消火器や誘導灯の点検は、実は資格がなくてもできる場合があるのをご存知ですか。
小規模な飲食店や宿泊施設では、建物の関係者自身が点検して報告書まで作れることがあります。
消防庁はその点検と報告書作成を助けるスマートフォンアプリを公式に提供しています。
この記事ではアプリの対象設備と使える条件を条文から解説します。
うちの店の消火器、資格がなくても自分で点検していいんでしょうか。
設備と建物の条件が合えば、消防庁の公式アプリで点検と報告書作成ができます。
アプリって具体的にどんな設備が対象なんですか。
対象は4つの設備に絞られています。
順番に見ていきましょう。
- 消防庁は「消防用設備等点検アプリ」を公式に提供しており、対象設備であれば有資格者に頼まず関係者自身で点検・報告書作成ができます(令和3年3月31日 消防予第131号)。
- 対象になるのは消火器・誘導標識・非常警報器具・特定小規模施設用自動火災報知設備の4設備で、それぞれに細かい条件があります。
- アプリが使えるのは、そもそも消防設備士等への依頼が義務づけられていない建物に限られます。
- 点検は機器点検が6か月に1回、総合点検が1年に1回という基準そのものは変わりません。
- 出力したPDFはそのまま消防署等へ提出でき、報告の頻度は建物の区分によって1年に1回か3年に1回に分かれます。
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目次
消防用設備等点検アプリはなぜ作られたのか

そこから対象を広げて、今の形になっています。
令和2年3月の試行版は、消火器の点検だけが対象でした。
その後、「消防用設備等点検報告制度のあり方に関する検討部会」での議論を踏まえて対象設備を広げ、令和3年3月に本格運用が始まりました。
背景にあるのは、消防法第17条の3の3が定める点検・報告の義務です。
建物の関係者は、有資格者に頼めない事情があっても、この義務そのものは免除されません。
試行版のことしか聞いたことがなかったです。
今はもっと広い設備が対象になっています。
次で見ていきましょう。
対象になる4つの設備と建物はどれか

建物の種類と設備の状態、両方に条件があります。
消火器は、加圧式なら製造から3年以内、蓄圧式なら製造から5年以内で、内部及び機能の点検が不要なものに限られます。
誘導標識は、蓄光式のものと電気エネルギーで光る誘導灯タイプは対象外です。
特定小規模施設用自動火災報知設備は、受信機や中継器を設置していない、自動試験機能つきのものに限られます。
そもそも建物自体が、消防設備士等に依頼しなくてよい規模であることも前提になります。
うちの消火器、蓄圧式なんですがどれくらいなら大丈夫ですか。
蓄圧式なら製造から5年以内が目安です。
銘板の製造年を確認しましょう。
アプリは点検と報告の何を代わりにやってくれるのか

アプリはこの両方を1つの流れでこなせるように作られています。
初期設定で建物や設備、点検者の情報を登録すると、点検時期が近づいたときに端末の通知で知らせてくれます。
点検実施画面では、イラストや写真を見ながら基準に適合しているかを選ぶだけで進みます。
入力が終わると、消防法令に定められた様式の報告書がPDFとして出力されます。
点検そのものの頻度(機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回)は、アプリを使っても変わりません。
点検の基準がわかっていなくても大丈夫なんでしょうか。
写真付きの案内に従って選ぶだけなので、初めてでも進められます。
実務で見落としやすいのはどこか

条件を1つずつ確認しておきましょう。
消火器は経過年数の条件を1つでも外れると内部及び機能の点検が必要になり、アプリの対象から外れます。
誘導灯や誘導標識も、蓄光式や電気で光るタイプは配線等の点検が要るため対象外です。
アプリを使っても、点検結果を維持台帳に記録する義務そのものはなくなりません。
報告の頻度は建物の区分によって1年に1回と3年に1回に分かれており、アプリの利用有無で変わりません。
うちの誘導灯、実は電気で光るタイプでした。
対象外なんですね。
その場合はアプリの対象外です。
従来どおりの点検方法を確認しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に確認していきましょう。
建物が消防設備士等への依頼を義務づけられていない規模であるか、設備が4つの対象条件に当てはまるかを順番にチェックします。
条件を満たせば、App StoreまたはGoogle Playからアプリをダウンロードします。
初期設定で建物・設備・点検者の情報を登録し、画面の案内に従って点検を進めます。
出力されたPDFを、報告の期限までに消防署等へ提出すれば手続きは完了です。
つまり、まず自分の建物と設備が対象かどうかを確認すればいいんですね。
そのとおりです。
迷ったら所轄の消防署にも確認しておくと安心です。
よくある質問
まとめ
まずは自分の建物と設備が対象になるかを確認してみます!
ぜひご確認ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「消防用設備等点検アプリ」の本格運用開始について(令和3年3月31日 消防予第131号 消防庁予防課長)
- 「消防用設備等点検アプリ」(試行版)の運用開始について(令和2年3月31日 消防予第76号)
- 消防法第17条の3の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
- 消防用設備等点検アプリ(総務省消防庁ウェブサイト)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





