になります。
よくある質問
まとめ
色分けにも意味があるとよく分かりました。
まずは自分のスタンドの表示を見てみます!
その際は専用設備側の表示もあわせてご確認ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十七条第五項(顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所の特例)
- 危険物の規制に関する規則第二十五条の三(固定給油設備の表示の一般基準)
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の二の五(顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所の表示に関する特例)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





