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ボランティアとの連携はなぜ法律に明記されたのか|自主性を尊重した国と地方公共団体の努力義務を解説

ボランティアとの連携はなぜ義務になったのか

消防計画や地域防災計画に、災害時のボランティア受け入れの項目はありますか。
平成25年の災害対策基本法改正で、国と地方公共団体には「ボランティアとの連携に努める」義務が明文化されました。
きっかけは、東日本大震災で多くのボランティアが果たした役割の大きさでした。
実はこの規定、改正前は独立した条文ですらなく、施策の「配慮事項」の一つに過ぎなかったことまでは、意外と知られていません。

ボランティアとの連携なんて、当たり前の話じゃないんですか。

実は平成25年の法改正まで条文に無かったんです。

今の消防計画には、そこまで書いていないかもしれません。

条文の中身まで含めて、順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 平成25年の災害対策基本法改正で、ボランティアとの連携は法第5条の3として明記されました。
  • 対象は個人・団体を問わず、被災者の援護等のために自発的に防災活動に参加する者全般です。
  • 国と地方公共団体には、ボランティアの自主性を尊重しつつ連携に努める義務が課されました。
  • 国にはあわせて、広報・啓発活動や休暇取得の促進など参加を後押しする措置を講じる努力義務もあります。
  • いずれも罰則のない努力義務であり、行政がボランティアを指揮命令する規定ではありません。

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ボランティアとの連携が法律に明記された経緯を示す図解(被災地での活躍から休暇取得の促進までの4ステップ)

ボランティアとの連携はなぜ法律に明記されたのか

被災地の建物へリュックサックと軍手が向かう様子のイラスト
ボランティアとの連携は、長らく条文の外にありました。
まずは明記されるまでの経緯を確認します。
(災害対策基本法等の一部を改正する法律による改正後の災害対策基本法等の運用について 平成25年6月21日 府政防第559号・消防災第246号・社援総発0621第1号)これまでボランティアによる防災活動の環境の整備については、国及び地方公共団体の施策上の配慮事項として規定されていた(法第8条第2項第13号)ところだが、東日本大震災をはじめ、近年の災害時においては、多くのボランティアが活発な活動を行い、被災地内外で重要な役割を果たしたところであり、今後発生が懸念される大規模広域災害等において、ボランティアの役割はますます大きくなることが見込まれるところである。このため、国及び地方公共団体は、ボランティアによる防災活動の重要性に鑑み、その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならないことを明確化したものである。
改正前は、ボランティアとの連携は条文の外にありました。
以前は、法第8条第2項第13号が定める「施策上の配慮事項」の一つに留まっていました。
東日本大震災では、多くのボランティアが被災地内外で重要な役割を果たしたことが改めて確認されました。
これを踏まえ、法第5条の3という独立した条文として明確化されました。
次は、国と地方公共団体にどんな義務が生まれたのかを見ていきます。

配慮事項どまりだったなんて、ちょっと意外です。

震災の教訓が条文を後押ししたんです。

国と地方公共団体にはどんな義務が生まれたのか

市役所の建物と協定書に見立てた書類が両方向の矢印でつながる様子のイラスト
条文には、義務の中身が2つの項に分けて書かれています。
順番に見ていきます。
(災害対策基本法第5条の3第1項)国及び地方公共団体は、ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割の重要性に鑑み、その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならない。
(災害対策基本法第5条の3第2項)国は、広報活動、啓発活動等を通じて、ボランティアによる防災活動に対する事業者及び国民の関心と理解を深めるとともに、休暇の取得の促進その他のボランティアによる防災活動への国民の参加を促進するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第1項は、国と地方公共団体の両方に「連携に努める」義務を課しています。
条文はあわせて、ボランティアの自主性を尊重することも義務の前提に置いています。
第2項は国に絞った規定で、広報・啓発活動と休暇取得の促進を努力義務としています。
つまり、連携そのものは国と地方公共団体の共通義務、参加の後押しは国の役割という整理です。
次は、ここでいう「ボランティア」の範囲を確認します。

