災害後の復旧工事では、石こうボードや配管材、工具箱が短時間で増えます。
「あとで片付けるから」と、廊下や階段の前へ置いていませんか。
通路の資材は歩ける幅を狭めるだけでなく、火災時の避難や防火戸の閉鎖を妨げる原因になります。
資材の保管場所を先に決め避難経路へ置かない運用を続けます。
搬入した資材を、
廊下へ仮置きしています。
避難経路には置きません。
保管場所を先に確保します。
すぐ運び出す荷物でも、
あかんのですか。
短時間でも避難時は選べません。
通路外へ置きましょう。
- 復旧工事の資材は避難経路へ置かない
- 搬入前に専用の保管場所と運搬動線を決める
- 防火戸と階段と消防用設備の前も空ける
- 工事の進行に合わせて毎日巡回し変更を周知する
- 終業時の確認結果を防火管理者へ引き継ぐ
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目次
災害復旧工事の資材を廊下へ仮置きしてよいのか

避難経路となる廊下や階段へ工事資材を放置しないことが原則です。
東京消防庁の「工事中の防火管理」は、延焼拡大防止として避難通路に資材等を放置しないよう示しています。
消防法施行規則第3条は、消防計画に避難施設の維持管理と案内を定めるよう求めています。平常時の通路を工事期間だけ倉庫代わりにすると、消防計画どおりに避難できない状態になります。
資材が燃えにくいかどうかだけで判断してはいけません。人が通る幅、防火戸の作動、階段への到達、消火器や屋内消火栓への接近をまとめて確認し、資材は通路の外へ移します。
燃えない資材でも、
通路には置けないんですね。
はい。
避難の障害になるからです。
どの資材と場所を確認対象にするのか

資材の種類だけでなく搬入口から保管場所までの経路を確認します。
搬入時に一度だけ置く場所も、終業後に残る場所も対象です。
- 石こうボード、鋼材、配管、工具箱、梱包材
- 塗料、シンナー、接着剤など管理が必要な危険物品
- 廊下、階段、非常口、防火戸や防火シャッターの周囲
- 消火器、屋内消火栓、受信機など消防用設備の前
- 搬入場所、専用保管室、廃材の集積場所
東京消防庁は危険物品を定められた不燃性の保管庫等に収納し、現場へ持ち込む量を必要最小限にするよう案内しています。通路から移せばどこでもよいわけではありません。
テナントが営業を続ける建物では、来客の動線や共用部も含めます。工事会社の区画外にある共用通路は、施設側が責任を持って確認してください。
搬入口から保管室まで、
全部見るんですね。
置かれる途中の場所も、
確認対象です。
保管場所と巡回方法をどう決めるのか

搬入を始める前に保管場所と一時受入れ場所を図面へ記入します。
置き場が決まっていないと、作業員は近くの空いた廊下へ資材を置きやすくなります。
- 工事工程と搬入量を確認し専用保管場所を決める
- 搬入口から保管場所までの運搬経路を決める
- 危険物品と一般資材と廃材を分けて保管する
- 廊下、階段、防火戸、消防用設備の前を禁止場所にする
- 搬入直後、休憩前、終業時の巡回担当を決める
- 通路変更があれば利用者と工事人へその都度周知する
- 終業時の写真以外に時刻と確認者を記録する
東京消防庁の工事中消防計画作成例は、避難経路に資材等を置かせない管理と、定期的な巡回を行う確認者を定める考え方を示しています。置かないルールと見回る担当者を一組にします。
資材の納品時間がずれた場合や予定外の工事が加わった場合も、保管場所を変更してから受け入れます。現場判断で廊下を臨時倉庫にしない運用が必要です。
置き場が埋まったら、
搬入を止めるんですね。
はい。
通路を代わりに使いません。
短時間の仮置きならよいと思うと何を見落とすのか

短時間でも防火戸の閉鎖や避難を妨げる位置には置けません。
火災や地震は、搬入が終わるまで待ってくれません。
- 台車や箱が防火戸の閉鎖範囲へはみ出す
- 長尺材が曲がり角や階段の入口を狭める
- 梱包材や廃材が増えて火災の拡大要因になる
- 消火器や屋内消火栓へ近づけなくなる
- 担当交代後に仮置きの理由が伝わらず残置される
消防庁の防火管理指針は、施工者が資機材を搬入した際に避難経路となる場所へ物品を置かないよう管理することを示しています。搬入中も避難経路は避難経路のままです。
資材を壁際へ寄せても、安全とは限りません。煙で見えにくい状況、車いす利用者、担架搬送、消防隊の進入も考え、普段どおり使える状態を保ちます。
壁際へ寄せるだけでは、
足りないんですね。
はい。
通路外へ移動してください。
明日から資材の仮置きをどう確認するのか

避難経路図へ保管場所と禁止場所を重ねた巡回表を作ります。
「片付ける」という指示だけでは、確認する場所と責任者が曖昧です。
- 最新の避難経路図と工事工程表を並べる
- 専用保管場所、一時受入れ場所、搬入経路を記入する
- 防火戸、階段、非常口、消防用設備の前を禁止場所にする
- 危険物品と梱包材と廃材の保管方法を決める
- 搬入後、休憩前、終業時の巡回担当者を決める
- 変更内容をテナント、警備員、工事人へ周知する
- 異常の是正時刻と終業確認を防火管理者へ引き継ぐ
工事期間中は工程と資材量が変わります。工事中の消防計画や作業打合せに巡回表を組み込み、変更の都度保管場所と避難経路を更新してください。
内閣府の事業継続ガイドラインは、事業継続と同時に生命の安全確保と二次災害防止を求めています。早期復旧を急ぐほど、避難経路を守る確認を省略しないことが重要です。
終業時の巡回結果を、
引き継ぎます。
それなら翌朝も、
安全な状態から始められます。
よくある質問
まとめ
早期復旧を急いでも、避難経路を資材置場へ変えてはいけません。工事会社と施設側が同じ図面と巡回表を使い、禁止場所を共通認識にします。
保管場所を先に決め通路を空け巡回結果を引き継ぐという順番を、BCPと工事中の消防計画へ組み込んでください。
通路外の保管場所を、
先に決めます!
巡回と引継ぎまで続けましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第8条
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第3条
- 東京消防庁 工事中の防火管理
- 東京消防庁 工事中の消防計画
- 東京消防庁 新築工事中の消防計画作成例
- 総務省消防庁 防火管理業務の実施要領
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。避難経路や防火戸の周囲を資材置場にせず工事開始前に所轄消防署と防火管理上の取扱いを確認してください。必要な消防計画、届出、通路幅、保管方法は、建物用途、工事内容、地域の条例や運用で異なります。個別の判断は所轄消防署や専門家へご確認ください。





