地震後の巡回で、非常用エレベーターの乗降ロビーに水が広がっていました。
床を拭けば使えそうに見えても、敷居の奥や昇降路、制御機器へ水が回っている可能性があります。
濡れた区域へ人を入れず、エレベーターを使わない状態にします。
復旧は、漏水停止と専門点検、消防活動経路の確認を終えてから判断します。
ロビーの床が濡れています。
まず使用を止めて区画します。
- 乗降ロビーの浸水を見つけたら、濡れた区域を立入禁止にして非常用エレベーターを使いません
- 水の発生源、広がり、敷居、昇降路側、電気設備、消防活動経路を分けて確認します
- 床面が乾いても、保守会社の点検を終えるまで再起動しません
- 乗降ロビーを消防活動拠点として使えるか、代替経路も含めて所轄消防署と共有します
- BCPには停止判断、連絡先、代替動線、復旧確認、記録の流れを定めます
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目次
地震後に非常用エレベーターの乗降ロビーが浸水していたら使ってよいのか

結論からいえば、浸水を見つけた時点で使用を止め、濡れた範囲へ立ち入らないようにします。
床面だけを見て運転可とは判断できません。
水は乗場扉の敷居から昇降路へ入り、ピット、配線、制御系統へ影響することがあります。
自分たちで扉を開けたり、リセット操作を繰り返したりしないでください。
非常用エレベーターは、火災時に消防隊が活動するための設備です。
止めるだけでなく、代わりの消防隊進入経路を確保して共有します。
床を拭けば動かせますか。
専門点検までは使いません。
どの乗降ロビーと設備を確認対象にするのか

漏水が見つかった階だけではなく、同じ系統の配管が通る上下階と昇降路の下部まで確認対象にします。
水は見えている場所と実際に回り込んだ場所が一致しないためです。
| 確認する場所 | 見るポイント |
|---|---|
| 乗降ロビー | 水深、範囲、天井・壁・配管、床の勾配 |
| 乗場扉と敷居 | 水の流入、泥や異物、変形、開閉状態 |
| 昇降路とピット | 冠水の有無は保守会社が確認 |
| 付帯設備 | 非常電源、連絡装置、排煙、防火戸、照明 |
| 消防活動経路 | 階段、進入口、消防隊の接近と待機場所 |
建築基準法施行令第百二十九条の十三の三は、非常用エレベーターの乗降ロビー、出入口、非常用電源などを定めています。
エレベーター単体ではなく、ロビーを含む一連の機能として確認します。
消防庁の大規模倉庫向け資料でも、非常用エレベーターの乗降ロビーを消防活動拠点とする考え方が示されています。
通路と扉が使えるかも同じ優先度で確認してください。
濡れた階だけ見ればよいですか。
上下階と昇降路側も対象です。
浸水を見つけたらどの順で対応するのか

対応は、人を近づけないことから始めます。
止水作業でも感電や落下の危険がある場所へ無理に入りません。
- 濡れた区域をコーンやバーで区画し、人を近づけない
- 非常用エレベーターの使用を止め、利用者へ周知する
- 安全に操作できる範囲で漏水源を止める
- 防火管理者、建物管理者、エレベーター保守会社へ連絡する
- 上下階、敷居、昇降路側、付帯設備、代替経路を確認する
- 火災対応へ影響する場合は所轄消防署へ状況を共有する
- 専門点検と機能確認を終え、判断者が復旧を記録する
連絡時は「床が濡れている」だけでなく、階、時刻、水の深さ、流入方向、運転状態、閉じ込めの有無を伝えます。
写真を撮るために危険区域へ入らないでください。
消防活動経路が使えないときは、階段や別系統の非常用エレベーターなど、事前に決めた代替経路を確認します。
代替経路も現場で通れることを確かめて共有します。
先に水を止めに行きますか。
立入制限と使用停止が先です。
床を拭けば使えると思うと何を見落とすのか

床の表面が乾いても、敷居の溝や昇降路、ピット、配線の状態は外から確認できません。
見た目の乾燥と設備の安全確認は別です。
乗場ボタンが点灯することや、扉が一度開くことも安全の証明にはなりません。
試運転や復旧操作は保守会社へ任せます。
また、清掃後に資材を置くと、消防隊の待機や資機材搬送の空間を狭めます。
ロビーを物置にせず、扉と通路の有効幅を戻すことまで確認します。
非常用エレベーターが停止しても、それだけで建物全体の継続可否が自動的に決まるわけではありません。
避難、消防活動、重要業務の動線を区域ごとに評価します。
乾けば復旧でよいですか。
見えない部分の点検が必要です。
明日から乗降ロビーの浸水へどう備えるのか

平常時に、どこから水が入り、どの設備へ流れるかを図面と現場で照合します。
配管、排水口、床勾配、敷居、電気設備、代替階段を一枚の確認図へまとめると初動が速くなります。
- 非常用エレベーターと全乗降ロビーを図面へ記入する
- 配管、止水弁、排水口、床勾配を現場で照合する
- 立入禁止資材と掲示を浸水しにくい場所へ保管する
- 防火管理者、建物管理者、保守会社の連絡順を決める
- 別系統のエレベーター、階段、消防隊進入経路を決める
- 運転停止と復旧を判断する責任者・代行者を並べる
- 訓練で通報、区画、代替経路、記録まで実施する
止水板や防水扉を設ける場合も、消防活動経路や防火戸の作動を妨げない配置が必要です。
浸水対策だけを単独で追加せず、建築・昇降機・消防の専門家と調整します。
内閣府の事業継続ガイドラインは、被害状況の把握、二次災害の防止、重要業務の継続・復旧を一連で考えることを示しています。
停止から代替、復旧、記録までを消防計画とBCPへ接続してください。
代替経路まで訓練します。
現場で通れるか確認しましょう。
よくある質問
少量でも連絡が要りますね。
量より流入先を確認します。
まとめ
ロビーと代替経路を確認します!
使用停止から専門点検と復旧記録までつないでこそBCPです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 建築基準法施行令第百二十九条の十三の三
- 国土交通省 昇降機について
- 国土交通省・経済産業省 建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン
- 消防庁 大規模倉庫における消防活動支援対策ガイドラインの概要
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和五年三月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。非常用エレベーターの乗降ロビーが浸水している場合は、濡れた区域を立入禁止にして使用を止め、漏水源、敷居、昇降路側、電気設備、消防活動経路を確認してください。個別の停止範囲、点検、代替措置、復旧、事業継続の判断は、被害状況に応じて所轄消防署、建築士、エレベーター保守会社、設備業者へご確認ください。





