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消防用設備等の配線もなぜ点検の対象になるのか|専用回路や絶縁抵抗など5つの基準を解説

消防設備の配線にも点検基準があることを示すアイキャッチ

火災報知器や消火設備そのものは点検していても、そこにつながる配線まで意識している防火管理者は多くありません。
実は配線にも国が定めた点検の基準があり、専用回路や絶縁抵抗など確認すべき項目が決まっています。
表示ランプが正常に点灯していても、配線側の基準を満たしていなければ点検としては不十分です。
この記事では、配線の点検基準として定められた5つの項目を解説します

点検業者から「配線も点検しました」と言われましたが、正直何を見ているのか分かりません。
そもそも配線に決まった点検基準なんてあるんですか。

あります。
専用回路や絶縁抵抗など、消防庁が定めた5つの確認項目があります。

てっきり感知器や消火器と同じ扱いだと思っていました。
配線まで見られているとは知りませんでした。

配線は建物の隅々まで伸びていて、劣化に気づきにくい場所です。
だからこそ基準に沿った点検が欠かせません。

この記事の結論
  • 配線の点検は「総合点検」として1年に1回以上行うこととされています。
  • 点検基準は専用回路・開閉器及び遮断器・ヒューズ類・絶縁抵抗・耐熱保護の5項目です。
  • 絶縁抵抗は使用電圧の区分ごとに0.1MΩ以上・0.2MΩ以上・0.4MΩ以上という基準値が定められています。
  • 電源回路は耐火配線が必須で、それ以外の回路は耐火配線または耐熱配線でよいとされています。
  • 不備が見つかったときは是正した上で維持台帳に記録し報告することが求められます。

配線点検で確認する5つの基準を示す図解

消防用設備等の配線もなぜ点検の対象になるのか

配電盤と点検チェックリストを並べたアイソメ図
消防用設備等の点検というと、感知器や消火器そのものを思い浮かべがちです。
実はそれらをつなぐ配線にも、独立した点検の基準があります。
消防法第17条の3の3 (前略)関係者は、当該防火対象物における消防用設備等(略)について、総務省令で定めるところにより、定期に、(略)点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
消防法施行規則第31条の6 法第17条の3の3の規定による消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて、1年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする。
配線も点検対象に含まれます。
感知器や消火栓のような機器本体だけでなく、それらに電気を送る配線まで点検基準が及びます。
配線の点検の種類は「総合点検」とされ、1年に1回以上行うことが求められています。
確認する事項は専用回路・開閉器及び遮断器・ヒューズ類・絶縁抵抗・耐熱保護の5項目です。
まずは最初の確認事項である専用回路から見ていきます。

点検されているのは設備だけじゃなかったんですね。

はい。
次は専用回路の要件を見ていきましょう。

配線はなぜ専用回路でなければならないのか

専用の配線と分岐した配線の分電盤を比べたアイソメ図
消防用設備等の配線は、他の電気機器と共用してはいけないとされています。
まずはその要件を確認します。
「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件」(昭和50年10月16日消防庁告示第14号)点検基準 専用回路 消防用設備等専用である旨の表示があること。消防用設備等への配線の途中で他の負荷のための配線を分岐させていないこと。
ただし、消防法施行規則第25条第3項第4号イただし書に規定する火災通報装置に係る回線終端装置等であって、開閉器の設けられていない配線から電源をとり、接続部が振動又は衝撃により緩まないよう措置されている場合は、この限りでない。
配線は設備専用でなければなりません。
消防用設備等への配線の途中で、他の負荷のための配線を分岐させてはならないとされています。
ただし火災通報装置のIP電話回線終端装置等のように、接続部が振動や衝撃で緩まない措置がある場合は例外として認められています。
点検では専用である旨の表示の有無と、分岐の有無を目視で確認します。
表示が汚れて読めない状態も、点検では指摘の対象になります。

うちの分電盤、他の配線と一緒くたになっている気がします。

次の点検で分岐の有無を確認してもらいましょう。

絶縁抵抗はどんな基準で確認するのか

絶縁抵抗計を配線に当てて測定するアイソメ図
配線の劣化は、見た目では分からないことがほとんどです。
そこで数値による確認が必要になります。
「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件」(昭和50年10月16日消防庁告示第14号)点検基準 絶縁抵抗 回路の絶縁抵抗値は、使用電圧300V以下で対地電圧150V以下のものにあっては0.1MΩ以上、その他のものにあっては0.2MΩ以上、300Vを超えるものにあっては0.4MΩ以上であること。
絶縁抵抗には数値の基準があります。
使用電圧300V以下で対地電圧150V以下の回路は0.1MΩ以上、それ以外の300V以下の回路は0.2MΩ以上とされています。
300Vを超える回路は0.4MΩ以上という、より厳しい基準です。
測定は電路の電源を遮断し、検電器で充電の有無を確認したうえで絶縁抵抗計を用いて行います。
数値が基準を下回った場合は、次章で説明する是正の手続きに進みます。