市町村だけでなく、国にも役割があるんですね。

広報や休暇取得の促進は国の役割です。
次は対象の範囲を見ていきましょう。

ここでいうボランティアとは誰を指すのか

拡声器と掲示物のイラスト
条文には「ボランティア」の定義そのものは書かれていません。
通知が示す範囲を確認します。
(災害対策基本法等の一部を改正する法律による改正後の災害対策基本法等の運用について)なお、ここで規定するボランティアとは、個人・団体を問わず、「被災者の援護等のために自発的に防災活動に参加する者」全般を意味するものである。
ボランティアの範囲は、個人か団体かを問いません。
日本赤十字社や社会福祉協議会のような組織だけでなく、個人の自発的な参加者も含まれます。
資格や登録の有無も、条文上の要件にはなっていません。
「被災者の援護等のために自発的に参加する」という活動の性質で判断される、幅広い概念です。
次は、この規定を実務で読むときに見落としやすい点を確認します。

登録した団体でないと対象にならないと思っていました。

いいえ、個人の自発的な参加者も含みます。

実務で見落としやすいのはどこか

カレンダーの一日に丸印が付き隣にオフィスビルが並ぶ様子のイラスト
ここで、勘違いしやすい点を確認します。
(災害対策基本法第5条の3)国及び地方公共団体は(略)その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならない。(略)国は(略)休暇の取得の促進その他のボランティアによる防災活動への国民の参加を促進するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
この条文は「努めなければならない」という努力義務で、罰則の定めはありません。
「連携」という言葉から、行政がボランティアを指揮命令できると誤解されがちですが、条文はむしろ自主性の尊重を前提にしています。
また、休暇取得の促進は国に向けた努力義務であり、企業に休暇の付与そのものを義務付ける規定ではありません。
自主防災組織や自治会が窓口になる場合も、指揮命令ではなく受け入れ体制の調整という位置づけで整理しておくと誤解を避けられます。
次は、明日から確認しておきたい実務の手順を整理します。

連携=指揮命令だと思っていました。

自主性の尊重が前提です。
次は確認の手順を見ていきましょう。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストのクリップボードと地域防災計画のバインダーが並ぶ様子のイラスト
最後に、建物の防災体制で確認しておきたい手順を整理します。 まず、地域防災計画にボランティアの受け入れ体制が記載されているかを確認します。
災害ボランティアセンターの設置主体や、自主防災組織・自治会との連絡窓口が明記されているかを見ておきます。
社内・組織内の防災訓練でも、ボランティア休暇制度があれば周知の機会にあわせて案内します。
消防計画に「ボランティア」という言葉が一度も出てこない場合は、受け入れ窓口の項目を追加できないか検討します。
制度は自主性を尊重する前提で作られていますが、平時の準備は行政・事業者の側でこそ進められます。

地域防災計画、受け入れ体制まではちゃんと見ていませんでした。

平時の窓口確認が鍵になります。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Qボランティアとの連携は、法律上の義務ですか?
A努力義務です。法第5条の3は「~に努めなければならない」という規定で、罰則もありません。ただし、国・地方公共団体の責務として明文化された点に意味があります。
Qここでいうボランティアには、企業やNPOなどの団体も含まれますか?
Aはい。通知は「個人・団体を問わず、被災者の援護等のために自発的に防災活動に参加する者」全般をボランティアと位置づけています。
Q休暇取得の促進とは、企業に休暇取得を義務付けるものですか?
Aいいえ。第2項は国に対する努力義務であり、企業に直接休暇の付与を義務付けるものではありません。国が広報・啓発を通じて促す仕組みです。
Qこの規定ができる前、ボランティアとの連携はどう扱われていましたか?
A改正前は法第8条第2項第13号が定める「施策上の配慮事項」の一つに留まっていました。東日本大震災を機に、法第5条の3として独立した条文になりました。

まとめ

✔平成25年の災害対策基本法改正で、ボランティアとの連携は法第5条の3として明記されました。
✔きっかけは、東日本大震災でボランティアが果たした役割の大きさでした。
✔国・地方公共団体には、自主性を尊重しつつ連携に努める義務があります。
✔国には広報・啓発活動や休暇取得の促進など、参加を後押しする努力義務もあります。
✔ここでいうボランティアは、個人・団体を問わない幅広い概念です。
✔いずれも努力義務であり、行政による指揮命令を定めたものではありません。
✔消防計画・地域防災計画のボランティア受け入れ体制を確認しておくことが実務の第一歩です。

地域防災計画のボランティア窓口、さっそく確認します!

それが一番の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 災害対策基本法等の一部を改正する法律による改正後の災害対策基本法等の運用について(平成25年6月21日 府政防第559号・消防災第246号・社援総発0621第1号)
  • 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第5条の3第1項・第2項

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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