自動火災報知設備の試験結果報告書には、かつて感知器が作動するまでの秒数を書き込む欄がありました。
実は平成9年の告示改正で、この欄の扱いは大きく変わっています。
同じ改正では、自動試験機能が正しく働くかどうかの確認方法まで見直されました。
試験結果報告書のどこがどう簡素化されたのかを、消防検査の視点から整理します。
点検業者さんから、今の試験結果報告書は感知器の作動時間を書かなくていいと言われました。
本当にそれで基準を満たしているのでしょうか。
大丈夫です。
平成9年の告示改正で、作動時間を測る方式そのものが見直されています。
時間を測らなくなった理由も、正直よく分かっていません。
理由と、あわせて変わった自動試験機能の確認方法まで、順番に見ていきましょう。
- 平成9年の消防予第200号通知(4号告示改正)により、試験結果報告書の様式と自動火災報知設備の試験基準が見直されました
- 感知器の作動試験は、作動時間の測定から正常な作動の確認のみに簡略化されました
- ただし作動に非常に時間がかかるものや確認できないものは、改善のための措置が必要です
- 火災通報装置の追加に伴い、別記様式第14に記入欄が整備されました
- 自動試験機能の適合確認は、鑑定ではなく検定において行われるようになりました
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目次
なぜ平成9年に試験結果報告書の様式は見直されたのか

消防用設備等の設置工事が完了すると、事業者は試験結果報告書を添えて消防長または消防署長へ届け出ます。
この様式が平成9年、まとまった形で改正されました。
試験結果報告書は消防庁長官が様式を定める届出書類です。
平成元年の4号告示で様式が定められて以来、自動火災報知設備と消防機関へ通報する火災報知設備の欄が、実態に合わせて整えられてきました。
背景にあるのは自動試験機能や遠隔試験機能を持つ機器の普及です。従来の欄では書ききれない事情が出てきたということです。
様式は消防庁長官が定めるものなので、現場の判断で欄を増減させることはできません。
自分の建物の受信機がどちらの機能を持つかは、次の項目から一つずつ確認していきます。
書式が変わっていたなんて、正直気にしたことがありませんでした。
多くの方がそうです。
次の項目から、何がどう変わったのか順番に見ていきましょう。
感知器の作動試験はなぜ時間を測らなくなったのか

以前の試験結果報告書には、感知器が作動するまでの秒数を書き込む欄がありました。
この欄が平成9年の改正でどう扱われたのかが問われています。
作動時間そのものではなく作動の確認だけで足りるようになりました。
理由は信頼性の向上と試験・点検の円滑化です。感知器の性能が上がったことで、秒数を逐一測らなくても機能を確かめられると整理されました。
ただし免除ではありません。作動までに非常に時間がかかるものや作動が確認できないものは、そのままにせず改善のための措置を講じる必要があります。
どこからが「時間がかかりすぎ」なのかは、感知器の種別ごとに目安の秒数が示されています。
点検の記録にこの目安を照らし合わせておくと、あとから根拠を求められても説明に困りません。
秒数を測らなくていいなら、点検が甘くなった気がして少し不安です。
逆です。
信頼性が上がったからこそ確認だけで足りると整理されました。
自動火災報知設備の様式にはどんな欄が新たに加わったのか

見直されたのは感知器の欄だけではありません。
消防機関へ通報する火災報知設備の側にも、新しい欄が加わりました。
欄が増えたのは火災通報装置と自動試験機能の2つです。
火災通報装置は電話回線を使い、一つの押しボタン操作などで消防機関へ通報できる装置です。これが新たに位置づけられたことで、報告書にも専用の記入欄が用意されました。
自動火災報知設備の側では、自動試験機能や遠隔試験機能を持つ機器かどうかを申告する欄が整えられています。
どちらも、機器の進歩に様式が追いついた結果だといえます。
自分の建物の受信機や火災通報装置がこの欄に該当するかどうかは、設置業者の記載例を見れば確認できます。
うちの受信機、自動試験機能付きだと言われた気がします。
それなら報告書にも該当欄があるはずです。
記載例を業者に見せてもらいましょう。
自動試験機能はなぜ鑑定でなく検定で確認されるのか

外部試験器には「鑑外」という型式番号が付きます。
この「鑑」の一字が示す確認方法と、感知器や受信機そのものの確認方法は、実は別物です。
感知器や受信機そのものの自動試験機能は検定の対象です。
感知器・中継器・受信機は消防法施行令第37条が定める検定対象機械器具等にあたります。自動試験機能・遠隔試験機能の基準はそれぞれの技術上の規格を定める省令自体に書き込まれているため、機器の検定の中でこの機能も確認されます。
一方、その機能を外から確かめる外部試験器は検定対象機械器具等ではありません。だからこそ日本消防検定協会による任意の鑑定という別の仕組みで基準適合を確かめる方式が用意されています。
外部試験器の型式番号が「鑑外」で始まるのは、この鑑定を受けた機器であることを示す符丁です。
点検の現場では、感知器・受信機側は検定マーク、外部試験器側は鑑定の表示、と覚えておくと見分けやすくなります。
鑑定と検定、正直同じようなものだと思っていました。
感知器本体は検定、外部試験器は鑑定です。
型式番号の頭文字で見分けられます。
試験結果報告書は消防検査でどう扱われるのか

ここまで見てきた報告書は、誰にどう使われるのでしょうか。
最後に、消防検査との関係を確認しておきます。
試験結果報告書は消防検査の入口にあたる書類です。
届け出た書類をもとに、消防長または消防署長が設備等技術基準への適合を確認し、適合していれば検査済証が交付されます。
様式が変わっても、施行日前後は備考欄を使うなどして旧様式を当分の間使い続けられるとされました。急に書式を作り直す必要はなかったということです。
現場で気にしたいのは、今使っている報告書が現行の欄に沿っているかどうかです。
古い様式のまま提出すると、検査の場で記入欄の不足を指摘されることがあります。事前に業者へ最新の様式かどうかを確認しておくと安心です。
報告書がそのまま消防検査に直結しているとは知りませんでした。
そうなんです。
次の点検のときは、報告書の様式が最新かどうかも確認してみてください。
よくある質問
まとめ
報告書の欄一つひとつに、こんな経緯があったんですね。
すっきりしました!
気になる欄があれば、点検のときに業者へ確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等試験結果報告書及び消防用設備等試験基準の一部改正について(平成9年12月24日消防予第200号)
- 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成10年5月1日消防予第67号)
- 自動火災報知設備の遠隔試験機能に係る外部試験器の取扱いについて(平成8年5月24日消防予第105号)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第21条の2
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第37条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の3
- 受信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第19号)第13条の3
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





