粉末消火設備は、貯蔵タンクに詰める消火剤の量にも決まった範囲があります。
この範囲は充てん比と呼ばれ、消火剤の種別ごとに数値が変わります。
加圧式の貯蔵タンクでは、この充てん比が外観試験の確認項目の1つになっています。
今回は粉末消火設備の貯蔵タンクの充てん比がどんな基準で定められているのかを解説します。
粉末消火設備の消火剤って、タンクにどれだけ詰めてもいいんですか?
いえ、充てん比という範囲が決まっているんですよ。
消火剤の種類によって数値が違うんですね。
はい、全部で3区分に分かれています。
順番に見ていきましょう。
- 充てん比は消防法施行規則第21条第4項第2号が消火剤の種別ごとに数値で定めています
- 第一種粉末(炭酸水素ナトリウムを主成分とするもの)は0.85以上1.45以下です
- 第二種粉末又は第三種粉末は1.05以上1.75以下という共通の範囲です
- 第四種粉末(炭酸水素カリウムと尿素との反応物)は1.50以上2.50以下です
- 充てん比の確認結果は試験結果報告書に記載され消防検査で照合されます
▼

目次
粉末消火設備の充てん比とは何を確認する数値なのか

これは貯蔵容器等の外観試験の中に含まれる項目です。
数値そのものは消火剤の種別ごとに範囲が決められています。
確認の方法は特別な計測器を使うものではなく、目視による外観試験で足ります。
次の項からは、この範囲が消火剤の種別ごとにどう違うのかを見ていきます。
充てん比って、消火剤の重さを量ることですか?
いえ、タンクと消火剤の量の関係を示す数値なんですよ。
次は数値そのものを見てみましょう。
第一種粉末の充てん比はなぜ0.85以上1.45以下と定められているのか

この第一種粉末には、3区分の中でもっとも低い範囲の充てん比が定められています。
これは3区分の中でもっとも低い範囲にあたります。
理由までは条文に書かれていませんが、消火剤の種類によって粒子の性質が異なるため、同じ容積に詰められる質量の上限・下限も変わると考えられます。
試験ではこの範囲に収まっているかどうかを、貯蔵タンクの規格や表示とあわせて確認します。
消火剤の種類が違うと、詰められる量も変わるんですね。
はい、粉末の種類ごとに範囲が別に決まっています。
次は別の2種類を見てみましょう。
第二種粉末又は第三種粉末はなぜ同じ範囲でくくられているのか

この2つの消火剤は、充てん比の条文上は同じ範囲でまとめて定められています。
主成分は炭酸水素カリウムとりん酸塩類等で異なりますが、条文上は1つの区分としてまとめられています。
消火剤の種類を選ぶときは、この充てん比の違いよりも、防護対象物の用途に応じた消火性能で選定するのが基本です。
駐車の用に供される部分には、原則として第三種粉末を使うことも定められています。
種類が違っても、範囲が同じことがあるんですね。
はい、条文上は1つの区分としてまとめられています。
次は残りの1種類です。
第四種粉末の充てん比はなぜもっとも高い範囲まで認められているのか

充てん比は、3区分の中でもっとも高い範囲まで認められています。
下限の1.50自体が、他の消火剤の上限を上回っています。
理由までは条文に書かれていませんが、同じ容積のタンクでもより軽く詰められる消火剤ほど、充てん比の数値が高くなる関係にあると考えられます。
どの区分も、貯蔵タンクの規格や表示とあわせて試験結果報告書に記載する項目です。
同じタンクでも、消火剤によって詰め方の範囲がこんなに違うんですね。
はい、3区分すべてで数値が異なります。
最後はこの数値が検査でどう扱われるかです。
充てん比の確認結果は消防検査でどう扱われるのか

設置に係る工事が完了した際の検査でも使われる書類です。
消防長又は消防署長が行う検査は、この試験結果報告書と設計図書を照合しながら進められます。
貯蔵タンクの充てん比という数値1つも、こうした書類の突き合わせを経て初めて確認済みの状態になります。
試験結果報告書は現場の記載要領に沿って作成し、実測値まで残しておくことが検査をスムーズに進めるコツです。
数値だけでなく、書類の照合まで含めて検査なんですね。
はい、試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
よくある質問
まとめ
数値で範囲が決まっていると、安心して任せられます。
試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第21条(粉末消火設備に関する基準)
- 消防法施行規則第31条の3第2項(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
- 消防用設備等の試験基準に係る運用について(平成14年9月30日消防予第283号)記3
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。運用は所轄消防署ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





