パッケージ型消火設備は、屋内消火栓設備の代わりに置ける消火設備です。
平成16年消防庁告示第12号が、置ける建物の用途や規模、設置できない場所まで細かく定めています。
Ⅰ型とⅡ型で性能が違うため、面積の基準も型ごとに分かれます。
告示が定める型ごとの面積基準と、設置できない場所を順番に確認していきます。
うちのビルは水源が取りにくくて、屋内消火栓の代わりにパッケージ型を提案されました。
本当に置き換えられるのですか。
置き換えられる場合があります。
ただし建物の規模と設置場所に条件があります。
条件と言われても、どこを見ればいいのか分かりません。
告示が用途と面積、それに置けない場所まで具体的に決めています。
順番に一緒に見ていきましょう。
- パッケージ型消火設備にはⅠ型とⅡ型があり、性能の差がそのまま設置できる建物の規模の差になります
- 耐火建築物かどうかで、置ける階数と延べ面積の基準が変わります
- ホース接続口までの水平距離はⅠ型が20メートル、Ⅱ型が15メートル以下とされています
- 地階や無窓階でなくても、駐車場や発電室に類する場所は設置の対象から外れます
- 浴室や便所などは、条件を満たせば「煙が充満するおそれのある場所」に当たらないとされました
▼

目次
パッケージ型消火設備のⅠ型とⅡ型は何が違うのか

型が変わると、置ける建物の規模も変わります。
一 Ⅰ型 第五及び第六においてⅠ型として定める性能を有するパッケージ型消火設備をいう。
二 Ⅱ型 第五及び第六においてⅡ型として定める性能を有するパッケージ型消火設備をいう。
(平成16年消防庁告示第12号)
告示は第五と第六で、Ⅰ型とⅡ型それぞれの放射時間や薬剤量などの性能を定めています。
Ⅰ型のほうが放射時間が長く、薬剤の量も多いため、大きい建物に対応します。
Ⅱ型は性能が一段階小さい分、置ける建物の規模も一段階小さくなります。
自分の建物にどちらの型が提案されているかは、見積書や仕様書の型式表示で確認できます。
型番号を見ても、性能の違いまでは分かりませんでした。
放射時間や薬剤量で決まっています。
提案書にⅠ型かⅡ型かが書かれているはずなので、確認してみてください。
屋内消火栓の代わりに置けるのはどんな建物か

耐火建築物かどうかでも、基準になる階数と延べ面積が変わります。
一 次の㈠又は㈡に掲げる区分に応じ、それぞれ㈠又は㈡に定めるもの
㈠ Ⅰ型 次に掲げるもの
イ 耐火建築物にあっては、地階を除く階数が六以下であり、かつ、延べ面積が三千平方メートル以下のもの
ロ 耐火建築物以外のものにあっては、地階を除く階数が三以下であり、かつ、延べ面積が二千平方メートル以下のもの
㈡ Ⅱ型 次に掲げるもの
イ 耐火建築物にあっては、地階を除く階数が四以下であり、かつ、延べ面積が千五百平方メートル以下のもの
ロ 耐火建築物以外のものにあっては、地階を除く階数が二以下であり、かつ、延べ面積が千平方メートル以下のもの
(平成16年消防庁告示第12号)
基準は地階を除く階数と延べ面積の組み合わせで決まり、Ⅰ型は耐火建築物で6階以下・延べ面積3,000平方メートル以下、耐火建築物以外は3階以下・2,000平方メートル以下です。
Ⅱ型は一段階小さく、耐火建築物で4階以下・1,500平方メートル以下、耐火建築物以外は2階以下・1,000平方メートル以下になります。
用途は令別表第一の(1)項から(12)項までと(15)項、および(16)項のうち、これらの用途に使われている部分に限られます。
自分の建物がどの区分に入るかは、確認済証や検査済証に書かれた構造と延べ面積で照合してください。
うちは鉄筋コンクリート造で5階建て、延べ面積は2,200平方メートルです。
耐火建築物でその規模なら、Ⅰ型の基準に収まります。
あとは設置する場所の条件も確認しましょう。
設置するときはどんな基準を満たす必要があるか

