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火薬庫の喫煙はなぜ何人も禁止されるのか|消防法や危険物施設の火気制限との違いを解説

火薬庫ではなぜ何人も喫煙禁止なのか|消防法や危険物施設の火気制限との違い

花火工場や火薬庫のそばで、なにげなく一服してしまったことはありませんか。
実は火薬類を扱う施設では、喫煙そのものが法律で直接禁止されています。
消防法が定める通常の火気制限や、危険物施設の「火気厳禁」表示とは、規制の仕組みがまったく違います。
この記事では、火薬類取締法が定める喫煙等の制限と、消防法・危険物施設のルールとの違いを解説します。

取引先の火薬庫の前で、指定された場所ではないところで一本だけ煙草を吸ってしまいました。
従業員ではなく来客なので大丈夫ですよね。

いいえ、火薬庫では来客も含めた何人も喫煙が禁止されています

普通の建物なら、喫煙室の外は自己責任だと思っていました。

火薬類を扱う施設は法律そのものが喫煙を直接禁止している点が違います。
その理由から見ていきましょう。

この記事の結論
  • 火薬類の製造所や火薬庫では、指定する場所以外での喫煙が何人も禁止されています
  • 承諾を得ずに発火し易い物を携帯して立ち入ることも禁止されています
  • 違反すると三十万円以下の罰金の対象になります
  • 消防法の火気制限は市町村長が区域と期間を限って行う一時的な措置で、火薬類取締法とは仕組みが違います
  • 危険物施設の「火気厳禁」表示は掲示板の設置を義務付けるもので、喫煙そのものを直接禁止する規定ではありません

火薬庫は何人も禁止、市町村長の一時的指定、危険物施設は掲示板の義務という3つの喫煙規制の仕組みの違いを示す図解

火薬庫はなぜ何人も喫煙禁止なのか

来訪者が持つ煙草を作業員が制止する横に、土手で囲まれた火薬庫の建物があるイメージ
火薬類はごくわずかな火気でも爆発につながります。
だからこそ法律は喫煙そのものを名指しで禁止しています。
火薬類取締法第四十条 何人も、火薬類の製造所又は火薬庫においては、製造業者又は火薬庫の所有者若しくは占有者の指定する場所以外の場所で、喫煙し、又は火気を取り扱つてはならない
「何人も」という主語がこの条文の要です
従業員だけでなく、来客・配達業者・見学者など施設に立ち入る全員が対象になります。
通常の建物の禁煙ルールが施設の関係者に向けた内部規則であるのに対し、こちらは法律による直接の禁止です。
「客だから」「一度だけだから」という理由は通用しません。

てっきり施設側が独自に決めた社内ルールだと思っていました。

法律そのものが直接禁止しています
次はどこまでが対象になるか見てみましょう。

火薬類の製造所や火薬庫のどこまでが対象になるのか

広い製造所の敷地の隅にだけ小さな指定喫煙所があるイメージ
対象になる場所はごく一部の例外を除いて敷地全体です。
喫煙できる場所のほうが特別扱いだと考えてください。
同条 (略)製造業者又は火薬庫の所有者若しくは占有者の指定する場所以外の場所で、喫煙し、又は火気を取り扱つてはならない。
原則は敷地全域が禁煙です
製造業者や火薬庫の所有者・占有者が喫煙してよい場所を個別に指定した場合に限り、その場所だけ例外になります。
指定が無ければ、休憩スペースのような一角であっても喫煙は認められません
「どこかに喫煙所があるはず」という思い込みでの行動は危険です。

敷地の隅の休憩スペースなら大丈夫だと思っていました。

指定された場所以外はすべて対象です
訪問前に指定場所を確認してください。

何を持ち込むと違反になるのか

ゲートの作業員が来訪者の鞄の中のライターを確認しているイメージ
喫煙していなくても違反になる場合があります。
持ち込む物そのものが規制の対象になるからです。
同条第二項 何人も、製造業者又は火薬庫の所有者若しくは占有者の承諾を得ないで、発火し易い物を携帯して火薬類の製造所又は火薬庫に立ち入つてはならない。
ライターや点火用具などの携帯自体が規制の対象です
条文の言う「発火し易い物」は、火をつける意思の有無を問いません。
事前に承諾を得ていれば持ち込みが認められる場合もありますが、無断での携帯は喫煙していなくても違反になります。
違反した場合、喫煙と同じく三十万円以下の罰金の対象です。

