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少量危険物の貯蔵基準はなぜ危険物の類ごとに上乗せされるのか|第一類から第六類までの禁忌事項を解説

少量危険物の倉庫の棚に並んだドラム缶と金属缶と麻袋の写真

少量危険物を保管する倉庫や店舗では、指定数量の5分の1を超えた時点で火災予防条例(例)の技術基準が適用されます。
タンクや配管の構造基準を満たしていても、それだけで条例の要求をすべて満たしたことにはなりません。
火災予防条例(例)第三十一条の七は、貯蔵する危険物そのものの性質に着目し、類ごとに避けるべき相手を個別に定めています。
この記事では第一類から第六類までの禁忌事項と、通常と異なる貯蔵をするときの対応を解説します。

うちの倉庫にはいろんな種類の危険物を置いています。
全部同じ基準を守れば十分ですよね。

実は危険物の類ごとに避けるべき相手が違うんです。
火災予防条例(例)第三十一条の七で個別に定められています。

類ごとに避ける相手が違うって、たとえばどんな感じですか。

たとえば酸化性の危険物と可燃性の危険物では、避けるべき熱源や接触物がまったく違います。
この記事で第一類から第六類まで順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 火災予防条例(例)第三十一条の七は、少量危険物の貯蔵及び取扱いについて危険物の類ごとに共通する技術上の基準を定めています。
  • 第一類と第六類の酸化性の危険物は、可燃物との接触や混合、分解を促す物品との接近、過熱を避けなければなりません。
  • 第二類と第四類はみだりに蒸気を発生させないことが共通して求められます。
  • 第三類は自然発火性禁水性の両方の性質を持つ物品があり、それぞれ別の対応が必要です。
  • 通常と異なる貯蔵や取扱いをするときは、基準によらない代わりに十分な安全措置を講じる義務が生じます。

少量危険物は類ごとに何を避けるべきかを六つの類の確認と禁忌事項と該当号の確認と十分な措置の4ステップで示した図解

少量危険物はなぜ類ごとに共通する基準まで定められているのか

少量危険物を保管する倉庫の棚にドラム缶や缶や袋など複数の種類の危険物容器が並ぶイラスト
これまで見てきた基準は、置き場所やタンクという「入れ物」に着目したものでした。
第三十一条の七は、その中身である危険物の「性質」に着目した基準です。
火災予防条例(例)第三十一条の七 指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物の貯蔵及び取扱いの類ごとに共通する技術上の基準は、次のとおりとする。
危険物は性質によって避けるべき相手が変わります。
第三十一条の二から第三十一条の六までは、貯蔵する場所やタンクそのものの構造・設備を対象にした基準でした。
第三十一条の七はそれとは別に、貯蔵する危険物そのものの性質に着目し、第一類から第六類までの危険物ごとに、接触・混合・接近を避けるべき相手を具体的に列挙しています。
つまり、置き場所やタンクの基準を満たしていても、この条文の基準を見落とすと条例違反になりかねません。
次の項目から、実際にどの類にどんな禁忌事項があるのかを見ていきます。

場所の基準とは別に、中身の基準もあるんですね。

はい、両方を満たして初めて条例違反にならないんです。
次は具体的にどんな危険物が何を避けるのかを見ていきましょう。

第一類と第六類の酸化性の危険物は何を避けるのか

酸化性の危険物のドラム缶を木材や熱源から十分に離して置く様子と近づけて置く様子を対比したイラスト
第一類と第六類はどちらも酸化性の危険物ですが、避けるべき項目の数が違います。
まず条文を見てみましょう。
一 第一類の危険物は、可燃物との接触若しくは混合、分解を促す物品との接近又は過熱、衝撃若しくは摩擦を避けるとともに、アルカリ金属の過酸化物及びこれを含有するものにあつては、水との接触を避けること。
六 第六類の危険物は、可燃物との接触若しくは混合、分解を促す物品との接近又は過熱を避けること。
同じ酸化性でも避ける項目の数が違います。
第一類は可燃物との接触・混合、分解を促す物品との接近、過熱に加えて衝撃・摩擦まで避ける必要があります。
第六類は可燃物との接触・混合、分解を促す物品との接近、過熱の3項目にとどまり、衝撃・摩擦は条文上の要件になっていません。
さらに第一類のうちアルカリ金属の過酸化物を含むものは、水との接触も避けなければなりません。
同じ酸化性というくくりでも、物品によって守るべき項目が一つずつ違うことを押さえておく必要があります。

同じ酸化性でも第一類のほうが項目が多いんですね。

そのとおりです、条文の号ごとに1つずつ確認するのが確実です。

第二類と第四類はなぜみだりに蒸気を発生させてはいけないのか

引火性液体の金属缶を火花を発する工具から離して置く様子と近づけて置く様子を対比したイラスト
第二類と第四類には、他の類には無い共通の一文があります。
条文を確認してみましょう。
二 第二類の危険物は、酸化剤との接触若しくは混合、炎、火花若しくは高温体との接近又は過熱を避けるとともに、鉄粉、金属粉及びマグネシウム並びにこれらのいずれかを含有するものにあつては水又は酸との接触を避け、引火性固体にあつてはみだりに蒸気を発生させないこと。
四 第四類の危険物は、炎、火花若しくは高温体との接近又は過熱を避けるとともに、みだりに蒸気を発生させないこと。
蒸気の発生そのものが火災の引き金になります。
第四類(引火性液体)は蒸気に引火する危険物なので、みだりに蒸気を発生させないことが条文にそのまま書かれています。
第二類は本来「可燃性固体」ですが、そのうち引火性固体に限って第四類と同じ蒸気の規定が及びます。
さらに第二類は鉄粉・金属粉・マグネシウムを含むものだけ、水又は酸との接触という別の禁忌事項も加わります。
一つの号の中でも、危険物の種類によって適用される項目が枝分かれしている点に注意が必要です。