数値が基準を下回ったら、どうなるんですか。

その前に配線の工事方法の違いを確認しておきましょう。

耐火配線と耐熱配線はどこで使い分けるのか

コンクリート壁に埋設した配線と金属ダクトの配線を比べたアイソメ図
配線の保護方法は、どの回路かによって変わります。
回路の種類ごとに整理します。
「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件」(昭和50年10月16日消防庁告示第14号)点検基準 耐熱保護 電源回路にあっては耐火配線とし、露出配線の場合は耐火電線又はMIケーブルを使用し、それ以外の電線を用いるときは金属管等に埋設すること。
電源回路以外の操作回路、警報回路、表示灯回路等にあっては、耐火配線又は耐熱配線とし、その保護部分に損傷等がないこと。
回路によって工事方法が変わります。
電源回路は耐火配線が必須で、露出配線なら耐火電線またはMIケーブルを使うか、それ以外の電線は金属管等に埋設することとされています。
操作回路・警報回路・表示灯回路など電源回路以外は、耐火配線または耐熱配線のどちらでもよいとされています。
耐火配線は耐火構造の壁や床に埋設する工事、耐熱配線は金属管工事や金属ダクト工事などで施工します。
どちらの配線も、保護されている部分に損傷や脱落がないかを点検で確認します。

耐火配線と耐熱配線、正直区別がついていませんでした。

電源回路かどうかで見分けると分かりやすいです。

点検で配線の不備が見つかったら何をすればよいのか

警告タグの付いた配線と点検報告書を並べたアイソメ図
不備が見つかったら、そこで終わりではありません。
記録と是正、そして報告までが点検です。
消防法施行規則第31条の6第3項 防火対象物の関係者は、前二項の規定により点検を行った結果を、維持台帳(略)に記録するとともに、次の各号に掲げる防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない。
不備は記録し是正します。
点検で基準を満たさない箇所が見つかったときは、維持台帳にその結果を記録することとされています。
専用回路の分岐や絶縁抵抗の低下といった不備は、放置すると改修や是正を求められる対象になります。
配線の是正には電気工事の知識が必要になる場面が多く、点検を行った消防設備士や電気工事店に相談するのが実務的な進め方です。
報告書は防火対象物の区分に応じて、消防長または消防署長へ定期的に提出します。

うちの維持台帳、配線の不備を書いた記憶がありません。

次の点検の機会に、維持台帳の中身を一緒に見直しましょう。

よくある質問

Q配線の点検は誰が行うのですか?
A消防設備士免状の交付を受けた者、または総務省令で定める資格を有する者が行います。防火対象物の規模や用途によっては、関係者自ら点検することも認められています。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。
Q配線の点検はどのくらいの頻度で必要ですか?
A配線の点検区分は総合点検とされ、1年に1回以上行うことが求められています。他の消防用設備等の点検と合わせて実施するのが一般的です。
Q専用回路の例外はどんな場合に認められますか?
A火災通報装置のIP電話回線終端装置等で、開閉器のない配線から電源を取り、接続部が振動や衝撃で緩まない措置がされている場合に限り認められています。それ以外の分岐は基準を満たしません。
Q絶縁抵抗の数値が基準を下回ったらどうなりますか?
A基準を下回った箇所は不備として記録し、是正した上であらためて点検結果を消防長または消防署長に報告する必要があります。放置せず早めの対応が必要です。

まとめ

配線の点検は「総合点検」として1年に1回以上行うこととされています。
根拠は消防法第17条の3の3と同法施行規則第31条の6です。
点検基準は専用回路・開閉器及び遮断器・ヒューズ類・絶縁抵抗・耐熱保護の5項目です。
専用回路は原則として他の負荷への分岐が禁止されています。
絶縁抵抗は0.1MΩ以上・0.2MΩ以上・0.4MΩ以上という使用電圧ごとの基準値があります。
電源回路は耐火配線が必須で、それ以外は耐火配線または耐熱配線でよいとされています。
不備が見つかったら維持台帳への記録と是正を行い、結果を消防長または消防署長へ報告します。

維持台帳の見直しからやってみます!

配線の点検基準の確認からお手伝いします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第17条の3の3
  • 消防法施行規則第31条の6
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年10月16日消防庁告示第14号)
  • 消防法施行規則の規定に基づき、消防用設備等又は特殊消防用設備等の種類及び点検内容に応じて行う点検の期間、点検の方法並びに点検の結果についての報告書の様式を定める件(平成16年5月31日消防庁告示第9号)
  • 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日消防予第172号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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