火災が起きたとき、館内放送とは別に建物のあちこちで鳴るベルやスピーカーがあります。
この地区音響装置は、ただ設置すればよいわけではなく、各階のどこにいても音が届くように配置や配線まで細かく基準が定められています。
設置間隔や配線の耐熱性能、階段の扱い、受信機が複数ある場合の鳴動方法まで、条文には具体的な要件が並んでいます。
今回は地区音響装置の設置基準を、条文に沿って一つずつ確認します。
うちのビルにもベルが各階についていますが、これも基準があるんですか。
はい、設置間隔や配線まで細かく決まっているんですよ。
音が届かない場所があったら困りますもんね。
はい、水平距離25メートルという基準もあります。
まずは地区音響装置の役割から見ていきましょう。
- 地区音響装置は感知器の作動と連動して防火対象物全体に警報を伝える設備です
- 各階の設置間隔は水平距離25メートル以下となるように配置します
- 受信機から地区音響装置までの配線には耐熱性能のある電線と工事方法が求められます
- 階段又は傾斜路に設ける地区音響装置は感知器との連動を要しません
- 一の防火対象物に受信機が2以上あるときはいずれの受信機からも鳴動できる必要があります
▼
目次
地区音響装置はどうやって火災を知らせる仕組みなのか

この音を出す役割を担うのが地区音響装置です。
階段又は傾斜路に設けるものを除き、感知器の作動と連動して自動的に作動します。
鳴らすだけでなく、防火対象物の全区域に有効に報知できるように設置することが求められます。
つまり地区音響装置は、感知器がとらえた火災の兆候を建物全体に音で伝える最後の出口ということです。
地区音響装置は感知器と連動しているんですね。
はい、全区域に届くことも条件になっています。
次は設置間隔の基準を見ていきましょう。
各階の設置間隔はなぜ25メートル以下と定められているのか

そこで各階ごとに設置する間隔そのものが条文で決まっています。
各階のどの部分から測っても、最寄りの地区音響装置までの水平距離が25メートルを超えないように配置します。
部屋の配置や廊下の形状によっては1台では足りず、複数台を分散して設置する必要があります。
つまりこの基準は、建物のどこにいても警報音が届く距離を数値で保証する仕組みということです。
25メートルって、意外と細かく決まっているんですね。
はい、部屋の配置によっては台数が増えることもあります。
次は配線の基準を見ていきましょう。
地区音響装置の配線はなぜ耐熱性能が求められるのか

そのため受信機からの配線にも独自の基準があります。
使用する電線は600ボルト2種ビニル絶縁電線又はこれと同等以上の耐熱性を持つものに限られます。
工事方法も金属管工事や不燃ダクトのケーブル工事などに限定されています。
つまり火災の熱が配線に及んでも、警報音を最後まで鳴らし続けられるようにするための基準ということです。
配線が燃えたら鳴らなくなりますもんね。
はい、耐熱電線を使うのはそのためです。
次は階段の扱いを見ていきましょう。
階段や傾斜路の地区音響装置はなぜ感知器連動の対象外なのか

この違いを知らないと、図面の見方で戸惑うことがあります。
条文は階段又は傾斜路に設ける場合を除きと明記していて、それ以外の部分だけが感知器連動の対象です。
設置図を見るときは、階段部分の地区音響装置が他の階と別の扱いになっていないか確認する視点が必要です。
つまり条文を読むときは、全部が同じ条件だと思い込まないことが大切だということです。
階段は別扱いだったんですね。
はい、条文の除外規定を見落とさないことが大事です。
次は受信機が複数ある場合を見ていきましょう。
受信機が複数ある建物ではどこから鳴動させられる必要があるのか

このとき地区音響装置がどこから鳴らせるかも基準で決まっています。
一の防火対象物に受信機が2以上設けられている場合、いずれの受信機を操作しても地区音響装置を鳴動させられなければなりません。
どれか1台の受信機だけが操作できる状態は基準を満たさないため、配線と制御の両方を確認する必要があります。
つまり受信機を増設するときは、既存の受信機からの鳴動経路が保たれているかをあわせて確認するということです。
受信機を増やすときも注意がいるんですね。
はい、既存の受信機からの鳴動経路も確認します。
ここまでの基準を整理しましょう。
よくある質問
まとめ
地区音響装置にも、こんなに細かい基準があったんですね!
地区音響装置の点検や図面確認もお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第24条(自動火災報知設備に関する基準の細目)第5号
- 消防法施行規則第12条第1項第5号(配線の耐熱性能)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