同じ第二類でも、鉄粉かどうかで避ける相手が変わるんですね。

はい、品名だけでなく性状まで見て判断する必要があります。

第三類と第五類はどこが見落としやすいのか

密閉容器を乾いた棚に置き水道の蛇口から離す様子を示すイラスト
第三類は一つの号の中に、性質が異なる二つのグループが同居しています。
条文を確認してみましょう。
三 自然発火性物品(第三類の危険物のうち危険物の規制に関する政令第1条の5第2項の自然発火性試験において同条第3項に定める性状を示すもの並びにアルキルアルミニウム、アルキルリチウム及び黄りんをいう。)にあつては炎、火花若しくは高温体との接近、過熱又は空気との接触を避け、禁水性物品(第三類の危険物のうち同令第1条の5第5項の水との反応性試験において同条第6項に定める性状を示すもの(カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを含む。)をいう。)にあつては水との接触を避けること。
五 第五類の危険物は、炎、火花若しくは高温体との接近、過熱、衝撃又は摩擦を避けること。
自然発火性と禁水性は別の性質です。
自然発火性物品は空気との接触を避け、禁水性物品は水との接触を避けるという、正反対の対応が必要です。
アルキルアルミニウムやアルキルリチウムのように両方に該当する物品もあり、その場合は空気からも水からも遠ざけなければなりません。
一方の第五類は可燃物との接触・混合の規定が無く、第一類と同じ炎・過熱・衝撃・摩擦の4項目を避ける構成になっています。
似た項目が並ぶからこそ、自分が扱う危険物がどちらの性質を持つのかを個別に確認することが欠かせません。

空気を避けるものと水を避けるもの、両方あるのは紛らわしいです。

だからこそ性状まで確認する必要があるんです。
次は基準どおりに貯蔵できないときの対応を見ていきます。

通常と異なる貯蔵や取扱いをするときは何を確認すればよいか

チェックリストと図面と巻尺が並ぶイラスト
条文の一号から六号まではあくまで通常の貯蔵・取扱いを前提にしています。
例外を定めた第二項も確認しておきましょう。
2 前項の基準は、危険物を貯蔵し、又は取り扱うにあたつて、同項の基準によらないことが通常である場合においては、適用しない。この場合において、当該貯蔵又は取扱いについては、災害の発生を防止するため十分な措置を講じなければならない。
基準が免除されても義務が消えるわけではありません。
たとえば製造工程の性質上、危険物を加熱しながら扱うことが通常であるような場合は、第一項の基準を形式的にそのまま適用しないことが認められています。
ただしその代わりに、災害の発生を防止するため十分な措置を講じる義務が生じます。
現場でまず確認すべきは、貯蔵する危険物の品名と性状から第一類から第六類のどれに当たるかを特定することです。
そのうえで該当する号の禁忌事項をチェックリスト化し、通常と異なる扱いをする場合は代わりの安全措置を記録しておくと、実務での確認が確実になります。

うちの倉庫でも、まず品名と類を確認するところから始めます。

それが確実な一歩です、類ごとの禁忌事項を一覧にしておきましょう。

よくある質問

Q少量危険物とはどのくらいの数量を指すのですか?
A指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を指します。この範囲に入ると火災予防条例(例)の技術基準が適用されます。
Q第三十一条の七はどんな場面で確認すればよいのですか?
A貯蔵する危険物が第一類から第六類のどれに当たるかを確認したうえで、該当する号の禁忌事項を守る場面で確認します。置き場所やタンクの基準とは別に必要です。
Q一つの薬品が自然発火性と禁水性の両方に当てはまることはありますか?
Aあります。アルキルアルミニウムやアルキルリチウムなどは両方の性質を持つため、空気との接触と水との接触の両方を避ける対応が必要です。
Q条例の基準どおりに貯蔵できない場合はどうすればよいのですか?
A通常と異なる貯蔵や取扱いであることが認められる場合は基準が適用されない代わりに、災害の発生を防止するため十分な措置を講じる義務があります。

まとめ

火災予防条例(例)第三十一条の七は、少量危険物の貯蔵及び取扱いについて危険物の類ごとに共通する技術上の基準を定めています。
対象は指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物です。
第一類と第六類の酸化性の危険物は、可燃物との接触や過熱を避けます。
第二類と第四類はみだりに蒸気を発生させないことが共通の要件です。
第三類は自然発火性禁水性で対応が分かれます。
第五類は炎や過熱に加えて衝撃・摩擦も避けなければなりません。
通常と異なる貯蔵や取扱いをするときは、基準の代わりに十分な安全措置を講じる必要があります。

第一類から第六類まで、これでうちの倉庫も確認できます!

類ごとの禁忌事項の確認は㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第九条の四
  • 火災予防条例(例)第三十一条・第三十一条の七

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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