危険物を取り扱う施設で働く危険物取扱者には、法令で保安講習の受講が義務づけられています。
これまでは会場に集まって受ける集合形式が基本でしたが、新型コロナウイルス感染症対策や規制改革の流れを受け、オンラインによる保安講習が本格的に運用されるようになりました。
令和3年6月23日、消防庁危険物保安室長がその具体的な扱いを通知でまとめています。
この記事では、オンライン講習の仕組みと、見落とすと免状の書換えで困る受講証明書の扱いを解説します。
危険物取扱者の保安講習が、オンラインでも受けられるようになったと聞きました。
うちの従業員にも案内していいんでしょうか。
はい、令和3年6月23日の通知でオンライン講習の取扱いが整理されました。
ただし修了の証明の受け取り方が対面の講習とは違います。
証明の受け取り方が違うんですね。
免状の書換えのときに困らないか心配です。
それでは、背景・受講と修了・証明の扱い・落とし穴・手順の順に見ていきましょう。
- 令和3年6月23日の消防危第148号は、消防法第13条の23が定める保安講習にオンライン受講の扱いを整理した通知です。
- オンライン講習を修了した場合、免状裏面への証印の代わりに受講証明書が発行されます。
- 免状の書換え時にも受講証明書の提示が必要で、免状だけでは受講履歴を証明できません。
- 受講証明書のデータを紛失した場合は、講習実施機関に再発行を申請できます。
- オンライン講習が難しい人もいるため、すべての保安講習をオンラインへ一本化することは想定されていません。
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目次
なぜ保安講習にオンラインという選択肢ができたのか

この講習は、長らく会場に集まって受ける集合形式が基本でした。
背景には新型コロナウイルス感染症対策の必要性に加え、経済団体等からの要望や、規制改革実施計画(令和3年6月18日閣議決定)でオンライン講習の方針が示されたことがあります。
すでに令和2年12月25日付けの通知でオンライン講習の試行的な運用は始まっていましたが、今回の通知でその取扱いが本格的に整理されました。
なお、この通知は消防組織法第37条に基づく助言として示されている点も押さえておきます。
背景を押さえたうえで、実際の受講と修了の仕組みを見ていきます。
対面じゃないとちゃんと講習を受けたことにならないと思っていました。
オンラインでも法律上は同じ扱いになるんですか。
はい、通知の要件を満たせば同じ保安講習として扱われます。
次は具体的な受講と修了の流れを確認しましょう。
オンライン講習はどう受講しどう修了と認定されるのか

通知は、講習動画の中身と、受講した人をどう確認するかを具体的に定めています。
まず、受講申請者にID等を通知し、それによる当人認証をもって受講したものとして扱われます。
講習動画で使う内容は講習科目及び講習時間を満たす必要があり、効果測定の回答時間もその講習時間に含まれます。
効果測定であらかじめ設定された割合以上の正答率に達すれば、修了したものとして扱われます。
ここまでが受講から修了までの流れで、次は修了をどう証明するかを見ていきます。
ID認証と効果測定さえクリアすれば、対面の講習と同じように扱ってもらえるんですね。
はい、その通りです。
ただし修了した証明の受け取り方は、対面の講習とは違いますので次に説明します。
修了の証明はどう扱われるのか

オンライン講習では、この証印の代わりに別の書類が発行されます。
受講証明書は、オンライン講習を実施した講習実施機関の名前で発行されます。
消防機関等が受講履歴を確認するときは、免状そのものか、この受講証明書のどちらかで確認することになります。
つまりオンライン講習を受けた人は、免状と受講証明書の両方を保持しておく必要があるということです。
なお、希望すれば後日あらためて免状の裏面に証印を押してもらうこともでき、その場合も受講証明書の提示が必要です。
証明書は免状とは別の紙なんですね。
無くさないようにしないと。
はい、次の章で実務で見落としやすい落とし穴を具体的に確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

免状の書換えのときに、この扱いを知らないと手続きが止まってしまいます。
免状だけを持って書換えの窓口に行っても、オンライン講習の受講履歴は免状に記載されていません。
受講証明書をあわせて提示して初めて、保安講習を受けたことが確認できます。
受講証明書のデータを紛失した場合は、講習実施機関の定める手続により再発行してもらうことができます。
免状の更新や書換えを控えているときほど、受講証明書の保管場所を家族や社内で共有しておくと安心です。
免状だけ持っていけば大丈夫だと思っていました。
証明書を無くしたらどうしようもなくなりますね。
紛失しても講習実施機関に再発行を申請できますので、まずは慌てず問い合わせてみてください。
明日からなにを確認すればよいのか

根拠になるのは今回の通知が示す考え方です。
まず、受講証明書を免状と一緒に保管し、必要なときにすぐ提示できるようにしておくことです。
次に、オンライン講習を申し込むときは、勤務先の危険物施設が所在する都道府県が実施する講習を選ぶことが望ましいとされています。
最後に、オンライン講習を受けるのが難しい人もいるため、すべてがオンラインに置き換わるわけではないことを踏まえて社内の受講計画を立てることです。
通知の内容を社内の講習管理や更新スケジュールに落とし込むところまでが実務の対応になります。
わかりました、証明書はまず免状と同じ場所に保管します。
都道府県の選び方まで確認しておくと、次の更新のときに迷いません。
まずはできるところから始めましょう。
よくある質問
まとめ
受講証明書の保管場所、さっそく社内で確認してみます!
オンライン講習の要件を押さえておけば、免状の書換えでも慌てません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物取扱者保安講習のオンライン化について(通知)(令和3年6月23日 消防危第148号 消防庁危険物保安室長)
- 危険物の取扱作業の保安に関する講習の実施細目について(昭和62年11月27日 消防危119号)
- 危険物取扱者保安講習のオンラインによる実施について(通知)(令和2年12月25日 消防危第306号)
- 消防法第13条の23
- 消防組織法第37条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





