地区計画等で道の配置や規模が定められている区域でも、私道を新しく築造して建築物の敷地に使うことがあります。
その道の位置を特定行政庁が指定するとき、計画とまったく無関係に決めてよいのでしょうか。
建築基準法第68条の6は、地区計画等に定められた道の配置又はその区域に即して位置の指定を行わなければならないと定めています。
決め手になるのは、どの計画にどんな事項が定められているか、そしてただし書きの例外です。
今回は建築基準法第68条の6が定める、道路の位置の指定に関する特例について、条文の中身と、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
道の位置を指定するときも、地区計画の内容を見なければいけないのですか。
自由に決められるわけではないのですね。
原則として、計画に定められた道の配置に合わせます。
まず、条文の書き出しから見ていきましょう。
それは、建築基準法のどの条文に書かれているのですか。
予定道路の条文とは別ですか。
建築基準法第68条の6に書かれています。
予定道路は次の第68条の7で、別の条文です。
- 第68条の6は、地区計画等に道の配置及び規模又はその区域が定められている場合に、第42条第1項第5号の規定による位置の指定を、地区計画等に定められた道の配置又はその区域に即して行わなければならないと定めています。
- 対象は、地区計画等の区分に応じて各号に定める事項が定められている区域に限られます。
- 各号には、地区計画・防災街区整備地区計画・歴史的風致維持向上地区計画・沿道地区計画・集落地区計画の五つが挙がっています。
- ただし書きにより、土地の位置と現に存する道路の位置との関係などで計画に即し難いと認められる場合は、この限りではありません。
- 区域の範囲は次条の予定道路の指定と共通で、次条第一項において同じと書かれています。
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目次
地区計画等に道の配置が定められている区域では道路の位置の指定はなぜ計画に即して行わなければならないのか

まず、条文の書き出しの部分を確認しましょう。
第42条第1項第5号が定めているのは、道路法などによらないで築造する、政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁から位置の指定を受けたものです。
実務では、位置指定道路と呼ばれることが多い道です。
土地を建築物の敷地として利用するために、こうした道が築造されます。
第68条の6が定めるのは、地区計画等に道の配置が定められているとき、この位置の指定を計画に即して行うことです。
計画に定められているのは、道の配置及び規模、又はその区域です。
指定を行う側の特定行政庁は、この原則に縛られることになります。
計画で決まった道の配置に合わせて指定するのですね。
対象の区域は、どこですか。
区域は、計画の種類ごとに決められています。
次に、各号の事項を確認します。
この特例の対象区域はなぜ地区計画等の区分ごとに各号に定める事項が定められている区域に限られるのか

区域の限定と各号の内容を、確認しておきましょう。
一 地区計画 再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも都市計画法第十二条の五第五項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画
二 防災街区整備地区計画 地区防災施設の区域又は防災街区整備地区整備計画
三 歴史的風致維持向上地区計画 歴史的風致維持向上地区整備計画
四 沿道地区計画 沿道再開発等促進区(沿道整備法第九条第四項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は沿道地区整備計画
五 集落地区計画 集落地区整備計画
一号は、地区計画について、再開発等促進区若しくは開発整備促進区、又は地区整備計画が定められている区域です。
再開発等促進区と開発整備促進区は、都市計画法第12条の5第5項第1号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限られます。
二号は、防災街区整備地区計画について、地区防災施設の区域又は防災街区整備地区整備計画が定められている区域です。
三号は、歴史的風致維持向上地区計画について、歴史的風致維持向上地区整備計画が定められている区域です。
四号は、沿道地区計画について、沿道再開発等促進区又は沿道地区整備計画が定められている区域です。
五号は、集落地区計画について、集落地区整備計画が定められている区域です。
集落地区計画が含まれる点は、前回の建蔽率の特例とは違うところです。
計画の種類ごとに、決められた事項が要るのですね。
例外はありますか。
ただし書きに例外があります。
次の見出しで、この限りでない場合を見ていきます。
土地の位置と現に存する道路の位置との関係などで計画に即し難い場合はなぜ原則の対象から外れるのか

条文を、確認しておきましょう。
例として条文が挙げているのは、敷地として利用しようとする土地の位置と、現に存する道路の位置との関係です。
条文には「その他の事由」ともあり、挙げられた事由だけに限られません。
どんな場合に難しいと認められるのかは、条文には具体的な基準が書かれていません。
そのため、実際にこの例外に当たるかどうかは、個別の事情ごとに特定行政庁に確かめる必要があります。
ただし書きがあるからといって、原則が薄まるわけではなく、あくまで例外です。
原則は計画に即して、例外は個別に判断されるのですね。
次条の予定道路とは、どう違いますか。
次条の予定道路も、同じ区域を前提にしています。
次の見出しで、つながりを見ていきます。
第68条の6の区域はなぜ次条の予定道路の指定でも同じ意味で使われるのか

次条の内容も、簡単に確認しておきましょう。
第68条の7第1項は、特定行政庁が、地区計画等に道の配置及び規模又はその区域が定められている場合に、一定の基準に従って予定道路の指定を行うことができるとしています。
予定道路の指定は、位置の指定とは別の制度で、指定の要件も別に定められています。
第68条の6が原則を定めるのは、位置の指定のほうです。
両方の条文を続けて読むと、計画の区域という共通の土台があることが分かります。
予定道路の詳しい内容は、別の記事で解説しています。
位置の指定と予定道路は、同じ区域の話なのですね。
全体を、整理したいです。
一覧の表で、比べてみましょう。
あわせて防火管理者の確認事項も見ておきます。
第68条の6はなぜ計画の種類と区域と例外の三つをそろえて読む必要があるのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 原則 | 第42条第1項第5号の規定による位置の指定は、地区計画等に定められた道の配置又はその区域に即して行わなければならない | 対象は位置の指定です |
| 対象区域 | 地区計画等の区分に応じて、各号に定める事項が定められている区域に限る | 計画の種類ごとに定める事項が違います |
| 各号の計画 | 地区計画、防災街区整備地区計画、歴史的風致維持向上地区計画、沿道地区計画、集落地区計画 | 五つが挙がっています |
| 例外 | 土地の位置と現に存する道路の位置との関係その他の事由により計画に即し難いと認められる場合は、この限りでない | 具体的な基準は条文に無いので確認が要ります |
| 次条との関係 | 次条第一項において同じ | 予定道路の指定でも同じ区域を使います |
前回までの容積率や建蔽率の特例とは違い、この条文は道路の位置の指定に関するものです。
道の位置は、建物へ入る経路や避難の道すじの前提になる場合があります。 これらは建築基準法の道路の話で、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、建物の増築や敷地の使い方の話が出たときには、関係する場面があります。
判断に迷うときは、市区町村の窓口への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
- 建物のある区域が、地区計画等の区域に当たるかを、市区町村の窓口で確認して記録する。
- 計画に道の配置及び規模又はその区域が定められているかを照会しておく。
- 建物へ通じる道が位置の指定を受けたものかどうかを、特定行政庁に確かめておく。
- 増築などで規模や用途が変わることで、消防用設備等の基準が変わる場合があるため、所轄消防署へ事前に相談する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。
区域の計画と、道の位置指定の有無を、まず確認します。
増築の話が出たら、両方の窓口に相談します。
状況が分かれば、あとの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。
よくある質問
まとめ
区域の計画と、道の位置指定の有無を、確認しておく必要があるんですね。
この記事の内容を管理者にも共有します!
区域の計画と道の位置が分かれば、増築や入居の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第六十八条の六・第四十二条・第六十八条の七(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。区域の計画と条例の制限の内容は地区計画と条例ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