ホースの届く距離や表示の方法まで、告示第四が具体的に定めています。
一 防火対象物の階ごとに、その階の各部分から一のホース接続口までの水平距離がⅠ型にあっては二十メートル以下、Ⅱ型にあっては十五メートル以下となるように設けること。
二 防護する部分の面積は、Ⅰ型にあっては八百五十平方メートル以下、Ⅱ型にあっては五百平方メートル以下とすること。
五 消火薬剤貯蔵容器の直近の見やすい箇所に赤色の灯火及びパッケージ型消火設備である旨を表示した標識を設けること。
(平成16年消防庁告示第12号)
水平距離の基準は、Ⅰ型が20メートル、Ⅱ型が15メートルです。
一つのホース接続口で防護できる範囲にも上限があり、Ⅰ型は850平方メートル、Ⅱ型は500平方メートルまでとされています。
設置場所には赤色の灯火と、パッケージ型消火設備である旨を示す標識も欠かせません。
図面に接続口を配置するときは、この距離と面積の両方から死角が出ないかを確認してください。
赤い表示灯まで必要だとは知りませんでした。
見やすい場所に赤色の灯火と標識、両方が要ります。
設置業者の見積もりにこの2つが入っているか確認してください。
地階でなくても置けない場所があるのはなぜか

この除外の範囲は、行政実例でさらに具体的に示されています。
(1)使用形態が、自動車の修理場、駐車場、発電室、変電室、ボイラー室、乾燥室、通信機械室及び指定可燃物貯蔵・取扱所その他これらに類するものではないこと。
(2)二方向避難が確保されている、主要な避難口を容易に見通すことができる等避難経路が明確であること。
答 お見込みのとおり。
(平成10年5月1日消防予第67号)
自動車の修理場や駐車場、発電室、変電室、ボイラー室、乾燥室、通信機械室、指定可燃物の貯蔵・取扱所に類する使用形態でなければ対象になり得ます。
あわせて二方向避難が確保され、主要な避難口が見通せることも条件です。
規則第19条第5項第5号の規定に該当する場所だけがすべてではなく、この2つの条件を満たす場所も含めて判断されます。
候補の部屋がこの用途に当たらないか、図面と現地の両方で確かめてください。
駐車場みたいな場所は、地階じゃなくても対象外なんですね。
その通りです。
避難経路が確保されているかも合わせて確認してください。
補助散水栓として使うときはどの部屋なら認められるか

その場合に「煙が充満するおそれのある場所」に当たらない部屋の範囲が問われました。
答 パッケージ型消火設備は消火剤量が限定的であるため、消火にあたっては、早期に火点を特定し、そこに消火剤を放射することが求められます。質問の部分であって、可燃物が少なく、当該部分のいずれかで火災が発生したとしても、スプリンクラーヘッドの警戒範囲の場所からパッケージ型消火設備で容易に消火できる範囲内のものであれば、「煙が著しく充満するおそれがある場所」には当たらないと考えられます。なお、「煙が著しく充満するおそれがある場所」かどうかの具体的な適用については、個別の建物の状況で判断が必要ですので、管轄の消防署に確認してください。
(令和5年9月20日事務連絡)
条件は、可燃物が少なく、スプリンクラーヘッドの警戒範囲からパッケージ型消火設備で容易に消火できる範囲にとどまることです。
挙げられた例は浴室、便所、階段室、エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトです。
最終的な当てはめは個別の建物の状況によるため、管轄の消防署への確認が必要とされています。
補助散水栓の設計段階で、これらの部屋をどう扱うかを消防署と事前にすり合わせておくと手戻りが減ります。
浴室やトイレなら、そのまま対象外にできると思っていました。
条件を満たすかどうかの確認が必要です。
設計の早い段階で消防署に相談しておくと安心です。
よくある質問
まとめ
告示と行政実例、それに建物の条件。
この3つを揃えて相談すればいいんですね。
そのとおりです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年5月31日消防庁告示第12号)
- 消防法施行令第29条の4
- 消防法施行規則第19条第5項第5号
- 屋内消火栓設備及びスプリンクラー設備の代替設備の取扱いについて(平成9年11月27日付け消防予第182号)に関する行政実例(平成10年5月1日消防予第67号)
- スプリンクラー設備又はパッケージ型自動消火設備の補助散水栓としてのパッケージ型消火設備の設置に関する行政実例(令和5年9月20日事務連絡)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





