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セルフ式ガソリンスタンドの表示はなぜ普通の給油取扱所と違うのか|ハイオクとレギュラーの色分けや進入時の掲示も解説

セルフ式給油取扱所で色分けされた給油ノズルの表示をクリップボードを持って確認する担当者の写真

ガソリンスタンドの多くは、顧客自身がノズルを持って給油するセルフ式です。
このセルフ式には、通常の給油取扱所には無い専用の表示義務が数多く上乗せされています。
進入時の掲示から給油ノズルの色分けまで、条文は思った以上に細かく決めています。
この記事では、セルフ式ガソリンスタンドに義務づけられる表示の中身と見落としやすい点を順番に整理します。

いつも行くスタンドはセルフ式なんですが、何か特別な決まりがあるんですか。

はい、通常より詳しい表示が義務づけられています。

色分けまで決まっているとは知りませんでした。

文字と色の両方にルールがあります。

この記事の結論
  • 顧客が自ら給油等を行うセルフ式の給油取扱所には、通常の給油取扱所を上回る特別な表示義務が課されています。
  • 通常の給油取扱所の表示義務は給油ホース近くへの品目表示だけですが、セルフ式はこれに加えて何段階も上乗せされます。
  • 進入時に見やすい箇所へセルフ式である旨を掲示することが義務づけられています。
  • 給油ノズルにはレギュラー・ハイオク・軽油・灯油それぞれ定められた文字と色で表示しなければなりません。
  • スタッフ専用の給油設備には逆に、顧客が自ら使えない旨の表示が必要で、ここが見落とされがちです。

セルフ式給油取扱所の進入時掲示・品目色分け表示・専用表示の三段階の表示義務をまとめた図解

セルフ給油ができる給油取扱所とはどこを指すのか

セルフ式の給油取扱所で顧客が自分の車に給油し隣でスタッフが別の車に給油しているイメージ
まずは、この記事でいう「セルフ式」がどの給油取扱所を指すのかを確認します。
言葉の範囲を先に固めておくと、あとの表示義務が理解しやすくなります。
危険物の規制に関する政令第十七条第五項 顧客に自ら自動車等に給油させ、又は灯油若しくは軽油を容器に詰め替えさせる給油取扱所として総務省令で定めるもの(「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所」という。)については、総務省令で、前各項に掲げる基準を超える特例を定めることができる。
セルフ式とは、顧客自身が自動車等に給油する、または灯油・軽油を容器に詰め替える給油取扱所のことです。
スタッフが給油する通常の給油取扱所とは区別され、「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所」という正式な呼び方が条文にあります。
顧客自身が操作するからこそ、誤操作や誤給油を防ぐための追加ルールが必要になります。
その追加ルールは、総務省令、つまり危険物の規制に関する規則に細かく定められています。
次の項目から、通常の給油取扱所との表示義務の違いを見ていきます。

灯油を自分で容器に詰め替えるのもセルフ式に入るんですね。

はい、給油も詰め替えも同じ扱いです。

表示義務は普通の給油取扱所とどう違うのか

普通の給油取扱所の一枚だけの簡素な表示とセルフ式の四枚並んだ色分け表示を対比したイメージ
続いて、通常の給油取扱所とセルフ式とで、表示義務の重さがどう違うのかを比べます。
基準になるのは、規則にある一般ルールです。
危険物の規制に関する規則第二十五条の三 令第十七条第一項第十一号(同条第二項においてその例による場合を含む。)の規定による表示は、次のとおりとする。一 給油ホース等の直近の位置に表示すること。二 取り扱う危険物の品目を表示すること。
通常の給油取扱所は、給油ホースの近くに危険物の品目を表示するだけで足ります。
場所は「給油ホース等の直近」、内容は「取り扱う危険物の品目」の二点だけが条文の要求です。
一方でセルフ式には、この一般ルールを上書きする形で追加の特例が定められています。
条文は「第二十五条の三の規定にかかわらず」と明記し、セルフ式だけ別の基準に切り替えています。
次の項目で、その切り替え後の中身を具体的に確認します。

普通のスタンドはそんなに表示が少ないんですね。

はい、位置と品目の二点だけです。

具体的に何を表示しなければならないのか

セルフ式給油取扱所の入口の掲示板と給油機の黄赤緑青四色のラベルのイメージ
セルフ式に上乗せされる表示は、大きく三段階に分かれます。
まずは進入時の掲示と、色分けを含む品目表示の中身を見ます。
危険物の規制に関する規則第二十八条の二の五第一号 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所には、当該給油取扱所へ進入する際見やすい箇所に顧客が自ら給油等を行うことができる給油取扱所である旨を表示すること。(略)第二号(五号ロ) 顧客用固定給油設備及び顧客用固定注油設備にあつては、その給油ホース等の直近その他の見やすい箇所に、ホース機器等の使用方法及び危険物の品目を表示すること。(略)文字及び彩色を施す場合の色を定める。
まず進入する際に見やすい箇所へ「セルフ式である旨」を表示しなければなりません。
続いて給油機側では、その設備が顧客用スタッフ専用かを見やすく示し、周囲の地盤面には停止位置なども表示します。
使用方法と品目の表示では、レギュラーガソリンは赤、ハイオクガソリンは黄、軽油は緑、灯油は青と、油種ごとに文字と色が細かく決まっています。
文字による品目表示はどの給油取扱所でも必須ですが、色を付けるかどうかは任意です。
次の項目で、この三段階のうち見落としやすいポイントを整理します。

