パッケージ型自動消火設備は、火災を自動で感知し、消火薬剤を自動的に放射する設備です。
試験結果報告書には、消火薬剤の量や非常電源の仕様まで、具体的な数値を書き込む欄が並んでいます。
これらの数値は担当者が自由に決められるものではなく、告示が防護面積や消火薬剤の種類ごとに下限を定めています。
今回はパッケージ型自動消火設備の消火薬剤の貯蔵量が防護面積でどう変わるのか、非常電源にはどんな性能が求められるのかを解説します。
パッケージ型自動消火設備の報告書にも、細かい数値が入るんですか。
はい、消火薬剤の量や非常電源の仕様まで書き込みます。
防護面積が変わると、必要な薬剤の量も変わるんですね。
はい、告示の表で面積ごとに下限が決まっています。
- パッケージ型自動消火設備は防護面積が広いほど消火薬剤の貯蔵量も増える
- 第三種浸潤剤等入り水は防護面積21平方メートルで152リットル以上必要になる
- 同じ防護面積13平方メートルでも第一種浸潤剤等入り水なら234リットル必要になる
- 非常電源は60分間の監視継続後に10分間以上警報を鳴らし続けられる容量が必要
- これらの数値は試験結果報告書に記入され、消防検査で設計図書と照合される
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目次
消火薬剤の貯蔵量は防護面積が変わるとどう変わるのか

表の縦軸には薬剤の種類、横軸には防護面積が並んでいます。
第三種浸潤剤等入り水の場合、防護面積13平方メートルなら94リットル、21平方メートルなら152リットル、34平方メートルなら245リットル、55平方メートルなら396リットルと、面積の区分ごとに数値が決まっています。
報告書に書かれた防護面積と貯蔵量を照らし合わせれば、その数値が表のどの区分に対応しているかを確認できます。
面積が2倍近くになっても貯蔵量は単純な比例ではなく、区分ごとに個別の数値が定められている点も見落とせません。
面積が広がると、貯蔵量もそのまま比例して増えるんですか。
いいえ、区分ごとの表の数値で決まります。
同じ防護面積でも消火薬剤の種類で必要量が違うのはなぜか

同じ防護面積でも、選ぶ薬剤によって必要な量はまったく違う数字になります。
防護面積13平方メートルで比べると、強化液・第一種機械泡・第一種浸潤剤等入り水は234リットル、第二種機械泡・第二種浸潤剤等入り水は141リットル、第三種浸潤剤等入り水は94リットルと、同じ面積でも必要量が大きく違います。
必要量が少ない種類ほど消火に必要な放射性能が高いということで、貯蔵タンクを小さくできる分、設置スペースにも余裕が生まれます。
報告書の消火薬剤欄を見るときは、量の多さだけでなく、その薬剤がどのグループに属するかもあわせて確認する必要があります。
同じ面積なのに、薬剤によって量がこんなに違うんですね。
はい、放射性能の違いがそのまま数量の差になります。
Ⅰ型とⅡ型では貯蔵量の考え方がなぜこんなに違うのか

表の数値を比べるときは、まずこの前提の違いを押さえておく必要があります。
この前提の違いは貯蔵量の数値にもそのまま表れていて、同じ防護面積13平方メートルでも、第三種浸潤剤等入り水はⅠ型で94リットル、Ⅱ型はわずか16リットルです。
Ⅰ型の放射時間が1分以上であるのに対し、Ⅱ型は短時間で放射しきる設計になっているため、同じ面積でも必要な量が大きく変わります。
報告書に書かれた消火薬剤の量だけを見ると心配になる数字でも、Ⅰ型とⅡ型のどちらとして設計されているかが分かれば、その量が妥当かどうか判断できます。
Ⅱ型は量が少なくて、なんだか不安になります。
いいえ、建物の規模に応じた設計なので問題ありません。
非常電源にはどんな性能が求められるのか

そのため非常電源にも具体的な性能の基準が定められています。
主電源が停止したときは自動的に非常電源へ切り替わり、主電源が復旧したときは自動的に主電源へ戻る装置も設けなければなりません。
これは規則第12条第1項第4号ハに規定する蓄電池設備に適合する非常電源設備が別途設けられている場合を除いて、原則すべてのパッケージ型自動消火設備に求められる基準です。
停電が起きた瞬間ではなく、そこから監視・作動・警報という一連の流れを最後までやりきれるかどうかが、非常電源の性能を判断する基準になります。
非常電源は、停電した瞬間だけ持てばよいわけではないんですね。
はい、監視から警報までを通しで支える容量が必要です。
これらの数値は試験結果報告書にどう記録されるのか

試験結果報告書に記入されたあと、消防検査の場面で改めて活用されます。
報告書には、ここまで見てきた消火薬剤の種類・貯蔵量・非常電源の仕様まで実測値として書き込む欄があり、設置届出書に添付して提出します。
検査は、防火対象物の関係者から提出された設置届出書(添付された設計図書、試験結果報告書を含む。)と照合しながら行われます(消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」〈平成14年消防予第283号〉記3(1)ア)。
基準を満たしているかどうかだけでなく、実際に設置された数値まで報告書に残しておくことが、検査をスムーズに進める材料になります。
報告書に書いた数値が、検査のときにも見られているんですね。
はい、設計図書との照合材料になっています。
よくある質問
まとめ
貯蔵量と非常電源の見方がよく分かりました。
試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
- 消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号、最終改正 令和2年4月1日消防庁告示第2号)別記様式第31
- パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成十六年五月三十一日消防庁告示第十三号)第三・第十八・第十九
- パッケージ型自動消火設備の非常電源(同告示第十三)
- 消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」(平成14年9月30日消防予第283号)記3(1)ア
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





