台風や地震のあと、敷地の空きスペースにプレハブ造りの応急仮設住宅が建てられることがあります。
「仮設だから消防法の基準は緩いはず」と考えてしまう管理者や自治体の担当者も少なくありません。
しかし実際には、通常の住宅と同じように消防用設備等の基準がそのまま及ぶ場合があります。
この記事では、応急仮設住宅が消防法上どこまで住宅として扱われるのかを条文にもとづいて解説します。
敷地の隅に仮設のプレハブ住宅を建てることになったんですが、消防の手続きは要るんでしょうか。
仮設だからといって、消防法上の扱いが緩くなるわけではありません。
てっきり仮設なら簡易な扱いになると思っていました。
共同住宅として扱われるかどうかで、必要な設備も変わってきます。
順番に確認しましょう。
- プレハブなどの仮設住宅にも、消防用設備等の設置・維持義務がそのまま適用されます。根拠は消防法第17条第1項です
- 住戸同士が共用の廊下や階段でつながっている場合は、消防法施行令別表第一(5)項ロの「共同住宅」として扱われます
- 住宅である以上、住宅用火災警報器の設置義務も仮設住宅に及びます。根拠は消防法第9条の2です
- 誘導灯等の代替措置は消防長または消防署長が個々の建物ごとに判断するもので、他の建物で認められた特例が自動的に適用されるわけではありません
- 仮設住宅を整備する前は、配置図を持って所轄消防署に事前相談しておくことが実務上の近道です
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目次
プレハブの仮設住宅にも消防用設備等の基準は適用されるのか

「仮設だから設置基準も簡略化される」と誤解している管理者は少なくありません。
消防法第17条は「政令で定める防火対象物」の関係者に義務を課しており、建築構造や工事期間の長さを条件にしていません。
実際にプレハブ等の仮設建築物であっても、規模や用途に応じて消火器や自動火災報知設備などの設置が必要になります。
「仮設だから当面は後回しでよい」という判断は、条文の読み方として誤りです。
自分の建てる仮設住宅がどの用途区分に当たるのかを、次に確認しましょう。
プレハブでも普通の建物と同じ扱いになるとは知りませんでした。
建物の構造ではなく、用途で義務が決まる仕組みです。
応急仮設住宅はどんな場合に共同住宅として扱われるのか

ポイントは、住戸同士が共用部分でつながっているかどうかです。
応急仮設住宅であっても、共用の廊下や階段等がある場合は、消防法施行令別表第一(5)項ロの「共同住宅」に該当するものとして取り扱われます。
一方で、各住戸が独立した出入口を持ち、共用部分を持たない一戸建て型の仮設住宅は、この扱いになりません。
用途区分が変われば、必要な消防用設備等の種類や設置基準も変わってきます。
自分の整備する仮設住宅がどちらの構造に当たるのか、配置図で確認しておきましょう。
渡り廊下でつながっているタイプは共同住宅になるんですね。
はい、独立した住戸だけの配置とは基準が変わります。
住宅用火災警報器の設置は仮設住宅でも必要なのか

それが住宅用火災警報器の設置義務です。
消防法第9条の2は「住宅の用途に供される防火対象物」の関係者に設置義務を課しており、建物が仮設か常設かを区別していません。
具体的な設置場所や維持基準は、消防法施行令第5条の7にもとづいて市町村の火災予防条例で定められます。
実務上も、応急仮設住宅の標準的な仕様書に住宅用火災警報器と消火器の設置が明記されている例があります。
条例ごとに細部の基準が異なるため、設置前に所轄消防署または市町村の条例を確認してください。
仮設だから警報器は後回しでいいと思っていました。
住宅である以上、その考えは通用しません。
誘導灯の設置免除は仮設住宅にもそのまま使えるのか

ただし、この免除は「仮設だから」認められているわけではありません。
避難口を容易に見とおせて歩行距離が短い階では、消防法施行規則第28条の2第1号により、そもそも避難口誘導灯の設置を要しない扱いが認められています。
これは仮設建築物に限った特例ではなく、通常の建物にも共通する基準です。
一方で施行令第32条の代替措置は、消防長または消防署長が個々の防火対象物の状況を見て初めて認めるものです。
「別の仮設住宅で免除されたから自分の建物も同じはず」とは限らないため、必ず所轄消防署に個別に確認してください。
前に建てた仮設住宅では誘導灯が要らなかったので、今回もいらないですよね。
それは前の建物ごとの判断なので、今回は改めて確認が必要です。
仮設住宅を整備する前に何を確認すればよいか

着工前に確認しておくと、あとからの手戻りを防げます。
- 住戸の配置図で、共用の廊下や階段の有無を確認する
- 共用部分があれば共同住宅としての消防用設備等の基準を確認する
- 住宅用火災警報器の設置場所を市町村の火災予防条例で確認する
- 誘導灯等の免除を希望する場合は所轄消防署に個別相談する
配置図の段階で用途区分が変われば、必要な消防用設備等の種類そのものが変わります。
住宅用火災警報器は市町村ごとに条例の細部が異なるため、標準仕様だけで判断しないようにしてください。
誘導灯等の免除は前例があっても個別の判断なので、早めに相談しておくと工期への影響を避けられます。
建築側と消防側、両方の窓口に早めに相談しておくことが、仮設住宅を安全に使い続ける近道です。
着工前に消防署へ相談しておいたほうがよさそうですね。
図面を持って早めに相談しておくと安心です。
よくある質問
まとめ
仮設住宅でも、きちんと確認して整備します!
判断に迷ったらいつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条第1項・第9条の2第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条の7・第32条・別表第一(5)項ロ
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第28条の2第1号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





