建築基準法第8条第2項の維持保全計画は、建物の用途ごとに国土交通大臣の指針が中身を上乗せする仕組みになっています。
倉庫にはこの上乗せ規定があり、防火シャッターとコンベヤーの点検基準まで条文に書き込まれています。
では、倉庫と同じ号に並ぶ自動車車庫にも、同じような上乗せ規定が用意されているのでしょうか。
本記事では自動車車庫の維持保全計画に何を定めればよいのかを、条文に沿って解説します。
うちは自動車車庫を管理しているんですが、倉庫と同じような点検基準があるんでしょうか。
実は、倉庫のような個別の上乗せ規定は車庫には用意されていません。
それなら、車庫は計画を作らなくてもいいということですか。
いいえ、一般の十項目に沿って車庫独自に定める必要があります。
順番に見ていきましょう。
- 自動車車庫等は建築基準法施行令第13条の3第1項第二号に該当する特殊建築物です
- 床面積の合計が三千平方メートルを超える自動車車庫等が計画作成義務の対象になります
- 倉庫にある防火シャッターとコンベヤーの上乗せ規定は車庫には適用されません
- 車庫は告示が定める一般の十項目に沿って点検基準を自ら定める必要があります
- 倉庫の四つの判断基準をそのまま車庫の計画に流用することはできません
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目次
自動車車庫にも維持保全計画は義務になるのか

自動車車庫もこの義務の対象に含まれています。
自動車車庫は、あとで見る施行令の号のとおり政令で定める特殊建築物のひとつです。
倉庫と自動車車庫は、同じ施行令第13条の3第1項第二号に一緒に規定されています。
つまり、義務の入口そのものは倉庫とまったく同じ条文から始まります。
違うのは、この先の告示が定める中身のほうです。
倉庫と同じ号に車庫も入っているとは知りませんでした。
はい、義務の入口は共通です。
次に対象範囲を見ていきましょう。
どんな自動車車庫がこの計画の対象になるのか

まず自分の車庫がこの号に入るかどうかを確かめます。
別表第一(い)欄(六)項は自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するものを指します。
面積は建物全体ではなく、車庫の用途に供する部分の合計で数える点も倉庫と同じです。
立体駐車場や複数棟に分かれた車庫でも、車庫として使っている部分を合算して判定します。
三千平方メートルに満たない車庫は、この計画作成義務そのものの対象外です。
倉庫と同じ号だから、面積の数え方も同じなんですね。
そのとおりです。
車庫として使っている部分の合計で三千平方メートルを判定してください。
倉庫のような上乗せ規定が無い車庫は計画に何を定めるのか

車庫はこの一般枠組みだけを頼りに計画を組み立てます。
五号の点検は、点検箇所・時期・判断基準・結果の報告まで自分で具体的に決める必要があります。
八号の資金計画は、点検や修繕にかかる費用の確保や保険をどうするかを定める項目です。
九号の計画の変更は、増改築や用途変更があったときの手続きをあらかじめ決めておく項目です。
倉庫のように条文が判断基準の中身まで書いてくれない分、車庫側が自分で内容を具体化する必要があります。
資金計画や計画の変更まで、項目として決めておく必要があるんですね。
はい、十項目すべてに具体的な事項を書き込むのが計画の基本です。
倉庫の基準をそのまま流用してよいのか

倉庫向けの判断基準を、そのまま車庫にも使えると思い込むことです。
条文の冒頭に「倉庫の用途に供するもの」と明記されており、車庫には適用されません。
同じ第13条の3第1項第二号に並ぶ用途だからといって、条文の対象は自動的には広がりません。
車庫にコンベヤーや同種のシャッターがあっても、この四つの基準をそのまま転記するのは誤りです。
車庫は先に見た一般の十項目に立ち返り、車庫自身の設備に合わせて基準を定める必要があります。
倉庫用のひな形をそのまま使い回せると思っていました。
そこが一番の見落としやすいポイントです。
用途の限定を必ず確認してください。
明日から何を確認すればよいのか

五つの確認事項に整理しました。
まずは車庫の床面積を測り直し、三千平方メートルの要件に当たるかを確認します。
当たる場合は、点検を担当する組織や責任者を計画に明記します。
点検箇所と判断基準は、倉庫の基準を流用せず車庫の設備に合わせて自分で定めます。
最後に、資金計画と計画の変更手続きまで書面に残しているかを見直してください。
- 車庫の床面積が三千平方メートルを超えるかを確認する
- 維持保全を行うための組織・責任者を計画に定める
- 点検箇所・時期・判断基準を、倉庫の基準を流用せず車庫の設備に合わせて自分で決める
- 点検・修繕にかかる資金計画を項目として書き込む
- 増改築や用途変更があった場合の計画の変更手続きをあらかじめ定めておく
五つに整理してもらえると、何から手を付ければいいか分かります。
まずは床面積の確認と点検組織を決めることから始めてください。
そこが計画全体の起点になります。
よくある質問
まとめ
倉庫との違いから十項目の当てはめ方まで、やるべきことが整理できました。
さっそく計画書を見直してみます。
自動車車庫の維持保全計画の作成でお困りの際は、いつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第8条(維持保全)
- 建築基準法施行令第13条の3(維持保全計画の対象となる特殊建築物等の指定)
- 建築基準法別表第一(い)欄(六)項
- 昭和60年建設省告示第606号(建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針)
※この記事は建築基準法・建築基準法施行令・昭和60年建設省告示第606号(令和元年国土交通省告示第199号による改正後のもの)に基づき作成しています。個別の建物への当てはめや、特定行政庁の規則による付加事項の有無は、所在地の特定行政庁にご確認ください。





