硫黄をドラム缶に入れずに、地面にそのまま山積みして貯蔵できる屋外貯蔵所があります。
危険物は容器に収納するのが原則ですが、なぜ硫黄だけは特別扱いされているのでしょうか。
実はこの特例は昭和54年の政令改正で生まれたもので、囲いの面積によって求められる消火設備まで変わる仕組みになっています。
今回は「塊状の硫黄専用の屋外貯蔵所」の基準を、囲いの構造から消火設備の分かれ目までまとめて解説します。
うちの屋外貯蔵所、硫黄をドラム缶に入れずに山積みにしてるんですが、これって大丈夫なんでしょうか。
それは塊状の硫黄専用の屋外貯蔵所という、政令で認められた特別な形態ですね。
じゃあ普通の屋外貯蔵所とは違う基準があるということですか。
はい、囲いの作り方から消火設備まで専用の基準が定められています。
- 硫黄は昭和54年の政令改正で屋外貯蔵所に貯蔵できる危険物として追加された
- 塊状の硫黄は容器に収納しなくても囲いの中に直接貯蔵できる
- 一つの囲いは100平方メートル以下、すべての囲いの合計は1,000平方メートル以下にする
- 囲いは不燃材料・高さ1.5メートル以下とし、漏れ防止のシートで覆う
- 貯蔵面積が100平方メートル以上になると著しく消火困難な施設として扱われる
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目次
屋外貯蔵所で硫黄を扱えるようになったのはなぜか

そこに硫黄が加わったのは、実は比較的新しい話です。
それまで屋外貯蔵所に置けたのは、灯油や重油といった第4類の危険物の一部と第6類の危険物だけでした。
硫黄は第2類の危険物ですが、屋外で山積みにされることが多い性質を踏まえ、特別に対象へ加えられたのです。
ただし普通に置いてよいわけではなく、容器に入れず山積みにする場合には専用の基準が付いてきます。
その基準がどんなものか、次の章から順に見ていきましょう。
うちで扱うのは灯油くらいなので、硫黄のことは考えたことがなかったです。
屋外貯蔵所を持つ施設なら知っておいて損はない話ですよ。
塊状の硫黄専用の屋外貯蔵所とはどんな屋外貯蔵所なのか

中でも特に手厚い基準が用意されているのが「塊状の硫黄専用の屋外貯蔵所」です。
一般の屋外貯蔵所は危険物を容器に入れて置くのが原則ですが、硫黄が塊のまま扱われることが多い実情に合わせ、地面に設けた囲いの内側にそのまま貯蔵する形が認められました。
この形態を選ぶかどうかは施設側の判断で、容器に収納する従来の置き方も引き続き可能です。
容器を使わない分、囲いそのものが硫黄を留める役割を担うため、囲いの構造には一般の屋外貯蔵所にはない基準が上乗せされます。
次の章でその中身を見ていきます。
容器を使わなくていいなら、その分楽になるということですか。
楽になる代わりに、囲い側の基準がしっかり決められているんです。
囲いにはどんな基準が求められるのか

面積・高さ・素材・排水まで、順番に見ていきましょう。
一つの囲いは100平方メートルまで、複数の囲いを設ける場合はその合計を1,000平方メートルまでに抑えなければなりません。
高さも1.5メートル以下と決められており、これを超える盛り方は認められません。
さらに囲いの外側にはシートを固着する装置と排水溝・分離槽を設け、雨水と一緒に硫黄が流れ出さないようにします。
これらの数字は、次の章で説明する消火設備の基準とも直結しています。
面積の上限が2段階になっているのは意外でした。
実はこの面積、消火設備の重さを決める基準にもつながっているんですよ。
消火設備の基準は囲いの面積でどう変わるのか

ここを見落とすと、届出の段階で消火設備が足りないと指摘されかねません。
貯蔵面積が100平方メートル以上になると「著しく消火困難な製造所等」に区分され、屋外消火栓設備など本格的な消火設備が必要になります。
5平方メートル以上100平方メートル未満なら「消火困難な製造所等」、5平方メートル未満なら「その他の製造所等」として、それぞれ求められる消火設備の重さが下がっていきます。
つまり同じ硫黄の屋外貯蔵所でも、面積次第で携行式の消火器だけで足りる場合と、本格的な消火設備が要る場合に分かれるのです。
届出前に自分の施設がどの区分に当たるか、面積を実際に測って確認しておく必要があります。
うちの囲いがどの区分に入るか、面積を測ってみないと分からないですね。
100平方メートルと5平方メートルの2つの境目を覚えておいてください。
明日からなにを確認すればよいのか

届出前と日常点検、両方の場面でチェックすることがあります。
まず自分の施設が一般の屋外貯蔵所の基準(保有空地・標識・掲示板)を満たしているか確認し、そのうえで囲いの面積・高さ・シート・排水溝の基準を上乗せで満たしているか点検します。
次に囲いの内部の面積を実際に測り、100平方メートル・5平方メートルのどちらの区分に入るかを把握します。
区分が変われば必要な消火設備の種類も変わるため、増設や統合で面積が変わったときは必ず区分を見直しましょう。
分からない点は所轄消防署に事前相談するのが確実です。
増設するときは面積の合計をもう一度計算し直さないといけないんですね。
区分が変わって消火設備が足りなくなることもあるので注意してください。
よくある質問
まとめ
今度、うちの屋外貯蔵所の囲いの面積を実際に測ってみます!
面積の測定や届出の準備でお困りでしたら、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令等の施行について(昭和54年7月30日 消防危第80号 消防庁次長)
- 危険物の規制に関する政令第2条第7号・第16条第2項
- 危険物の規制に関する規則第33条・第34条・第35条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





