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自動火災報知設備の感知器の作動試験になぜ秒数の目安があるのか|種別ごとの目安時間と目安を超えたときの対応を解説

感知器の作動試験に秒数の目安はあるのか

自動火災報知設備の感知器の作動試験は、加熱試験器や加煙試験器を使って実際に感知器を作動させ、正しく反応するかを確かめる試験です。
ところが現在の試験基準・点検要領には、作動までの時間を秒数で定めた数値基準がありません。
数値基準は平成9年の通知改正で試験基準・点検要領から削除され、判定は「正常に作動すること」という言葉だけで行うことになっています。
今回は感知器の作動試験になぜ秒数の目安が示されているのか、種別ごとの目安時間と目安を超えたときの対応もあわせて解説します。

点検で感知器が動くまで少し時間がかかったとき、大丈夫なのか気になります。

はい、目安になる秒数があるんです。

でも試験基準を見ても、秒数なんて書いていない気がします。

実は別の通知に目安が示されています。

この記事の結論
  • 感知器の作動試験は、現在の試験基準・点検要領では「正常に作動すること」とだけ定められている
  • 作動までの時間を測る数値基準は、平成9年12月24日の消防予第200号・第201号により試験基準・点検要領から削除された
  • 改善が必要かどうかの目安となる時間は、消防予第67号(平成10年5月1日)の執務資料に示されている
  • 定温式スポット型・熱アナログ式スポット型は、周囲温度との差が50度を超えると目安の時間を2倍にできる
  • 目安を超えて作動が遅い・確認できない感知器は改善措置を講じたうえで試験結果報告書に記載する

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感知器の作動試験はなぜ秒数の目安があるのか

なぜ感知器の作動試験は「正常に作動すること」としか書かれていないのか

感知器と加熱試験器
差動式スポット型や定温式スポット型など、天井に付いている一般的な感知器の作動試験は、加熱試験器や加煙試験器で実際に感知器を作動させて確認します。
この判定基準を消防庁の点検要領で確認すると、意外にもシンプルな言葉しか書かれていません。
問1 差動式スポット型・定温式スポット型(再用型)等の感知器の作動試験は、どのような方法と判定基準によって行うか。
答1 加熱試験器又は加煙試験器等を用いて感知器を作動させて行い、正常に作動することを判定基準とする。(消防用設備等の点検要領 第11 自動火災報知設備)
感知器の作動試験の判定基準は、種別を問わず「正常に作動すること」という言葉だけです。
作動するまでに何秒かかったかという数値は、現在の試験基準にも点検要領にも書かれていません。
実はこれは書き忘れではなく、平成9年12月24日付けの消防予第200号・第201号という通知によって、意図的に試験基準・点検要領から数値基準が削除された結果です。
点検要領は削除の代わりに、「感知器の作動時間等の判定については、消防予第67号の執務資料を参照すること」という注記を残しています。
つまり秒数の目安は公式の基準からは消えたものの、別の通知の中に案内という形で今も生きているのです。

「正常に作動すること」としか書いてないと、何を基準にすればいいのか迷いますね。

はい、秒数の目安は別の通知にまとまっています。

作動までの時間が長すぎるとき何秒を目安に確認すればよいのか

種別ごとに並んだ感知器と時計
点検要領が案内している消防予第67号の執務資料には、なぜ数値基準が削除されたのかという背景と、改善が必要かどうかを見極めるための具体的な目安時間がまとめられています。
種別ごとに数字が異なるため、現場で使うときは表で確認するのが確実です。
問2 平成9年12月24日付け消防予第200号及び第201号により、試験基準及び点検要領から感知器の作動時間に係る数値が削除されたが、その判定はどのようにして行うべきか。
答2 従前作動までの時間を測定して判定を行っていたが、試験・点検の実施の円滑化等の観点から、正常な作動の確認のみで足りることとした。作動までに非常に時間がかかるもの、作動が確認できないもの等については改善のための措置を講ずる必要があり、その目安となる時間は次のとおりである。(消防予第67号 問18)
感知器の種別特種1種2種3種
差動式スポット型-30秒30秒-
定温式スポット型40秒60秒120秒-
熱アナログ式スポット型40秒---
イオン化式・光電式スポット型-30秒60秒90秒
光電式分離型-30秒30秒-
数値基準が削除された今も、この表の秒数が「改善が必要かどうか」を見極める実務上のものさしになっています。
例えば差動式スポット型の1種・2種なら30秒、定温式スポット型の2種なら120秒が目安です。
表の時間を大きく超えて反応しない、あるいはまったく作動しない感知器を見つけたときが、改善のための措置を検討する場面になります。