色まで決まっているとは、思ったより細かいですね。

はい、誤給油を防ぐための工夫です。

見落としやすいのはどこか

表示のないスタッフ専用の給油機に禁止マークがつき表示のある給油機に合格マークがつくイメージ
セルフ式の表示義務で見落とされやすい点を三つ確認します。
いずれも「片方だけ整えて終わり」にしてしまいがちな部分です。
危険物の規制に関する規則第二十八条の二の五第五号ハ 顧客用固定給油設備及び顧客用固定注油設備以外の固定給油設備又は固定注油設備を設置する場合にあつては、顧客が自ら用いることができない固定給油設備又は固定注油設備である旨を見やすい箇所に表示すること。
顧客用の設備ばかりに気を取られ、スタッフ専用の設備側の表示を忘れる事例があります。
顧客が自ら用いることができない旨の表示は、顧客用と対になる義務なので両方そろって初めて基準を満たします。
また、バイオエタノールを混合した燃料を扱う場合、通常のレギュラー・ハイオクとは別の色が定められており、名前が似ているだけに取り違えやすいところです。
彩色そのものは任意ですが、彩色する場合は定められた色から外れてはいけません。
文字表示は彩色の有無にかかわらず常に必須という点も、あわせて確認しておく必要があります。

スタッフ専用の給油機にも表示が必要とは思っていませんでした。

はい、顧客用と対になる義務です。

明日からなにを確認すればよいのか

担当者がクリップボードを持ちながら入口掲示と給油機の表示とスタッフ専用給油機を順に確認しているイメージ
最後に、実際の施設で確認すべき手順を整理します。
条文の号を順番になぞるだけで、抜けなく点検できます。
危険物の規制に関する規則第二十八条の二の五 前条の給油取扱所に係る令第十七条第五項の規定による同条第一項に掲げる基準を超える特例は、この条の定めるところによる。
まず自分の施設が「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所」に該当するかを確認してください。
該当するなら、①進入時の掲示、②顧客用設備の油種ごとの文字と色の表示、③スタッフ専用設備の逆表示の三点を順に点検します。
色を付けている場合は、バイオエタノール混合燃料の区分が通常の色と混ざっていないかも見ておきます。
非該当の通常の給油取扱所であれば、位置と品目だけのシンプルな表示で足ります。
判断に迷う項目があれば、点検業者や所轄消防署に確認しておくと安心です。

まずは自分のスタンドがセルフ式に該当するか確認します。

はい、それが確認の出発点になります。

よくある質問

Qセルフ式かどうかは誰が決めるのですか?
A政令第十七条第五項が定める「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所」に該当するかどうかで決まります。顧客自身が給油または詰め替えを行える設備を備えていれば該当します。
Q給油ノズルに色を付けなければ違反になりますか?
A色を付けること自体は義務ではありません。ただし品目を示す文字の表示は彩色の有無にかかわらず必須で、これを欠くと基準を満たしません。
Qバイオエタノール混合燃料の色は普通のガソリンと同じですか?
A同じではありません。規則が定める表で、通常のレギュラー・ハイオクとは別の色が指定されており、混同しないよう区別されています。
Qスタッフ専用の給油機にも表示は必要ですか?
A必要です。規則第二十八条の二の五第五号ハにより、顧客が自ら用いることができない旨を見やすい箇所に表示しなければなりません。

まとめ

セルフ式は、政令第十七条第五項がいう「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所」に当たる施設です
通常の給油取扱所の表示義務は給油ホース近くの品目表示だけです
セルフ式には、進入時の掲示・油種ごとの表示・専用設備の逆表示という三段階が上乗せされます
レギュラーは赤、ハイオクは黄、軽油は緑、灯油はという色と文字が定められています
彩色は任意ですが、文字による品目表示は彩色の有無を問わず常に必須です
スタッフ専用の設備には顧客が自ら用いることができない旨の表示も忘れず必要です
判断に迷う場合は、点検業者や所轄消防署に確認してください

色分けにも意味があるとよく分かりました。
まずは自分のスタンドの表示を見てみます!

その際は専用設備側の表示もあわせてご確認ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十七条第五項(顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所の特例)
  • 危険物の規制に関する規則第二十五条の三(固定給油設備の表示の一般基準)
  • 危険物の規制に関する規則第二十八条の二の五(顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所の表示に関する特例)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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