屋内消火栓設備やスプリンクラー設備のポンプ方式の加圧送水装置には、必ず制御盤が組み込まれています。
制御盤は単なるスイッチ盤ではなく、告示で構造や性能まで細かく定められた消防用設備の一部です。
なかでもインバータ方式・端子・表示の3つは、これまであまり取り上げてこなかった規定です。
本記事では制御盤に加わるこの3つの基準を、根拠となる告示から順に解説します。
制御盤の中を見ても、何を確認すればいいのか分かりません。
確認すべき項目は告示で決まっています。
順番に見ていきましょう。
インバータ方式の制御盤は、普通の制御盤と何が違うんですか。
回転速度の扱いに追加の基準があります。
端子や表示の規定もあわせて見ていきましょう。
- 加圧送水装置の制御盤の構造及び性能は、消防法施行規則第12条第1項第7号ニにより消防庁長官が定める基準による
- インバータ方式の制御盤は、回転速度を切り替える際に電動機や他設備の機能に支障を生じないよう措置し、定格回転速度を超えてはならない
- 制御盤の回路を保護する装置が作動しても、加圧送水装置の機能を止めてはならない
- 制御盤には起動用入力端子など6種類の端子を設けなければならない
- 制御盤には製造者名や型式記号など、6つの事項を消えない形で表示しなければならない
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目次
加圧送水装置の制御盤にはなぜこれほど細かい基準があるのか

制御盤は単なるスイッチ盤ではなく、消防用設備として構造の基準を守らなければなりません。
告示の第六には制御盤・呼水装置・ポンプ性能試験装置など、ポンプまわりの付属装置の基準がまとめられています。
このうち制御盤については、これまで表示灯や警報装置の基準を扱ってきました。
今日はまだ取り上げていないインバータ方式・端子・表示の3つの規定を見ていきます。
いずれも竣工検査や点検のときに、実際に確認する機会がある項目です。
制御盤の基準は、表示灯や警報装置だけじゃないんですね。
はい、インバータ・端子・表示にもそれぞれ規定があります。
インバータ方式の制御盤はなぜ回転速度の切り替えに条件が付くのか

回転速度を変えられる分、インバータ方式には固有の注意点があります。
非常用発電設備から電力を受けて動く場合、切り替え時の電流の乱れが発電機側の運転に影響することがあります。
そのため切り替え時に支障が生じない措置があらかじめ組み込まれている必要があります。
また回転速度を上げすぎるとポンプや軸受に無理な負荷がかかるため、定格回転速度を超えない制御も同時に求められます。
点検では、制御盤の仕様書に記載された定格回転速度と、実際の設定値が一致しているかを確認します。
インバータって、省エネのイメージしかなかったです。
消防用設備では安全のための条件も一緒に付いてきます。
保護装置が作動しても加圧送水装置を止めてはいけないというのはどういうことか

ところが、その保護装置が作動したときの扱いには注意が必要です。
一般の電気設備であれば、保護装置が作動して回路を遮断するのは安全上正しい動作です。
しかし加圧送水装置は火災時に送水を続けることが最優先の設備なので、保護装置の作動が送水機能の停止に直結しないよう設計しなければなりません。
これは呼水槽減水警報装置や電動機過電流警報装置が作動しても電動機を自動的に止めてはならないという別の規定と考え方は同じですが、こちらは制御盤内部の回路保護装置そのものに対する基準です。
点検では、制御盤の仕様書でこの措置が組み込まれているかどうかを確認できます。
ブレーカーが落ちたら、ポンプも止まると思っていました。
消火用のポンプは止まらない設計が原則です。
制御盤に必ず設けなければならない端子とは何か

そのつなぎ目となる端子にも、設けるべき種類が決まっています。
起動用入力端子は遠隔から制御盤を起動させるための入口、呼水槽減水検出用入力端子は呼水槽の水位低下を知らせる信号の入口です。
警報信号用出力端子とポンプ運転信号用出力端子は、逆に制御盤から防災センターなどへ状態を知らせるための出口にあたります。
接地用端子は感電防止のための接地を行う端子で、その他必要な端子は建物ごとの個別事情に応じて追加されるものです。
点検では、これらの端子に配線が正しく接続され、緩みや腐食がないかを確認します。
端子ひとつひとつに、役割があるんですね。
はい、入力用と出力用で向きが逆になっています。
表示しなければならない6つの事項とは何か

これは修理や更新のときにも役立つ情報です。
製造者名・品名・型式記号は、部品の取り寄せや修理の依頼をするときに使う情報です。
第一種制御盤か第二種制御盤かの表示は、配電盤及び分電盤の基準(昭和56年消防庁告示第10号)のどちらに適合しているかを示すもので、点検のときに構造の妥当性を確認する手がかりになります。
製造年及び製造番号、定格電圧、電動機出力は経年劣化や更新時期の判断材料になります。
点検では、これらの表示が薄れたり脱落したりしていないかも、あわせて確認しておくと安心です。
制御盤の表示、これまで気にしたことがありませんでした。
点検のときに表示の有無も見ておくと安心です。
よくある質問
まとめ
制御盤の中身が、やっと分かりました!
制御盤の点検や更新もお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第12条第1項第7号ニ(屋内消火栓設備の加圧送水装置の構造及び性能)
- 加圧送水装置の基準(平成9年6月30日消防庁告示第8号)第六 付属装置等 一 制御盤
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。設備の仕様や点検の実施方法は機種や建物ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または専門業者にご確認ください。