種別ごとに目安の秒数が全然違うんですね。

はい、種別と種類の組み合わせで変わります。

定温式スポット型と熱アナログ式スポット型はなぜ周囲温度との差で目安が2倍になるのか

定温式スポット型の感知器と温度計
表をよく見ると、定温式スポット型と熱アナログ式スポット型だけに脚注が付いています。
周囲の温度によって、目安の時間そのものを変えてよいという注記です。
問3 定温式スポット型又は熱アナログ式スポット型の目安の時間は、どのような場合に緩和されるか。
答3 定温式スポット型又は熱アナログ式スポット型については、それぞれ公称作動温度又は火災表示に係る設定表示温度と周囲温度との差が50度を超える場合は、作動時間を2倍の値とすることができる。(消防予第67号 問18 注1)
周囲温度と作動温度の差が50度を超える場所では、目安の時間をそのまま2倍まで許容してよいことになっています。
例えば公称作動温度が高い感知器を、普段は涼しい場所に設置している場合、火災の熱がその温度まで伝わるのに通常より時間がかかりやすくなります。
表の秒数だけを一律に当てはめると、こうした設置環境では正常な感知器まで「遅い」と誤って判断しかねないため、温度差に応じた緩和が設けられていると考えられます。
試験を行う際は、感知器の公称作動温度と設置場所の周囲温度をあわせて確認しておくと、目安時間を正しく読み替えられます。

同じ定温式でも、設置場所によって目安の時間が変わるんですね。

はい、温度差50度が緩和の分かれ目です。

炎感知器はなぜ屋内型屋外型道路型を問わず一律30秒なのか

屋内外と道路に設置された炎感知器
熱を感知する定温式・差動式とは別に、光を感知する炎感知器にも目安時間が定められています。
こちらは設置区分による違いがありません。
問4 炎感知器の目安の時間は、屋内型・屋外型・道路型の区分によって異なるか。
答4 炎感知器については、屋内型、屋外型及び道路型のいずれの区分についても30秒以内である。(消防予第67号 問18 注2)
炎感知器は設置場所の区分にかかわらず、目安の時間が一律30秒に統一されています。
差動式や定温式のような熱式の感知器は、周囲温度や熱の伝わり方の違いを考慮して種別・区分ごとに時間が分かれていました。
一方で炎感知器は炎から出る光を直接検知する方式のため、屋内・屋外・道路のどこに設置しても、判定の目安時間を分ける必要が無いという扱いになっているとみられます。
トンネルや駐車場など道路型を使う現場でも、目安の考え方は屋内の炎感知器と変わりません。

炎感知器だけは場所を選ばないんですね。

はい、30秒という目安は共通です。

目安を超えて作動が遅い感知器を見つけたら消防検査までにどう対応すればよいか

試験結果報告書とチェックマーク禁止マークの感知器
目安の時間を大きく超える感知器や、そもそも作動しない感知器が見つかったときは、そのままにせず改善のための措置を講じる必要があります。
その先には、消防用設備等の届出と検査という手続きが待っています。
問5 消防用設備等の設置に係る工事が完了した場合、防火対象物の関係者はどのように届け出なければならないか。
答5 工事が完了した日から四日以内に消防長又は消防署長に別記様式第一号の二の三の届出書に、消防用設備等試験結果報告書等を添えて届け出なければならない。(消防法施行規則第31条の3第1項)
目安の時間を超える感知器が見つかった場合は、交換や配線の点検などの改善措置を行ったうえで、あらためて作動試験を行います。
改善後の結果は消防用設備等試験結果報告書に実測の状況として記載し、工事完了から4日以内に届出書とあわせて消防長又は消防署長へ提出します。
届出を受けた消防機関は、この報告書をもとに消防検査を行い、感知器が正常に機能する状態であることを確認します。
つまり作動試験の秒数の目安は、点検の現場だけで完結する話ではなく、消防検査に提出する報告書の信頼性を支える手前の工程でもあるのです。

目安を超えたら、そのまま検査に出してはいけないんですね。

はい、改善してから報告書にまとめます。

よくある質問

Q感知器の作動試験に秒数の基準はありますか?
A現在の試験基準・点検要領そのものには秒数の基準はなく、判定は「正常に作動すること」とだけ定められています。
Qそれでは秒数はどこにも書かれていないのですか?
Aいいえ。改善が必要かどうかを見極める目安の時間が、消防予第67号(平成10年5月1日)の執務資料に示されています。
Q定温式スポット型の目安時間が長くなることはありますか?
Aあります。周囲温度との差が50度を超える場合は、目安の時間を2倍まで許容できます。
Q目安を超えて作動が遅い感知器を見つけたらどうすればよいですか?
A改善のための措置を講じたうえで、試験結果報告書に記載して消防検査に備えます。

まとめ

✔感知器の作動試験の判定基準は、種別を問わず「正常に作動すること」とだけ定められている
✔作動時間の数値基準は平成9年12月24日の消防予第200号・第201号により試験基準・点検要領から削除された
✔改善が必要かどうかの目安となる時間は消防予第67号(平成10年5月1日)の執務資料に示されている
✔差動式スポット型の1種・2種は30秒、定温式スポット型の2種は120秒が目安
✔定温式スポット型・熱アナログ式スポット型は、周囲温度との差が50度を超えると目安の時間を2倍にできる
✔炎感知器は屋内型・屋外型・道路型を問わず一律30秒が目安
✔目安を超えた感知器は改善措置を講じたうえで試験結果報告書に記載し消防検査に備える

感知器の種別ごとの目安がよく分かりました。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検の基準(点検要領)第11 自動火災報知設備 1 一般的留意事項(総務省消防庁)
  • 自動火災報知設備の試験基準(消防用設備等試験基準、総務省消防庁)感知器の作動試験
  • 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成10年5月1日消防予第67号)問18
  • 消防法施行規則第31条の3第1項(消防用設備等の届出及び検査)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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