パッケージ型自動消火設備を新たに設置する工事では、着工届に添付する概要表(別記様式11)に放出導管の主管・分岐管・最大長さを記入する欄があります。
この長さは何メートルでもよいわけではなく、告示ではⅡ型の放出導管に限り10メートル以下とすることが定められています。
一方でⅠ型は延べ面積の大きな建物にも設置できる設備として位置付けられており、90メートルという長い配管を使う概要表の記載例も実在します。
今回は放出導管の長さがなぜⅠ型とⅡ型で扱いが違うのか、概要表の記載例もあわせて解説します。
放出導管の長さにも、決まりがあるんですか。
はい、型によって上限が違うんです。
うちの建物は何階もあるんですが、大丈夫でしょうか。
はい、Ⅰ型なら対応できます。
- パッケージ型自動消火設備の概要表(別記様式11)には、放出導管の主管・分岐管・最大長さを記入する欄がある
- 告示では、消火薬剤貯蔵容器から放出口までの放出導管についてⅡ型に限り10メートル以下と定められている
- Ⅰ型は延べ面積の大きな建物にも設置できる設備で、90メートルという長い配管の記載例も実在する
- 一の防護区域に複数の放出口があるときは、全ての放出口からすみやかに消火薬剤を放射する構造にしなければならない
- 工事完了後の届出には試験結果報告書を添え、消防検査で現地の配管・放出口と照合される
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目次
パッケージ型自動消火設備の概要表に書く放出導管とは何か

概要表(別記様式11)には、主管・分岐管の材質や最大長さを記入する「放出導管」という欄が設けられています。
概要表には、この放出導管の主管の材質・呼び方、分岐管の材質、そして主管の最大許容長さを記入する欄が用意されています。
実際の記載例では、主管の材質にJIS規格の鋼管、分岐管に別の金属材質が記入され、最大長さの欄にも具体的な数値が書き込まれていました。
次の項目からは、この長さの欄がなぜ型によって扱いが変わるのかを見ていきます。
配管の長さまで概要表に書くとは知りませんでした。
はい、配管の設計そのものが分かる欄です。
なぜⅡ型の放出導管だけ10メートル以下に制限されるのか

対象になっているのは、Ⅱ型のパッケージ型自動消火設備だけです。
Ⅱ型は延べ面積275平方メートル未満の小規模な建物に設置する設備で、消火薬剤貯蔵容器と放出口が近い位置に収まることを前提にした基準です。
一方でⅠ型については、告示の同じ条文にも長さの上限が書かれていません。
この違いこそが、次に見るⅠ型の記載例が示す長い放出導管につながっています。
Ⅱ型だけに上限があるのは、小規模な建物向けだからなんですね。
はい、建物の規模と対応しているんです。
Ⅰ型はなぜ90メートルもの配管を使う建物に設置できるのか

Ⅱ型の上限をはるかに超えるこの長さは、Ⅰ型が対象とする建物の規模と関係しています。
病院のように複数のフロアに分かれた建物では、消火薬剤貯蔵容器を1か所にまとめ、そこから各階・各室へ放出導管を伸ばして消火薬剤貯蔵容器等を同時放射区域どうしで共用することが認められています。
実際の概要表の記載例でも、延べ面積2,850平方メートルの3階建ての病院で、主管の最大長さが90メートルという記入がされていました。
Ⅱ型のような近距離配置を前提にしていないからこそ、Ⅰ型には長さの上限そのものが設けられていないのです。
1つの設備で複数の階をまとめて守れるんですね。
はい、Ⅰ型ならではの設計です。
放出口の数が同時放射区域の数より多いのはなぜか

これは記入ミスではなく、1つの区域を複数の放出口で守る作りになっているためです。
概要表の記載例でも、ある階では21区域に対して放出口の合計が80個と、区域数より放出口の数のほうが多く記入されていました。
1つの居室でも天井の形や梁の位置によっては放出口を複数に分けて設ける必要があり、その場合でも作動は1区域として一体に扱われます。
概要表を見るときは、区域数と放出口数が一致していなくても、それ自体は誤りではないと知っておく必要があります。
数が合わないのを見て、記入ミスかと思ってしまいそうです。
はい、1区域に複数の放出口は普通にあります。
着工届の概要表を出したあと消防検査までに何を確認すればよいか

工事が完了したあとには、別の届出と検査が控えています。
消防用設備等の場合、添える書類には配管及び配線の系統図と消防用設備等試験結果報告書が含まれます。
届出を受けた消防長又は消防署長は、遅滞なく設備が技術上の基準に適合しているかどうかを検査することとされています。
概要表に記入した放出導管の最大長さや放出口の数は、この系統図や試験結果報告書、そして現地の配管そのものと突き合わせて確認される項目です。
着工届を出したあとも、確認することが続くんですね。
はい、系統図との照合まで見据えておくと安心です。
よくある質問
まとめ
Ⅰ型とⅡ型で配管の扱いが違う理由がよく分かりました。
概要表の作成・確認までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成16年総務省令第92号)第2条第2項
- パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年消防庁告示第13号)第二第七号・第三第一号・第四第十四号・第八第六号
- 消防法施行規則第31条の3第1項・第2項(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
- 消防用設備等の着工届に係る運用について(平成5年10月26日消防予第285号・消防危第81号)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





