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製造所や一般取扱所の電気機器はなぜ屋内でも使えるようになったのか|換気設備の確認策と携帯検知器の要件を解説

製造所や一般取扱所の電気機器は屋外限定から屋内も使えるようになった

製造所や一般取扱所では、可燃性の蒸気やガスがもれたり滞留したりするおそれのある場所で、火花を発する電気機器を使うことが長く禁止されてきました。
この場所ではスマートフォンやタブレットのような防爆構造でない機器も原則持ち込めず、現場の点検や記録作業で不便を感じる場面が少なくありませんでした。
消防庁は令和8年3月、危険物施設のスマート保安に関する検討会の結果を踏まえ、この運用を一部改める通知を出しました。
屋外に限られていた条件が見直され、屋内でも一定の対策を満たせば電気機器を使えるようになりました。

危険物を扱う工場の担当者から、屋内でスマートフォンを使いたいという相談を受けました。
これまでは断ってきたのですが。

令和8年3月26日付けの消防危第59号で、その運用が変わっています。
屋外に限っていた条件が、屋内にも広がりました。

屋内なら無条件で使えるようになったということでしょうか。
換気の悪い部屋でも大丈夫なのか心配です。

いいえ、換気設備の確認など新しい条件が加わっています。
今日はその中身を具体的に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 令和8年3月26日付けの消防危第59号で、電気機器を使える場所の条件から「屋外の場所であること」が外れました
  • 対象は製造所又は一般取扱所で防爆構造でない電気機器を使う場面です
  • 屋内で使うには可燃性蒸気等の濃度が25%LEL未満の非危険場所であることが前提です
  • 換気設備の確認は予防規程等に対策を定めることが条件になります
  • 警報を確認したら電源を遮断して退避場所へ移動する手順は屋外のときと変わりません

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電気機器を使える場所が屋外限定から屋内も可能になったことを比較した図解

製造所や一般取扱所の電気機器はなぜ屋外限定から見直されたのか

屋外に置かれた電気機器と屋内の管理室を対比したイメージ
可燃性の蒸気やガスが漏れたり滞留したりする場所では、火花を出す機器の使用が政令で禁じられています。
この場所を「非危険場所」として扱える条件が、これまで屋外に限られていました。
「製造所又は一般取扱所において電気機械器具等を使用する場合の運用について」の一部改正について(消防危第59号・令和8年3月26日・消防庁危険物保安室長) 今般、「危険物施設におけるスマート保安等に係る調査検討会」における検討結果を踏まえ、140号通知の一部を別紙のとおり改正することとしましたので通知します。
屋外の場所であるという条件が、今回の改正で無くなりました。
もとになる消防危第140号(令和7年6月30日)は、非危険場所と扱える条件の一つに屋外の場所であることを掲げていました。
背景には、危険物施設でスマートフォンやタブレットなどの機器を活用する「スマート保安」を広げたいという狙いがあります。
令和6年度・令和7年度と続けられた調査検討会が、屋内でも安全に運用できる条件を整理した結果が今回の改正です。
屋外でしか許されなかった運用が、屋内の管理室や倉庫の中でも選べるようになりました。

「屋外じゃないと駄目」と説明を受けていました。
その説明はもう古いということですね。

はい、令和8年3月26日の改正から変わっています。
次は屋内で使うための条件を見ていきましょう。

屋内のどんな非危険場所なら電気機器を使えるのか

検知器と換気設備と非危険場所の範囲を示すイメージ
屋内でも認められる条件は、屋外のときと基本的に同じです。
異なるのは、場所そのものに屋外という縛りが無くなった点だけです。
可燃性蒸気等の濃度が25%LEL(LEL:爆発下限界濃度)未満であると認められる場所(以下「非危険場所」という。)であること。なお、非危険場所の評価に際して、測定箇所及び評価箇所が「令和6年度危険物施設におけるスマート保安等に係る調査検討会報告書」3⑶ア及び資料2、又は「令和7年度危険物施設におけるスマート保安等に係る調査検討会報告書」2⑶及び資料1に基づき適切に設定されていること。
非危険場所かどうかは、蒸気の濃度が25%LEL未満であることで判断します。
LELとは爆発下限界濃度のことで、これを下回れば爆発の心配が無い濃度とされています。
評価する場所は、検討会報告書が示す測定・評価の方法に沿って決める必要があります。
屋外という条件が消えた代わりに、この濃度基準が唯一のよりどころになりました。
自己判断で「換気が良さそうだから大丈夫」と決めつけないことが大切です。

濃度さえ低ければどこでも良いということでしょうか。
測り方も決まっているのですか。

検討会報告書が示す方法で測定・評価する必要があります。
次は屋内で追加された条件を確認しましょう。

換気設備の確認にはどんな対策が求められるのか

換気設備を目視点検する様子と監視盤のイメージ
屋内で使うときだけ、屋外には無かった新しい条件が加わりました。
換気設備が正常に働いていることを確認する対策です。
屋内の非危険場所において電気機械器具等(防爆構造を有するものを除く。)を使用するときは、換気設備等により適切に換気ができていることを確認するための対策を行うこと。具体的には、例えば、以下の対策を行うことが考えられること。(対策例)危険物を取り扱う作業前及び当該電気機械器具等を使用する前に目視等によって適切に換気ができていることを確認する対策 監視室等において、制御盤等による監視により換気設備の異常の有無を覚知し、異常がある場合は作業員へ直ちに伝達できるようにする対策 換気設備に異常が発生した場合に、自動的に異常を知らせる装置等を設ける対策
換気の確認方法は、目視・監視・自動警報の3つが対策例として示されています。
1つ目は作業前の目視確認で、危険物を扱う前と電気機器を使う前の両方で確認します。
2つ目は監視室で換気設備の異常を監視し、異常があれば作業員へ直ちに伝える方法です。
3つ目は換気設備自体に異常を自動で知らせる装置を付ける方法で、人の確認だけに頼らずに済みます。
どれか1つを予防規程等に定めれば足り、3つ全部をそろえる必要はありません。

