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第三石油類や第四石油類はなぜ可燃性液体量だけで除外を判断できるのか|規則第1条の3第6項が定める塗料類の例外を解説

塗料や潤滑油はなぜ危険物から除外されるのか アイキャッチ

塗料や潤滑油のSDSで、引火点が70度や200度を超える数値を見て安心していないでしょうか。
現場では「引火点が高ければ危険物ではない」と思い込んでしまいがちです。
実は第三石油類や第四石油類にも除外規定があり、その基準はアルコール類や第二石油類とは仕組みが違います。
今回はこの除外の条文を、規則の条文からたどっておきます

塗料も引火点が高ければ危険物じゃないですよね。

引火点の範囲に入るだけでは決まりません
規則が定める除外の条文を見ていきましょう。

アルコール類の除外と同じ考え方ですか。

実はもっと単純な基準だけで決まります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防法別表第一備考第十五号・第十六号は、第三石油類・第四石油類のうち塗料類その他の物品が総務省令の基準で品名から除外されると定めています
  • その基準は危険物の規制に関する規則第1条の3第6項が定めています
  • 可燃性液体量が40パーセント以下であれば、それだけで除外が確定します
  • アルコール類や第二石油類の除外とは異なり、引火点の比較試験は必要ありません
  • ただし対象は塗料類その他の物品に限られ、この限定を外れると除外自体が使えません

塗料類その他の物品が可燃性液体量40パーセント以下で危険物から除外されることを示す図解

第三石油類や第四石油類とはどう定義されているのか

塗料缶とギヤー油の缶を見比べる人物
第三石油類と第四石油類は、消防法別表第一の中で引火点の範囲によって定義されています。
まずは条文の定義を確認します。
消防法別表第一備考第十五号 第三石油類とは、重油、クレオソート油その他一気圧において引火点が70度以上200度未満のものをいい、塗料類その他の物品であつて、組成を勘案して総務省令で定めるものを除く。 消防法別表第一備考第十六号 第四石油類とは、ギヤー油、シリンダー油その他一気圧において引火点が200度以上250度未満のものをいい、塗料類その他の物品であつて、組成を勘案して総務省令で定めるものを除く。
第三石油類は引火点70度から200度、第四石油類は200度から250度の範囲で区分されています
重油やギヤー油だけでなく、塗料類その他の物品にも同じ引火点の範囲が適用される点が特徴です。
そしてどちらの定義にも「総務省令で定めるものを除く」という除外規定がセットになっています。
除外の中身は危険物の規制に関する規則が定めており、可燃性液体量という一つの指標だけで判断します。
まずはこの除外がどの範囲の物品に適用されるのか、条文の限定を見ていきます。

重油もギヤー油も塗料も同じ条文なんですね。

はい、ただし除外が使えるのは塗料類その他の物品だけです。
次はその範囲を見てみましょう。

塗料類その他の物品とはどの範囲を指すのか

塗料缶のラベルを虫眼鏡で確認する人物
条文には「塗料類その他の物品」という限定が付いています。
この限定が指す範囲を確認します。
消防法別表第一備考第十五号(再掲)第三石油類とは、(略)塗料類その他の物品であつて、組成を勘案して総務省令で定めるものを除く。
除外規定が対象にするのは、重油やギヤー油そのものではなく塗料類その他の物品です
重油やクレオソート油のような燃料そのものには、この除外は適用されません。
引火点だけを見て「第三石油類の範囲に入るから除外できる」と判断すると、この限定を見落とします。
まず自社が扱う物品が塗料類その他の物品に当たるかどうかを確認することが出発点です。
当たる場合に初めて、次の可燃性液体量の基準へ進みます。

重油そのものは除外の対象にならないんですか。

はい、塗料類その他の物品に限られます
対象であれば、次は基準の中身を確認しましょう。

除外の基準はどこで決まるのか

円形ゲージに液体を注いで確認する人物
塗料類その他の物品に当たると分かったら、次は具体的な数値基準を確認します。
条文を確認します。
危険物の規制に関する規則第1条の3第6項 法別表第一備考第十五号及び第十六号の組成を勘案して総務省令で定めるものは、可燃性液体量が40パーセント以下のものとする。
可燃性液体量が40パーセント以下であれば、それだけで品名から除外されます
この項には第二号や第三号のような枝番号がなく、条文は一つの数値基準だけで完結しています。
引火点を測る必要も、比較対象となる基準物質を用意する必要もありません。
可燃性液体量の実測値が40パーセントを超えていれば、このルートでは除外されません。
一見するとこれだけで判断が終わりそうですが、他の除外規定と混同しやすい点があります。

