立入検査でエレベーターの昇降路をのぞいたとき、天井にスプリンクラーヘッドが見当たらず不安になった防火管理者もいます。
リネンシュートやパイプダクトも同じで、狭い縦の空間にヘッドが並ぶ図面を見ることはまずありません。
これは設置忘れではなく、消防法施行規則がはじめから「ヘッドを設けなくてよい部分」として名指ししているからです。
昇降路・リネンシュート・パイプダクトは、この省令の第5号に並ぶ3つの部分です
うちの昇降路、天井にヘッドが無いんですけど、これって設置忘れじゃないですよね。
設置忘れではありません。
消防法施行規則が昇降路を名指しで外しているんです。
名指しということは、他にも同じ号に入っている部分があるんですか。
リネンシュートとパイプダクトも同じ号に並んでいます。
この記事でその中身を見ていきましょう。
- スプリンクラーヘッドを設ける部分は消防法施行令ではなく省令が決めており、令第12条第2項第1号が総務省令に委ねている。
- 受けているのが消防法施行規則第13条第3項で、次の各号に掲げる部分以外の部分という裏返しの書き方になっている。
- 第5号はエレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類する部分を名指しで外している。
- 同じエレベーターでも機械室(第3号)と昇降路(第5号)は別の号で扱われる。
- 除外されるのはダクトや昇降路そのものの内部だけで、隣接する通路や機械室は別に確認する。
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目次
エレベーターの昇降路にスプリンクラーヘッドが無いのはなぜか

エレベーターの昇降路はその代表例です。
スプリンクラー設備は消防法施行令第12条第2項第1号により、原則として天井や小屋裏の総務省令で定める部分に設けます。
その総務省令で定める部分を裏から定めているのが消防法施行規則第13条第3項で、各号に該当する場所は設置しなくてよい部分として除かれます。
第5号にエレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類する部分が挙げられているため、昇降路はヘッドの設置対象から外れます。
まずは自分の建物のどこが昇降路にあたるのかを、図面で確認するところから始めます。
うちの昇降路も、天井にヘッドが無いのはこの号のおかげなんですね。
そのとおりです。
条文が第5号として名指ししている部分なので、正しい取り扱いです。
同じ号にはどんな部分が並んでいるのか

どこまでが対象に含まれるのか、条文の言葉を確かめます。
名指しされているのはエレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトの3つです。
いずれも建物を上下に貫く縦の空間で、人が常時立ち入る居室ではありません。
「その他これらに類する部分」には、同じように縦に貫く配管用や設備用の空間が当てはまると考えられますが、号に名前が無い部分は個別の判断になります。
似た形の空間があれば、まず名指しの3つに当たるかどうかを図面で確認します。
ダストシュートやダクトスペースも、この号に入るんでしょうか。
名前が無い部分は個別の判断になります。
所轄消防署に確認するのが確実です。
エレベーターの機械室と昇降路はどう違うのか

条文の言葉で確かめます。
第3号は機械室という個室を、第5号は昇降路という縦の空間を、それぞれ独立に挙げています。
どちらもヘッドの設置対象から外れる点は同じですが、根拠となる号が違うため、図面上でも別の部分として扱います。
機械室は昇降路の上部などに設けられる個室で、巻上機や制御盤が置かれる場所です。
点検のときは、機械室と昇降路のそれぞれについて、対応する号を号ごとに確認します。
機械室も昇降路も同じ号で外れているのかと思っていました。
別々の号です。
図面ではこの2つを分けて確認してください。
実務で見落としやすいのはどこか

見落としやすい点を確認します。
パイプダクトに点検口が設けられている場合でも、除外されるのはダクトの内部だけです。
点検口の外側に広がる通路や部屋は、第5号の対象ではなく、それぞれ別の号や原則どおりの取り扱いで判断します。
昇降路に隣接する乗降ロビーや、パイプダクトが面する共用部の廊下まで、まとめてヘッド不要と思い込まないようにします。
図面の上で、除外される部分の境界を壁の位置まで正確に確かめてください。
パイプダクトの点検口がある通路も、まとめて外れると思っていました。
外れるのはダクトの内部だけです。
通路側は別に確認してください。
明日からなにを確認すればよいのか

図面と現地の両方を見ることが大切です。
まず建物の図面で、エレベーターの昇降路・リネンシュート・パイプダクトの位置を洗い出します。
次に、それぞれが第5号の対象そのものか、隣接する通路や機械室まで含めていないかを確認します。
機械室がある場合は第3号として別に扱い、昇降路と混同しないようにします。
不明な点があれば、図面を持って所轄消防署に相談し、自分の建物がどの号に当たるのかを確定させてください。
まずは図面で昇降路とダクトの位置を確認してみます!
それが一番確実な進め方です。
分からない点があればいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
これで昇降路やダクトのスプリンクラーの扱いがすっきりしました!
分からない点があれば、図面を持って㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第12条第2項第1号
- 消防法施行規則第13条第3項第3号・第5号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





