火災が起きた建物では、自動火災報知設備が鳴った瞬間に、消防機関への通報がもう始まっていることがあります。
対象になる建物では、感知器の作動と火災通報装置が連動するよう定められているためです。
けれども自動で通報される仕組みは、誤作動でも消防車が来てしまう心配と裏表です。
連動の仕組みと、誤作動への備え・訓練のときの止め方までを確認していきます。
火災報知の受信機が作動したら、もう消防に連絡が行っているんですか。
建物によっては感知器の作動と連動して自動で通報が始まります。
じゃあ訓練で感知器を鳴らしたら、そのまま消防車が来てしまうんですか。
そうならないように連動停止スイッチや誤作動対策が用意されています。
順番に確認していきましょう。
- 消防法施行規則第25条第3項第5号は、対象の建物で火災通報装置を自動火災報知設備の感知器の作動と連動して起動させることを定めています
- 誤作動でも消防車が出動しないよう、蓄積式の感知器の設置など4つの対策のいずれかを講じることが望ましいとされています
- 自衛消防訓練を行うときは、連動停止スイッチを操作しあらかじめ非連動にしてから実施します
- 非火災報と判明したときは、直ちに消防機関へその旨を通報し原因を調査します
- 連動にかかわる配線工事は甲種第4類の消防設備士が行うと定められています
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目次
火災通報装置はなぜ感知器の作動と連動するのか

けれども建物の種類によっては、この操作を人の手に委ねない仕組みが定められています。
病院や社会福祉施設のように、発見者がそのまま通報操作までたどり着けるとは限らない建物ほど、この仕組みが必要になります。
けれども自動で通報される仕組みは、裏を返せば誤作動でも消防車が来てしまう心配と隣り合わせです。
だから連動には、誤作動を防ぐ備えと、起きたときの対応、訓練のときの止め方までがあわせて定められています。
まずは誤作動そのものを防ぐ工夫から見ていきます。
連動させると決めたら、あとは配線をつなぐだけでよいんですか。
いいえ、誤作動を防ぐ対策もあわせて求められています。
次に確認しましょう。
誤作動でも消防車が来てしまうのを防ぐにはどうするのか

そこで連動させる建物には、誤作動そのものを減らす対策が求められます。 消防法施行令の一部を改正する政令等の運用について(通知)平成26年3月28日消防予第118号(抄)は、自動火災報知設備に次のいずれかにより非火災報対策を講じることが望ましいとしています。
- 蓄積式の感知器、中継器又は受信機の設置
- 二信号式の受信機の設置
- 蓄積付加装置の設置
- 設置場所の環境状態に適応する感知器の設置
蓄積式の感知器や受信機は、信号が一定の時間続いて初めて火災と判断する仕組みで、振動や煙草の煙のような一時的な反応をふるい落とせます。
二信号式の受信機は、感知器と発信機など2系統の信号がそろって初めて火災と判断するため、単独の誤作動では起動しません。
どれか一つを選べばよく、全部を重ねて設置する必要はありません。
うちの受信機がどのタイプか分からないのですが、確認できますか。
点検業者に依頼すれば、受信機の銘板や仕様書ですぐに分かります。
訓練のときは連動をどう止めておくのか

そこで訓練の前に、連動そのものを止めておく手順が定められています。 消防法施行令の一部を改正する政令等の運用について(通知)平成26年3月28日消防予第118号(抄)は、訓練時の扱いを次のように定めています。
- 自衛消防訓練等を実施する場合は、連動停止スイッチ箱等を操作し、必ず非連動として、自動火災報知設備が作動したことを知らせるメッセージが送信できない状態にした後、実施すること
- 連動停止スイッチの電源は、受信機から供給することを原則とするが、受信機を設けない特定小規模施設用自動火災報知設備等では、火災通報装置から供給することで差し支えない
止め忘れたまま感知器を作動させると、訓練のつもりが本物の通報になってしまいます。
スイッチの電源は受信機からとるのが原則で、受信機を持たない小規模な設備だけは通報装置側から電源をとってよいとされています。
訓練が終わったら、連動を元の状態へ戻すことも忘れてはいけません。
連動停止スイッチって、うちの防災センターのどれに当たるのか分かりません。
設備業者に立ち会ってもらい、訓練前に一度指さし確認しておくと安心です。
非火災報だとわかったときになにをすればよいのか

起きてしまったときにどう動くかも、あわせて定められています。 消防法施行令の一部を改正する政令等の運用について(通知)平成26年3月28日消防予第118号(抄)は、非火災報が起きたときの対応を次のように定めています。
- 非火災報又は誤作動と判明したときは、直ちに消防機関にその旨を通報すること
- 非火災報が発生した場合は、その原因を調査し、感知器の交換等必要な非火災報防止対策を講じること
- 誤操作による出動を防止するため、従業員等に対して自動火災報知設備及び消防機関へ通報する火災報知設備の取扱いについて習熟させておく必要があること
通報が自動で届いてしまった以上、取り消しの連絡も自分たちの役目です。
そのうえで感知器の交換など原因への対策を講じ、同じ場所で繰り返さないようにします。
従業員が自動火災報知設備や火災通報装置の扱いに慣れていないと、誤操作そのものが増える点にも注意が必要です。
取り消しの連絡を忘れたら、なにか罰則があるのですか。
通知が求める運用上の義務なので、まずは連絡を徹底することが先決です。
連動の配線工事はだれに頼めばよいのか

消防用設備等の種類ごとに、工事を行える資格が決まっています。
自動火災報知設備と火災通報装置をまたぐ配線は、どちらの設備の免状でも足りるわけではなく、この区分に沿って選びます。
なお通知は「防災センター」を、総合操作盤等により消防用設備等の監視・操作等を行い、常時人による監視が行われている場所と説明しており、この要件を満たせば連動そのものが免除されます。
明日は、自分の建物の防災センターがこの要件を満たしているか、直近の工事記録に甲種第4類の設備士名が入っているかを確認しましょう。
点検の見積書にその資格の記載があるか、まず確認してみます。
それが確認できれば、連動の工事が正しく行われている安心材料になります。
よくある質問
まとめ
連動は自動で通報してくれる仕組みだと思っていましたが、止め方や誤作動への備えまでセットだったんですね。
訓練前の停止と誤作動時の連絡を習慣にしておくことが一番の備えです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第23条第1項第1号
- 消防法施行規則第25条第3項第5号
- 消防法施行規則第33条の3(免状の種類に応ずる工事又は整備の種類)
- 消防法施行令の一部を改正する政令等の運用について(通知)平成26年3月28日消防予第118号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