濃度だけで決まるなら分かりやすいですね。

そのぶん他の除外と取り違えやすい面もあります。
次に見落としやすい点を確認しましょう。

引火点の確認だけで安心すると何を見落とすのか

円形ゲージと引火点試験装置を天秤のように見比べる人物
アルコール類や第二石油類の除外規定と比べると、判断の仕組みそのものが違います。
その違いを整理します。
危険物の規制に関する規則第1条の3第5項(参考)法別表第一備考第十四号の組成等を勘案して総務省令で定めるものは、可燃性液体量が40パーセント以下であって、引火点が40度以上のもの(燃焼点が60度未満のものを除く。)とする。
第二石油類の除外は濃度と引火点の両方を必要としますが、第三石油類・第四石油類の除外は可燃性液体量だけで決まります
第五項には引火点の条件と燃焼点による例外がありますが、第六項にはこの条件がありません。
条文が近い場所に並んでいるため、同じ試験がすべてに必要だと思い込みやすい点が見落としの原因です。
また対象は「塗料類その他の物品」に限られるため、重油やギヤー油そのものにこの除外を当てはめる誤りにも注意が必要です。
条項ごとに求められる試験項目が違うことを、あらかじめ確認しておく必要があります。

引火点の試験もいるものだと思っていました。

この項に限っては不要です。
最後に現場での確認手順を見ましょう。

現場ではどう確認すればよいのか

左に書類を手渡す人物 右に受け取る人物
現品が除外に当たるかどうかは、対象の範囲と可燃性液体量を段階的に確認するのが出発点です。
確認する項目を整理します。
  • まず物品が塗料類その他の物品に当たるかどうかを確認する
  • 当たる場合は引火点の区分で第三石油類・第四石油類のいずれに相当するかを確認する
  • SDSや試験成績書で可燃性液体量が40パーセント以下かどうかを確認する
  • 40パーセントを超える場合は、除外されず危険物としての基準がそのまま適用される
除外の判断には、対象の範囲と可燃性液体量の二つだけを確認すれば足ります
可燃性液体量は試験成績書や製造元のSDSで確認できることが多い数値です。
自社で確認できない場合は試験機関に依頼して成績書を取得します。
除外に該当しなければ、指定数量や貯蔵・取扱いの基準を確認する段階に進みます。
判断に迷ったときは、所轄消防署に相談すれば適切な対応が分かります。

まずは手元の塗料が対象かどうか確認します。

可燃性液体量が分かれば判断もスムーズです。
数値が分からなければ先に試験機関へ確認しておいてください。

よくある質問

Q引火点が第三石油類の範囲に入る塗料はすべて危険物になりますか?
Aいいえ。危険物の規制に関する規則第1条の3第6項により、塗料類その他の物品で可燃性液体量が40パーセント以下のものは品名から除外されます。
Qこの除外にも引火点を比較する試験は必要ですか?
Aいいえ。可燃性液体量だけで判断が完結し、アルコール類や第二石油類のような引火点の比較試験は求められません。
Q重油そのものも可燃性液体量で除外を判断できますか?
Aいいえ。塗料類その他の物品に限られており、重油やギヤー油そのものにはこの除外は適用されません。
Q可燃性液体量はどこで確認すればよいですか?
A製造元のSDSや試験機関の成績書で確認できることが多く、自社で分からない場合は試験機関に依頼します。

まとめ

第三石油類・第四石油類も、条文の引火点範囲に入るだけで自動的に危険物になるわけではありません
除外の基準は危険物の規制に関する規則第1条の3第6項が定めています
対象は塗料類その他の物品に限られ、重油やギヤー油そのものには適用されません
可燃性液体量が40パーセント以下であれば、それだけで除外が確定します
アルコール類や第二石油類と違い、引火点の比較試験は必要ありません
確認するのは対象の範囲と可燃性液体量の二つだけです
判断に迷ったときは所轄消防署に相談すれば適切な対応が分かります

まずは手元の塗料が対象の範囲に当たるか確認します!

可燃性液体量まで分かれば判断も早く済みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)別表第一備考第十五号・第十六号
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年自治省令第1号)第1条の3第5項・第6項
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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