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少量危険物を扱う設備はなぜ計器や安全装置まで求められるのか|電気工作物と静電気の対策も解説

少量危険物を扱う圧力タンクの計器を確認する作業員

指定数量の5分の1以上指定数量未満の少量危険物は、場所の基準だけでなく設備そのものにも共通する技術上の基準があります。
配管や修理の基準は既に確認していても、機械器具や電気設備の基準まで押さえている現場は多くありません。
火災予防条例(例)第三十一条の二第二項は、漏れの防止構造から温度測定装置、圧力計、電気設備、静電気対策まで、設備側の技術上の基準を細かく定めています。
少量危険物を扱う設備には、配管以外にも計器と安全装置の基準が及びます。

うちは少量のシンナーとアルコールを保管しているだけで、配管の基準は前に確認しました。
機械器具や電気設備までは特に見ていません。

火災予防条例(例)第三十一条の二第二項には、機械器具や電気設備、静電気対策まで共通する基準があります。
配管とは別の号で定められています。

具体的にはどんな設備が対象になるんでしょう。
うちの設備が当てはまるのか気になります。

機械器具の構造・温度測定装置・圧力計・電気設備・静電気対策の順に見ていきましょう。
今日は第二項の条文に沿って確認します。

この記事の結論
  • 少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所の設備には、火災予防条例(例)第三十一条の二第二項が定める共通の技術上の基準が適用されます。
  • 危険物を取り扱う機械器具その他の設備は、漏れ・あふれ・飛散を防止できる構造とするか、附帯設備を設けることが必要です。
  • 加熱・冷却設備には温度測定装置を、加熱・乾燥設備には直火を用いない構造を備えることが基準として定められています。
  • 危険物を加圧する設備等には圧力計及び有効な安全装置を設けることが必要です。
  • 電気設備は電気工作物に係る法令の例により、静電気が発生するおそれのある設備には別途静電気を除去する装置を設けなければなりません。

少量危険物の設備が火災予防条例第三十一条の二第二項により漏れ防止構造温度測定装置直火不使用圧力計と安全装置電気工作物と静電気除去という基準を定めていることを示す図解

少量危険物を扱う機械器具にはどんな構造が求められるのか

少量危険物を扱う配管に取り付けられた漏れ防止の受け皿を点検するアイソメ図
配管の基準は既に見てきましたが、そこにつながる機械器具そのものにも構造の基準があります。
漏れやすい機器を放置すると、条例の基準そのものを満たせません。
火災予防条例(例)第三十一条の二第二項 指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備のすべてに共通する技術上の基準は、次のとおりとする。同項第二号 危険物を取り扱う機械器具その他の設備は、危険物の漏れ、あふれ又は飛散を防止することができる構造とすること。ただし、当該設備に危険物の漏れ、あふれ又は飛散による災害を防止するための附帯設備を設けたときは、この限りでない。
基準は「構造」か「附帯設備」のどちらかで満たせます。
機械器具そのものを漏れにくい構造にする方法と、漏れても受け皿や排出設備で被害を防ぐ方法のどちらでも条文上は基準を満たします。
新しく設備を選ぶときは、構造そのものと附帯設備のどちらで基準を満たすかを最初に決めておくと点検がしやすくなります。
古い設備を使い続ける場合は、後付けの受け皿や堰を設置する方法が現実的です。

今の設備には受け皿など特に付けていません。
これだけでは基準を満たさないということですか。

漏れにくい構造でなければ、附帯設備を後付けする対応で構いません。
次は加熱設備の温度測定装置を見ましょう。

加熱や冷却をする設備にはなぜ温度計と直火の制限があるのか

電気式の加熱タンクに付いた温度計と直火式バーナーの禁止マークを対比させたアイソメ図
温度が変化する設備では、目に見えない異常に気づけないことが事故につながります。
条例は温度を測る装置と、火の使い方の両方を定めています。
火災予防条例(例)第三十一条の二第二項第三号 危険物を加熱し、若しくは冷却する設備又は危険物の取扱いに伴つて温度の変化が起こる設備には、温度測定装置を設けること。同項第四号 危険物を加熱し、又は乾燥する設備は、直火を用いない構造とすること。ただし、当該設備が防火上安全な場所に設けられているとき、又は当該設備に火災を防止するための附帯設備を設けたときは、この限りでない。
温度計と直火の制限は、別々の号で定められた別の要求です。
第三号は温度が変化するすべての設備が対象で、加熱・冷却のどちらでも温度測定装置が要ります。
第四号は加熱・乾燥設備が対象で、直火を使わない構造が原則です。ただし場所や附帯設備次第で例外が認められます。
温度計が付いていても、直火式のバーナーで加熱している設備は第四号側の基準を満たしていない可能性があります。