吸うつもりが無くても、ライターを持っているだけでだめなんですね。

承諾の無い携帯そのものが違反です
訪問前に鞄の中も確認しておきましょう。

消防法や危険物施設の掲示板とはなにが違うのか

壁に固定された常設の看板と、屋外に一時的に置かれたイーゼル看板を並べたイメージ
似たような喫煙制限でも、根拠になる法律が違えば仕組みも別物です。
どちらも知っておくと現場で迷いません。
消防法第二十三条 市町村長は、火災の警戒上特に必要があると認めるときは、期間を限つて、一定区域内におけるたき火又は喫煙の制限をすることができる
消防法第二十三条は一時的・区域限定の措置です
乾燥時期の火災警戒などを理由に市町村長が期間を区切って指定する制限なので、指定が解除されれば喫煙は再び自由になります。
一方で火薬類取締法第四十条は期間の定めが無い常時の絶対的な禁止で、市町村長の指定の有無とは無関係に適用され続けます。
なお危険物施設の「火気厳禁」表示は掲示板の設置を義務付ける規定であって喫煙そのものを禁止する規定ではありません(詳しくは危険物施設の標識と掲示板を解説した記事をご覧ください)。

火災警報が出ていない時期なら、火薬庫でも喫煙は緩くなりますか。

いいえ、火薬庫の禁止に季節や指定の有無は関係ありません
消防法の措置とは別枠で常に適用されます。

明日からなにを確認すればよいのか

作業員がクリップボードを持ち、来訪者に入口の看板を示して説明しているイメージ
ルールを知っているだけでは事故は防げません。
訪問の前と当日に確認する手順を決めておきましょう。
火薬類取締法第六十条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。 一 (略)第四十条第一項若しくは第二項(略)の規定に違反した者
罰則があることを来訪者にも周知してください
施設側は指定喫煙場所の有無と場所を明示し、無ければ「敷地内全面禁煙」であることを入口で伝えます。
来訪者側はライターや点火用具を鞄に入れたまま持ち込まないことを訪問前に確認してください。
「知らなかった」では済まされない規制だからこそ、事前の一言確認が事故と罰則の両方を防ぎます

次からは訪問前に指定喫煙場所の有無を先方に確認します。

その一言確認が一番の予防策です
ライターも忘れずに確認してください。

よくある質問

Q火薬庫の敷地内に喫煙所を設けることはできますか。
A回答は、できます。製造業者や火薬庫の所有者・占有者が指定する場所であれば喫煙は禁止されません。
Q違反した場合はだれが罰せられますか。
A回答は、実際に喫煙や発火し易い物の携帯を行った本人が三十万円以下の罰金の対象になります。
Q消防法の火気制限区域と火薬庫の禁煙はどちらが優先されますか。
A回答は、両方とも独立して適用されます。消防法の区域指定が無い期間でも、火薬庫では常に喫煙が禁止されます。
Q危険物施設の「火気厳禁」の表示があれば、喫煙も自動的に禁止されますか。
A回答は、表示自体は掲示板の設置義務です。喫煙そのものの禁止は施設の内部規則や条例による場合があります。

まとめ

火薬類の製造所や火薬庫では、指定場所以外での喫煙が何人も禁止されています
承諾なく発火し易い物を持ち込むことも禁止されています
対象は従業員に限らず来訪者や配達業者も含みます
違反すると三十万円以下の罰金の対象になります
消防法第二十三条の火気制限は市町村長が区域と期間を限って行う一時的な措置です
危険物施設の「火気厳禁」表示は掲示板の設置義務であって喫煙そのものの禁止規定ではありません
施設管理者は指定喫煙場所の明示と来訪者への周知を明日から確認してください

火薬庫の禁煙が消防法の制限とは別物だとよく分かりました。
次からは訪問前に必ず確認します!

指定場所の確認・持ち物・罰則の3つを、次の訪問からあわせて確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 火薬類取締法(昭和25年法律第149号)第四十条(喫煙等の制限)
  • 同法第六十条(罰則)
  • 消防法第二十三条(たき火又は喫煙の制限)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。指定場所の運用や個別の許可の要否は施設や自治体によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の産業保安監督部または消防署にご確認ください。

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