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既設の地下タンクはなぜ在庫管理だけで漏れの点検基準を満たせるのか|漏えい検査管との組み合わせと市町村長への届出義務を解説

既設の地下タンクの漏れ点検と在庫管理を示すガソリンスタンドの写真

消防庁が「地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について」を通知したのは、平成16年3月18日、消防危第33号によってです。
地下貯蔵タンクや地下埋設配管の漏れの点検には、告示で定める方法と周期があります。
ただし規則の施行日より前からある地下タンクには、別の確認方法を選べる経過的な扱いが用意されました。
在庫管理を使う場合は、市町村長等への計画の届出まで済ませて初めて認められます。

うちのガソリンスタンドは古い地下タンクなんですが、最近の点検基準についていけるか心配です。

実は施行日より前からある地下タンクには、在庫管理と組み合わせるという選択肢が用意されています。
順番に見ていきましょう。

在庫管理って、うちで毎日つけている帳簿と同じようなものですか。

近い面はありますが、100分の1以上の精度で行い、計画にまとめて届け出る必要があります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 平成16年の規則改正で、地下貯蔵タンク等及び地下埋設配管の漏れの点検に方法と周期が定められました
  • 対象は規則の施行日(平成16年4月1日)より前から許可を受けていた既設の製造所等に限られます
  • 代替措置の1つは、漏えい検査管に加えて100分の1以上の精度の在庫管理で週1回以上漏れを確認する方法です
  • 在庫管理を使う場合は、従事者の職務・教育・方法・措置をまとめた計画を市町村長等に届け出る義務があります
  • 届出を怠ったり検査管を省いたりすると、代替措置として認められません

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既設の地下タンクが漏えい検査管と在庫管理を組み合わせて漏れを確認し市町村長等へ計画を届け出るという流れを示す図解

地下タンクの漏れの点検はなぜ既設限定の代替措置が用意されたのか

古い地下タンクの完成検査済証と新しい漏えい検査管を示したイメージ
地下貯蔵タンクや地下埋設配管には、危険物が漏れていないかを定期的に確認する制度があります。
ただし基準を作った時点ですでに使われていたタンクに、いきなり新しい機器を求めるのは酷でした。
「地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について」(平成16年3月18日付け消防危第33号) 危険物の漏れを次のいずれかにより1週間に1回以上確認していること。 ○漏えい検査管(区画内設置) ○在庫管理(貯蔵・取扱い数量の100分の1以上の精度)
点検の方法と周期は告示で細かく決められています。
地下貯蔵タンクや地下埋設配管にはガス加圧法・液体加圧法などの方法による点検が義務づけられました。
ただし規則の施行日(平成16年4月1日)より前からある「既設の製造所等」には、附則によるみなし規定が用意されています。
漏えい検査管や在庫管理を使えば、告示が求める点検方法そのものを別の形に置き換えられます。
次の項目で、この特例がどのタンクに使えるのかを確認します。

新しい点検方法に全部合わせないといけないのかと思っていました。

いいえ、既設のタンクには別の確認方法が用意されています。
対象になる範囲を見てみましょう。

この代替措置はどの地下タンクに使えるのか

平成16年の施行日と地下タンクの設置許可証を示したイメージ
この代替措置は、どんな地下タンクにも使えるわけではありません。
規則の施行日を基準にした線引きがあります。
危険物の規制に関する規則附則(平成15年12月17日総務省令第143号)第3項 この省令の施行の際現に消防法第11条第1項前段の規定による設置に係る許可を受け、又は当該許可の申請がされていた製造所、貯蔵所又は取扱所(以下「既設の製造所等」という。)に係る、次の各号に掲げる措置は、新規則第62条の5の2第2項第1号及び第62条の5の3第2項の規定の適用については、これらの規定中「危険物の漏れを覚知しその漏えい拡散を防止するための告示で定める措置」とみなす。
対象は施行日より前からあった地下タンクだけです。
規則の施行日である平成16年4月1日の時点で、すでに設置許可を受けていたか許可を申請していた製造所等が「既設の製造所等」です。
この日より後に新設したタンクや、構造を変えて許可を取り直したタンクは対象に含まれません。
つまりこの特例は、規則改正のタイミングにたまたま既存だったタンクを救済するための経過的な扱いです。
次は、既設のタンクが実際にどんな措置を選べるのかを見ていきます。