3つとも用意しないといけないと思っていました。
どれか1つで良いのは助かります。

はい、実情に合わせて選べる設計になっています。
次は変わらない部分、落とし穴を確認しましょう。

検知器や退避手順まで緩んだわけではないのはなぜか

携帯検知器と退避経路の案内表示を並べたイメージ
屋外の条件が外れても、他の要件まで緩んだわけではありません。
携帯する検知器の性能と、警報が鳴ったときの退避手順は従来どおりです。
非危険場所において電気機械器具等(防爆構造を有するもの及び携帯できないものを除く。)を使用するときは、当該電気機械器具等の使用者は、次の要件を満たす可燃性蒸気等の検知器を携帯し、当該検知器を常時稼働させることで安全を確認すること。評価箇所において滞留することが想定される可燃性蒸気等の検知が可能なものであること。評価箇所の環境において使用が可能なものであること。指示精度は±10%LEL以内であって、測定値を1%LEL以下の数値で表示できるものであること。警報設定値が25%LEL以下であること。防爆構造を有するものであること。落下防止措置を講じたものであること。
検知器に求められる要件は、屋外でも屋内でも変わりません。
指示精度はプラスマイナス10%LEL以内で、測定値を1%LEL以下の数値で表示できることが求められます。
警報設定値は25%LEL以下で鳴るように設定し、検知器自体も防爆構造と落下防止措置を備える必要があります。
警報を確認したときや漏えい事故を発見したときは、直ちに電源を遮断し、あらかじめ決めた退避場所へ移動する手順も引き続き必要です。
「屋内だから大丈夫」という思い込みだけで、検知器の携帯や退避手順を省略しないことが重要です。

屋内で使えるようになったからと、検知器を省略している作業員がいます。
これは問題ですよね。

はい、検知器の携帯は屋内でも必須のままです。
最後に、明日からの確認手順をまとめます。

明日から製造所や一般取扱所で何を確認すればよいのか

チェックリストと予防規程の書類を並べたイメージ
ここまでの内容を、現場で確認する手順として整理します。
予防規程等への反映を含めて確認していきましょう。
危険物の規制に関する政令第九条第一項第十七号 電気設備は、電気工作物に係る法令の規定によること。
固定式の機器は今回の改正の対象外で、従来どおりの基準が適用されます。
持ち運びできる可搬型の機器だけが、今回の屋内緩和の対象になります。
現場ではまず非危険場所の範囲を検討会報告書の方法で評価し、換気設備の確認策を予防規程等に定めます。
そのうえで検知器の性能要件を満たしているかを確認し、退避場所と退避経路をあらかじめ決めておきます。
Wi-Fiルーターなど固定式の機器を新たに設置する場合は、通電遮断の措置等を個別に検討したうえで防爆構造を省く必要があります。

順番に確認してみます。
予防規程の見直しも進めます。

早めの届出と相談が安心につながります。
次によくある質問をまとめます。

よくある質問

Q消防危第59号はいつから適用されますか?
A令和8年3月26日付けで通知されており、通知日から適用されています。改正前の運用をすでに行っている施設も、新しい条件に沿って予防規程等を見直す必要があります。
Q屋内であればどんな部屋でも対象になりますか?
Aいいえ。可燃性蒸気等の濃度が25%LEL未満の非危険場所であることが前提です。高い開放性を有する場所は取扱いが別に定められているため、該当するかどうかも含めて評価が必要です。
Q換気設備の確認は誰が行えばよいですか?
A通知は目視確認・監視室での監視・自動警報装置の3つを対策例として示しており、予防規程等で担当者と方法を定めたうえで実施します。全部をそろえる必要はなく、実情に合わせて選べます。
Q検知器を携帯していれば換気の確認は不要ですか?
Aいいえ。検知器の携帯は屋外のときと同じ要件で引き続き必要です。換気設備の確認策は屋内で使うときに追加で必要になる条件で、どちらか一方では足りません。

まとめ

✔令和8年3月26日付けの消防危第59号で、電気機器を使える場所の条件から「屋外の場所であること」が外れました
✔対象は製造所又は一般取扱所で防爆構造でない電気機器を使う場面です
✔屋内で使うには可燃性蒸気等の濃度が25%LEL未満の非危険場所であることが前提です
✔換気設備の確認は目視・監視室での監視・自動警報のいずれか1つを予防規程等に定めます
✔携帯する検知器の6つの性能要件(検知範囲・環境・精度・警報値・防爆構造・落下防止)は屋外のときと変わりません
✔警報を確認したら電源を遮断して退避場所へ移動する手順も従来どおり必要です
✔固定式の機器は対象外で、可搬型の機器だけが今回の屋内緩和の対象になります

屋内でも使えるようになったと聞いて安心しました。
予防規程の見直し、さっそく進めます!

換気設備の確認と検知器の携帯を忘れずに進めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防危第59号「『製造所又は一般取扱所において電気機械器具等を使用する場合の運用について』の一部改正について」(令和8年3月26日・消防庁危険物保安室長)
  • 危険物の規制に関する政令第24条第13号
  • 危険物の規制に関する政令第9条第1項第17号

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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