停電対策で携帯発電機を用意したのに、燃料が切れれば必要な機器を動かせません。
だからといって、事業所の倉庫へガソリン携行缶を増やせばよいのでしょうか。
結論は、必要量だけで決めず、同じ場所にある危険物の量を合算し、所轄消防署へ確認してから備蓄方法を決めることです。
ガソリンは蒸気が漏れると、離れた火花でも着火するおそれがあります。
数量・容器・保管場所・点検・使用記録を一つの運用にまとめ、BCPの電源計画と消防法令上の管理をつなげます。
発電機があるなら、燃料も多めに置いてええんですか?
まず同じ場所の危険物を全部数えるところからです。
ガソリンだけ見たらアカンのですね?
灯油や軽油も同じ場所なら合算して判断します。
- ガソリンは必要量だけでなく、指定数量の倍数で管理します。
- 同じ場所のガソリン、灯油、軽油などを合算します。
- 備蓄量を増やす前に、所轄消防署へ相談します。
- 適合容器を密栓し、火気・高温・直射日光から離れた通風のよい場所で管理します。
- 購入・保管・使用・点検を記録し、BCP訓練で確認します。
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目次
携帯発電機用ガソリンを事業所に備蓄してよいのか

携帯発電機用のガソリンを事業所で備蓄すること自体が、一律に禁止されているわけではありません。
ただし、ガソリンは消防法上の危険物です。
「発電機の付属品」ではなく、危険物として数量と保管方法を管理します。
消防法第10条は、指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱う場合、原則として許可を受けた危険物施設で基準に従うことを求めています。
ガソリンの指定数量は200Lです。
指定数量未満でも、火災予防条例による貯蔵・取扱いの基準や届出がかかります。
BCP担当者は「何時間運転したいか」だけで備蓄量を決めません。
現在量、最大量、保管場所、消防署への手続き、使い切る順番まで一体で決定します。
20L缶が数個なら自由に置けますか?
指定数量未満でも条例の基準があります。
どの燃料と保管場所を対象に確認するのか

最初に確認するのは、購入予定の携行缶だけではありません。
倉庫、機械室、車庫、屋外保管場所など、同一場所として扱われる範囲にある危険物を洗い出します。
- 携帯発電機用のガソリン携行缶
- 暖房機器用の灯油
- 重機や車両用に保管する軽油
- 塗料、洗浄剤、アルコール類などの危険物
- 別部署やテナントが同じ保管場所へ置く燃料
品名が違う危険物を同じ場所で貯蔵・取り扱う場合は、各数量をそれぞれの指定数量で割り、倍数を合算します。
たとえば大阪市消防局は、ガソリン20Lと灯油100Lを同じ場所で保管すると、どちらも0.1倍で合計0.2倍になる例を示しています。
平常時の在庫だけでなく、災害発生後に追加調達して一時保管する最大量まで確認します。
購入担当、施設担当、発電機運転担当が別なら、在庫表を一つに統合してください。
部署ごとに買った分も足すんですか?
同じ場所なら管理主体をまたいで確認しましょう。
購入から保管と使用まで何を決めるのか

消防庁は、ガソリンの運搬・保管には静電気を逃がせる金属製携行缶が適切であり、蓋を確実に閉め、転倒や落下を防ぐよう案内しています。
灯油用ポリエチレン容器へ入れる運用はできません。
- 所轄消防署へ最大量と保管場所を相談する
- 法令の性能基準に適合するガソリン用容器を選ぶ
- 購入時に本人確認と使用目的の確認へ対応する
- 容器を密栓し、転倒・落下・衝撃を防ぐ
- 火気、高温部、直射日光から離し、通風・換気を確保する
- 使用時はエンジンを停止し、取扱説明書に従って圧力を調整する
購入日、購入量、容器番号、保管場所、点検日、使用量、残量を記録します。
「買った人しか分からない燃料」をなくし、誰が見ても最大量を把握できる台帳にします。
備蓄は置いて終わりではありません。
缶の腐食・変形・パッキン劣化・密栓状態を定期確認し、発電機の取扱説明書と燃料の保管期限を踏まえて更新します。
- 容器の腐食、へこみ、膨らみ、漏れ
- キャップと圧力調整部の締まり
- 保管場所の温度、換気、火気の有無
- 消火器と立入管理の状態
倉庫の棚へ置けば大丈夫ですか?
場所の基準と容器の状態まで確認が要ります。
少量なら届出も管理も不要と思いやすいのはなぜか

見落としやすいのは、1缶ずつでは少量でも、同じ場所へ集まると届出や設備基準の境目を超えることです。
ガソリンだけでなく異なる危険物の倍数を合算するため、灯油やアルコール類の在庫も影響します。
- 停電が長引き、予定外の燃料を追加購入した
- 各部署が同じ倉庫へ携行缶を持ち込んだ
- テナントと施設管理側の燃料を別々に数えた
- 空に見える容器や残量不明の容器を台帳から外した
- 夏季の直射日光や室温上昇を見落とした
ガソリンは引火点が非常に低く、可燃性蒸気は空気より重いため、低い場所や離れた着火源へ広がるおそれがあります。
においを感じてから換気する運用ではなく、蒸気を漏らさない密栓と適切な保管場所を先に整えます。
災害時だから基準が自動的に緩和されるわけではありません。
仮貯蔵・仮取扱いが必要になる場合も、事前の相談と安全対策をBCPへ組み込みます。
災害時なら急に増やしてもええんですか?
追加調達前の連絡先を決めておきましょう。
明日からガソリン備蓄をどう確認するのか

まず、保管場所ごとに危険物の現物と台帳を照合します。
次に、最大予定量を指定数量の倍数へ換算し、図面と一緒に所轄消防署へ相談します。
- 発電機の燃料消費量と最低限動かす負荷を確認する
- 保管場所ごとに全ての危険物を棚卸しする
- 現在量と災害時の最大予定量を倍数で合算する
- 保管場所、容器、消火器、換気、火気との距離を確認する
- 購入・点検・使用・補充の記録様式を決める
- 追加購入と仮保管の判断者、消防署への連絡担当を決める
- 発電機の停止・冷却・給油まで訓練する
訓練では、予定より停電が長引き、燃料を追加で受け入れる場面まで試します。
購入できた量、保管できる上限、発電機へ渡した量、残量を同じ台帳で追えるか確認します。
漏れ、異臭、容器の膨らみや変形を見つけた場合は、火気と電気火花を避け、人を近づけません。
安全を確保して119番通報や消防署への相談を行い、自己判断で蓋を開けたり移し替えたりしないでください。
訓練では発電機を回すだけでええですか?
在庫更新と追加受入れまで試しましょう。
よくある質問
まとめ
燃料台帳と保管場所を見直します!
数量確認と消防署相談から始めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法
- e-Gov法令検索 危険物の規制に関する政令
- 総務省消防庁 ガソリン携行缶の安全対策について
- 総務省消防庁 ガソリンの取扱いに関する通知等
- 総務省消防庁 暮らしの中で危険物を安全に取り扱うためのポイント
- 東京消防庁 イベント会場等におけるガソリンの貯蔵・取扱い時の留意事項
- 大阪市消防局 危険物規制について
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および消防庁、自治体、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。数量の算定範囲、必要な届出・許可、容器、保管場所、仮貯蔵・仮取扱いの手続きは、危険物の種類、建物、地域、運用によって異なります。実際の備蓄計画は、危険物取扱者、施設管理者、消防設備業者、ガソリン販売事業者、所轄消防署へご確認ください。