うちのタンクはいつ許可を受けたか正直あいまいです。

完成検査済証や設置許可の書類で日付を確認できます。
次は具体的な選択肢を見てみましょう。

既設のタンクは在庫管理でどう漏れを確認するのか

漏えい検査管と在庫管理の帳簿を示したイメージ
既設のタンクに用意された選択肢は2つです。
どちらも漏えい検査管を土台にしていますが、組み合わせる措置が違います。
危険物の規制に関する規則附則(平成15年12月17日総務省令第143号)第3項 一 既設の製造所等に設けられた漏えい検査管により1週間に1回以上危険物の漏れを確認しているとともに、地下貯蔵タンク及び地下埋設配管に電気防食の措置が講じられており、又は地下貯蔵タンク及び地下埋設配管が設置される条件の下で腐食するおそれのないものであること。 二 既設の製造所等に設けられた漏えい検査管を用いるとともに、危険物の貯蔵又は取扱い数量の100分の1以上の精度で在庫管理を行うことにより、1週間に1回以上危険物の漏れを確認していること。この場合において、当該既設の製造所等の所有者、管理者又は占有者は、危険物の在庫管理に従事する者の職務及び組織に関すること、当該者に対する教育に関すること並びに在庫管理の方法及び危険物の漏れが確認された場合に取るべき措置に関することその他必要な事項について計画を定め、市町村長等に届け出なければならない。
在庫管理だけでは足りず、漏えい検査管との組み合わせが条件です。
一号は漏えい検査管と電気防食(または腐食しない条件)という組み合わせです。
二号は漏えい検査管と在庫管理で、貯蔵・取扱い数量の100分の1以上の精度を保ちながら週1回以上確認します。
在庫管理を選ぶ場合だけ、従事者の職務・教育・方法・漏れ確認時の措置を計画にまとめて市町村長等に届け出る義務が加わります。
どちらの号を選んでも、点検の周期を延ばすための「告示で定める措置」とみなされます。

在庫管理だけで漏れを見つけられれば、検査管はいらないんじゃないですか。

いいえ、在庫管理だけでは対象外です。
次は実務で見落としやすい点を確認しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

未提出の届出書類と増改築工事の様子を示したイメージ
既設のタンクだからといって、何もしなくてよいわけではありません。
届出を忘れたり、対象から外れたことに気づかなかったりする落とし穴があります。
「地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について」(平成16年3月18日付け消防危第33号) 製造所等においては、当該計画に基づき継続的に取組みを実施する必要があること。この場合において、必要に応じ関連の自主規程を整備する等して実効性を担保することが重要であるとともに、予防規程の適用のある製造所等については、関連規程類に当該計画の内容を反映することが必要であること。消防機関においては、立入検査等の機会を捉え、製造所等における取組状況を適宜把握されたいこと。
計画は届け出て終わりではありません。
在庫管理は継続的に実施して初めて意味を持ち、届け出た計画どおりに運用できているかが問われます。
予防規程がある製造所等は、届け出た在庫管理の内容を予防規程にも反映させておく必要があります。
消防機関は立入検査の機会に取組状況を確認するため、記録を残さない運用は指摘を受けかねません。
また増改築で設置許可を取り直すと「既設の製造所等」から外れ、この代替措置ごと使えなくなる点にも注意が必要です。

届け出た計画をそのまま棚にしまっておいたら駄目なんですね。

はい、予防規程との整合も忘れないでください。
最後に明日からの手順を確認しましょう。

明日からなにを確認すればよいのか

完成検査済証を確認しチェックリストに記入する様子を示したイメージ
自分の施設がこの代替措置を使えるかどうかは、書類を確認すればわかります。
在庫管理を選ぶ場合は、届出の有無まで一緒に点検しましょう。
  • 地下タンクの完成検査済証で、許可日が平成16年4月1日より前かを確認する
  • 漏えい検査管が設置されているか、点検記録が残っているかを確認する
  • 在庫管理を使うなら、100分の1以上の精度で週1回以上記録しているかを確認する
  • 在庫管理の計画を市町村長等に届け出ているかを確認し、無ければ作成して届け出る
  • 予防規程がある場合は、計画の内容を予防規程に反映させる
まず確認すべきは許可を受けた日付です。
既設の製造所等に当たるかどうかで、使える代替措置がまったく変わります。
在庫管理を選ぶなら、精度と頻度を守るだけでなく届出の有無まで点検してください。
迷ったときは所轄消防署に確認するのが確実です。

まずは許可の日付を確認してみます。

在庫管理の記録も一緒に整理しておきましょう。
次によくある質問をまとめます。

よくある質問

Q在庫管理だけで地下タンクの漏れの点検義務を満たせるのか?
Aいいえ、漏えい検査管と組み合わせて初めて認められます。在庫管理は100分の1以上の精度で週1回以上行い、単独では代替措置になりません。
Qこの代替措置はすべての地下タンクで使えるのか?
Aいいえ、規則の施行日である平成16年4月1日より前から許可を受けていた既設の製造所等に限られます。
Q在庫管理を使うときに必ず必要な手続きは何か?
A従事者の職務・教育・方法・漏れ確認時の措置をまとめた計画を市町村長等に届け出ることです。
Q届け出た在庫管理の計画はそのままにしておいてよいか?
Aいいえ、継続的に実施し予防規程にも反映させる必要があり、消防機関の立入検査でも確認されます。

まとめ

✔平成16年の規則改正で、地下貯蔵タンク等及び地下埋設配管の漏れの点検に方法と周期が定められました
✔対象は規則の施行日(平成16年4月1日)より前から許可を受けていた既設の製造所等に限られます
✔代替措置の一号は漏えい検査管と電気防食(または腐食しない条件)の組み合わせです
✔二号は漏えい検査管と在庫管理(100分の1以上の精度・週1回以上確認)です
✔在庫管理を使う場合は、計画をまとめて市町村長等に届け出る義務があります
✔届け出た計画は継続的に実施し、予防規程がある場合は規程にも反映させる必要があります
✔増改築で許可を取り直すと既設の製造所等から外れ、代替措置が使えなくなる点にも注意が必要です

在庫管理を使うときの条件と届出、よく分かりました。

許可日の確認から届出の準備まで、一緒に整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について(平成16年3月18日付け消防危第33号 消防庁危険物保安室長)
  • 危険物の規制に関する規則附則(平成15年12月17日総務省令第143号)第3項
  • 危険物の規制に関する規則第62条の5の2、第62条の5の3

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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