第二種住居地域を歩いていると、住宅の合間に大きな店舗や遊技場のような建物を見かけることがあります。
第二種住居地域は第一種住居地域よりも用途の自由度が高く、店舗や飲食店、遊技場、勝馬投票券発売所まで幅広い建物が認められている地域です。
ところが建築基準法は、これらの用途の建物について、その用途に供する部分の床面積の合計が10,000平方メートルを超えると建築を認めていません。
この上限には政令が個別に用途を追加する仕組みがあり、法律の条文だけを見ていると見落としが生じます
うちの近くに大きな複合商業施設ができるみたいですが、住居地域でも建てられるんでしょうか。
実は店舗や遊技場には床面積の上限があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。
上限を超えたら、もう建てられないんでしょうか。
第二種住居地域には店舗等の床面積の上限があります。
順番に見ていきましょう。
- 第二種住居地域では、建築基準法第48条第6項により別表第二(へ)項に掲げる建築物は原則建てることができません。
- 店舗、飲食店、遊技場、勝馬投票券発売所等は、その用途に供する部分の床面積の合計が10,000平方メートルを超えると建てられません。
- 施行令第百三十条の八の二第1項により、場外勝舟投票券発売所もこの上限の対象に政令で個別に追加されています。
- 床面積の上限を超える場合でも、特定行政庁の許可を得れば例外的に建てられる道が残されています。
- その許可には、利害関係者への意見聴取と建築審査会の同意という手続きが必要です。
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目次
第二種住居地域の店舗はなぜ床面積で頭打ちになるのか

第二種住居地域は、第一種住居地域よりも用途の自由度が高く、店舗や飲食店、遊技場まで幅広い建物が認められています。
ところが建築基準法は、これらの用途の建物だけを別枠で扱い、床面積に上限を設けています。
別表第二(へ)項が指す建築物の中に、店舗や遊技場の規模そのものを理由に建築を禁止するものが含まれています。
別表第二(へ)項は号ごとに禁止の対象を列挙しており、店舗等に関する規定はその一つです。
禁止の対象になるかどうかは、用途だけでなく床面積の合計によっても決まります。
ただし書きのとおり、特定行政庁の個別の許可があれば例外的に建てられる道は残されています。
まずは、どんな用途がこの規制の対象になるのかを見ていきましょう。
住居地域だから、店舗はそもそも小さくしか建てられないと思っていました。
実は用途によってはかなり大きな建物も建てられるんです。
次はどんな用途が対象になるか見てみましょう。
どんな用途がこの規制の対象になるのか

別表第二(へ)項は、店舗等に関する規制を第六号にまとめています。
ここで対象になるのは、条文が名指しで列挙している6種類の用途です。
条文が列挙するのは店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場の6種類です。
これらの用途に供する部分の床面積の合計が10,000平方メートルを超えると、第二種住居地域には建てられません。
逆にいえば、10,000平方メートル以下であれば、これらの用途の建物は原則として建築が認められます。
第一種住居地域(別表第二(ほ)項)の上限は3,000平方メートルなので、第二種住居地域のほうが上限が緩やかに設定されています。
次は、条文に直接列挙されていない用途がどう扱われるのかを見ていきましょう。
条文に載っていない業態のお店は、この規制の対象外になるんでしょうか。
実は政令が個別に用途を追加していることがあるんです。
次はその仕組みを見てみましょう。
場外勝舟投票券発売所はなぜ政令に追加されているのか

第六号の条文をよく見ると、「その他これらに類する用途で政令で定めるもの」という一文があります。
これは、法律の条文に直接名前が挙がっていない用途を、政令が個別に追加できる仕組みです。
場外勝舟投票券発売所は、法律の条文には名前が出てこず、施行令が個別に追加した用途です。
条文本文が列挙する店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場に対し、競艇の場外券売場だけは政令側の規定にあります。
つまり、法律の条文だけを読んで「載っていないから対象外」と判断すると見落としが生じます。
床面積が10,000平方メートルを超える計画であれば、法律の列挙用途だけでなく政令が追加した用途にも当たらないかを確認する必要があります。
次は、上限を超えてしまう場合の道を見ていきましょう。
条文を読むだけでは、政令の追加まで気づけませんでした。
法律と政令の両方を確認する必要があります。
次は上限を超える場合の道を見てみましょう。
10,000平方メートルを超えても建てられる場合があるのか

第48条第6項には、原則を定める本文のほかにただし書が続いています。
このただし書が、床面積の上限を超える計画に残された唯一の道です。
特定行政庁が住居の環境を害するおそれがないと認め、または公益上やむを得ないと認めれば、個別の許可(特例許可)を受けられる場合があります。
ただし、この許可は自動的に得られるものではありません。
許可の前には、周辺の利害関係者を集めた公開の意見聴取と、建築審査会の同意という2段階の手続きが必要です。
床面積の上限をあらかじめ守る計画に比べると、時間も手間もかかる道であることは踏まえておく必要があります。
次は、実際に確認しておきたい手順を整理します。
許可さえもらえれば、すぐに建てられると思っていました。
意見聴取と建築審査会の同意を経てからです。
次は明日からの確認手順を見てみましょう。
明日から何を確認すればよいか

ここまでの内容を踏まえ、自分の建物や計画がこの規制に関わるかどうかを確認する手順を整理します。
順番に確認していけば、大きな見落としは防げます。
- 自分の建物がある用途地域が第二種住居地域に当たるかを確認する
- 店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場に当たる用途かを確認する
- 当たる場合は、その用途に供する部分の床面積の合計を実測して10,000平方メートルを超えないかを確認する
- 条文に列挙のない業態でも、施行令第百三十条の八の二が個別に追加していないかをあわせて確認する
- 上限を超える計画であれば、特定行政庁の窓口に早めに相談する
用途と床面積、両方を確認しておきます!
用途と床面積の実測が最初の確認です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
自分の建物の用途と床面積、両方をあらためて確認してみます!
用途と床面積の確認も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第6項・第15項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(へ)項第六号(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第百三十条の八の二第1項(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。建物の用途区分や床面積の判定、特例許可の可否は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





