駐車場の泡消火設備を見ていて、ヘッドの数がなぜかぴったり決まっていることに気づいたことはないでしょうか。
特定駐車場用泡消火設備には感知継手を使う型式と、一斉開放弁を使う型式があり、実はつなげられるヘッドの数の上限が違います。
感知継手なら2個まで、一斉開放弁なら4個までと、条文がそれぞれ別の数字を定めています。
この差は思いつきではなく、火災を感知するしくみの違いから生まれています。
駐車場の泡消火設備、型式によってヘッドの数の上限が違うと聞きました。
なぜそんな決まりがあるんですか。
感知継手を使う型式と一斉開放弁を使う型式では、火災を感知するしくみそのものが違います。
その違いがつなげられるヘッドの数にそのまま表れているんです。
うちの駐車場がどちらの型式なのか、実は把握できていません。
点検票を見れば分かるものでしょうか。
はい、点検票や設計図書に型式の名称が記載されています。
今日はその型式ごとの違いを条文から順番に見ていきましょう。
- 特定駐車場用泡消火設備には単純型平面式のほかに感知継手式・一斉開放弁式・機械式など複数の型式がある。
- 感知継手や火災感知ヘッドは、取り付け場所の最高周囲温度に応じた標示温度のものを選ぶ。
- 感知継手に接続できる開放型ヘッドは2個まで、一斉開放弁に接続できる開放型ヘッドは4個までと条文が別々に定めている。
- 機械式泡消火設備は、駐車装置の作動や車両の駐車で破損しない場所に設ける。
- 機械装置の部分に設ける場合は、単純型で必要な設置基準の一部を要しないという緩和がある。
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目次
特定駐車場用泡消火設備にはなぜ複数の型式があるのか

単純型平面式泡消火設備のほかにも、条文にはいくつもの型式が並んでいます。
まずはその関係を確認します。
第7条 一斉開放弁開放ヘッド併用型平面式泡消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準は、第4条(第一号ロ及び第二号を除く。)の規定の例によるほか、次の各号に定めるとおりとする。
特定駐車場用泡消火設備は、単純型平面式を基本形として複数の型式に枝分かれしています。
感知継手を使う型式(第5条・第6条)と、一斉開放弁を使う型式(第7条・第8条)、そして機械式(第9条)があり、いずれも前の条文をベースに追加の要件を重ねる作りです。
感知継手はヘッド1個ずつに対応する部品で、一斉開放弁は複数のヘッドをまとめて開くバルブです。
この感知のしくみの違いが、次に見るヘッドの標示温度や接続できる数の違いにつながっていきます。
感知継手と一斉開放弁、どちらも聞いたことはありますが違いがよく分かっていませんでした。
単純に呼び方が違うだけではないんですね。
はい、感知の単位がヘッド1個ごとか、まとめてかという違いです。
次はその感知の条件から見ていきましょう。
感知継手や火災感知ヘッドはどんな標示温度で選べばよいのか

感知継手も火災感知ヘッドも、どんな場所にでも同じものを使えるわけではありません。
条文が定める選び方を確認します。
設置場所の温度が上がるほど、選ぶべき標示温度も高いものに変わります。
最高周囲温度が39度未満の場所なら標示温度79度未満、39度以上64度未満の場所なら標示温度79度以上121度未満のものを選びます。
この基準は感知継手を使う型式(第5条)でも、一斉開放弁を使う型式(第7条)の火災感知ヘッド等でもまったく同じ表が使われます。
つまり感知の方式が違っても、温度による選び方のルールは共通ということです。
感知継手にも標示温度があるんですね。
スプリンクラーヘッドと同じ考え方でしょうか。
はい、周囲温度が高い場所ほど高い標示温度のものを選ぶという考え方は共通です。
次はこの感知の単位ごとに、つなげられるヘッドの数を見ていきましょう。
感知継手式と一斉開放弁式でヘッド数の上限はなぜ違うのか

ここからが両方の型式でいちばん違いが出るところです。
条文が定める接続できるヘッドの数を確認します。
第7条第二号ロ 一の一斉開放弁に接続する開放型泡水溶液ヘッドの数は四以下とすること。
感知継手式と一斉開放弁式では、つなげられるヘッドの数の上限がそもそも違います。
感知継手に接続できる開放型ヘッドは2個まで、一斉開放弁に接続できる開放型ヘッドは4個までと条文が別々に定めています。
感知継手は熱を感知した継手そのものが開いて放射するしくみなので、受け持てる範囲が狭く抑えられています。
一方の一斉開放弁は、火災感知ヘッド等の信号を受けて弁がまとめて開くしくみなので、1つの弁でより広い範囲のヘッドを受け持てます。
数字だけ見ると2個と4個で単純に見えますが、ちゃんと理由があるんですね。
はい、感知の単位がヘッド単位か弁単位かの違いがそのまま数字に出ています。
点検のときはこの数を実際に数えて確認してください。
機械式駐車場に設置するときはなにに気をつければよいのか

立体駐車場のように車両を機械で昇降させる施設には、専用の定めがあります。
機械式泡消火設備の条文を確認します。
機械式駐車場では、昇降装置の動きでヘッドや配管が壊れない場所を選ぶことが条文の大前提です。
これまで見てきた第4条から第8条までの基準は、機械式にもそのまま重ねて適用されます。
そのうえで、車両を乗せるパレットなど機械装置そのものの部分にヘッドを設ける場合は、一部の設置基準を満たさなくてよいという緩和も定められています。
点検のときは、パレットの昇降でヘッドや配管が接触・干渉していないかを実際の可動範囲で確認する必要があります。
機械式駐車場は動く部分が多いので、設備が壊れないか気になります。
そのとおりで、条文も昇降装置による破損を避ける場所を選ぶよう求めています。
次は点検のときの確認ポイントをまとめておきましょう。
点検のときになにを確認すればよいのか

ここまでの条文を踏まえて、点検で確認すべき点を整理します。
図面と現場を突き合わせるときの確認項目です。
点検では、これまで見た条文の数字を実際の現場と突き合わせます。
- ヘッドや感知継手に表示された標示温度が、設置場所の最高周囲温度の区分と合っているか
- 感知継手1個につながる開放型ヘッドが2個以下になっているか
- 一斉開放弁1個につながる開放型ヘッドが4個以下になっているか
- 機械式駐車場では、ヘッドや配管が昇降装置の可動範囲と干渉していないか
点検票や設計図書からヘッドの型式と設置場所を確認し、条文の基準どおりになっているか照合してください。
数を数えるだけなら自分たちでも確認できそうです。
はい、まずは型式ラベルと接続数を数えるところから始めてください。
判断に迷う点があれば設計者や点検業者に確認するのが確実です。
よくある質問
まとめ
感知継手式と一斉開放弁式で上限の数字が違う理由がよく分かりました。
型式ごとの数の上限を知っておけば、点検票を見るときの確認も速くなります。
駐車場の消火設備でお困りのことがあれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第13条・第15条・第29条の4
- 特定駐車場における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成26年総務省令第23号)第5条・第6条・第7条・第8条・第9条
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