うちの加熱設備は温度計は付いていますが、直火式のバーナーを使っています。
これは基準に反しているんでしょうか。

防火上安全な場所や附帯設備が無ければ、直火式は基準に反する可能性があります。
次は圧力がかかる設備の基準です。

圧力がかかる設備にはどんな安全装置が要るのか

圧力計と安全弁を取り付けた加圧タンクを点検するアイソメ図
圧力が上がる設備は、破裂すれば重大な事故につながります。
条例は圧力そのものを見える化する装置と、逃がす装置の両方を求めています。
火災予防条例(例)第三十一条の二第二項第五号 危険物を加圧する設備又はその取り扱う危険物の圧力が上昇するおそれのある設備には、圧力計及び有効な安全装置を設けること。
圧力計だけでは基準を満たしません。
条文は「圧力計及び有効な安全装置」と両方を要求しており、片方だけの設備は基準を満たしていないことになります。
安全装置には、圧力が上がりすぎたときに自動で圧力を逃がす安全弁などが該当します。
圧力計の目盛りが読み取れる位置にあるか、安全装置が正常に作動するかもあわせて確認します。

圧力計は付いていますが、安全弁のような装置は見た記憶がありません。
これも交換や追加が必要でしょうか。

圧力計だけでは基準を満たしません
安全装置の有無を業者に確認してみてください。

電気設備の対策と静電気対策はなぜ別々に定められているのか

電気設備の分電盤と静電気を除去するアース線を取り付けたドラム缶を並べたアイソメ図
電気を使う設備には、電気そのものの安全対策と、静電気の対策という別の視点が必要です。
どちらか一方だけを整えて安心してしまう現場があります。
火災予防条例(例)第三十一条の二第二項第七号 電気設備は、電気工作物に係る法令の規定の例によること。同項第八号 危険物を取り扱うにあたつて静電気が発生するおそれのある設備には、当該設備に蓄積される静電気を有効に除去する装置を設けること。
電気工作物の基準と静電気対策は、それぞれ別の号で定められた別の要求です。
第七号は配線や分電盤といった電気設備そのものを、電気工作物に関する法令の基準に従わせる規定です。
第八号は静電気が発生するおそれのある設備に限って除去装置の設置を求める規定で、対象になる設備の範囲が異なります。
電気工作物の点検だけで終わらせず、粉体や液体を扱う設備に静電気除去のアース線があるかを別途確認してください。

電気工事のときに配線はしっかり見てもらいました。
でも静電気のアース線までは意識していませんでした。

電気設備の点検と静電気対策は別の基準です。
最後に確認の手順をまとめます。

少量危険物の設備を点検するときの手順はどうなるか

チェックリストを持つ担当者が四つの設備を順番に確認するアイソメ図
ここまでの4つの基準は、いずれも設備の点検で確認できるものです。
チェックする順番を決めておくと、点検の抜け漏れを防げます。
火災予防条例(例)第三十一条の二第二項 指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備のすべてに共通する技術上の基準は、次のとおりとする。
点検は機械器具から電気設備まで、4つの視点を順番に確認します。
まず機械器具そのものに漏れ・あふれ・飛散を防ぐ構造か附帯設備があるかを見ます。
次に加熱・冷却設備の温度測定装置と、加熱・乾燥設備が直火を使っていないかを確認します。
続いて加圧設備の圧力計と安全装置が揃っているかを見て、最後に電気設備の点検記録と静電気除去装置の有無を確認します。
明日からは、まず機械器具の構造静電気対策の2点から点検を始めてください。

4つを順番に見ていけば、抜け漏れなく点検できそうです。
次の点検からこの順番で確認します。

それが一番確実です。
まとめとよくある質問もあわせて確認していきましょう。

よくある質問

Q機械器具の漏れ防止構造と附帯設備は、どちらか一方でよいのですか?
Aはい、条文は「構造とすること」と「附帯設備を設けたとき」をただし書きで並べており、どちらか一方を満たせば基準に適合します。既存設備には附帯設備での対応が現実的です。
Q温度測定装置は具体的にどんな計器を指しますか?
A条文は計器の種類を指定していません。加熱・冷却設備の温度変化を把握できる温度計や温度センサーであれば、条文上の温度測定装置に該当すると考えられます。
Q圧力計だけ設置していれば安全装置は無くてもよいですか?
Aいいえ、条文は「圧力計及び有効な安全装置」と両方の設置を求めています。圧力計のみでは基準を満たさないため、安全弁などの安全装置とあわせて確認してください。
Q静電気除去装置は全ての設備に必要ですか?
A条文が対象にしているのは静電気が発生するおそれのある設備に限られます。取り扱う危険物の性質や作業内容から静電気が発生しうるかどうかを、まず確認してください。

まとめ

少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う設備には、火災予防条例(例)第三十一条の二第二項が定める共通の技術上の基準が適用されます。
機械器具その他の設備は漏れ・あふれ・飛散を防止できる構造にするか、附帯設備を設けることが必要です。
加熱・冷却設備には温度測定装置を、加熱・乾燥設備には直火を用いない構造を備えます。
加圧設備等には圧力計及び有効な安全装置の両方が必要です。
電気設備は電気工作物に係る法令の例により、静電気が発生するおそれのある設備には別途除去装置が必要です。
点検は機械器具・温度と直火・圧力計と安全装置・電気と静電気の4つの視点を順番に確認します。
判断に迷う場合は所轄消防署に相談してください。

配管以外にも機械器具や電気設備の基準まであると分かって助かりました。
今の設備を一つずつ点検してみます。

機械器具の構造と静電気対策、この2点から始めてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号 消防庁長官)第三十一条の二第二項
  • 消防法第九条の四(指定数量未満の危険物の貯蔵及び取扱いの基準)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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