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蓄積式と二信号式の自動火災報知設備は点検で感知器を何個作動させるのか|警戒区域数ごとの試験個数と発信機の確認を解説

蓄積式と二信号式の自動火災報知設備は点検で感知器を何個作動させるのか|警戒区域数ごとの試験個数と発信機の確認を解説

自動火災報知設備には、誤報を減らすために火災表示を遅らせる蓄積式や、信号を二段階で受ける二信号式があります。
こうした機能は、感知器を作動させるだけでは正しく働くかどうか分かりません。
点検の基準と要領は、感知器を何個作動させるか、発信機で何を確かめるかまで決めています。
この記事では、蓄積機能と二信号機能の点検の中身を順に確認します。

蓄積式の受信機は、感知器が作動してもすぐには火災表示を出さないそうですね。

はい、蓄積時間のあいだ信号を確かめてから表示します。
点検ではこの遅れも判定の対象です。

遅れて表示するなら、発信機を押したときも遅れるのですか。

そこも点検で確かめる項目です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 蓄積機能と二信号機能の点検は、自動試験機能を持たない自動火災報知設備が対象です。
  • 蓄積式は、火災表示までの時間が受信機の設定時間に5秒を加えた時間以内かを見ます。
  • 作動させる感知器は、警戒区域数が50以下なら熱・煙・炎とも1個、51以上なら2個です。
  • 蓄積時間内に発信機を作動させ、蓄積が自動で解除されて火災表示が出るかも確かめます。
  • 二信号式は第一信号と第二信号の表示を、任意の1回線で確認します。

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蓄積式と二信号式の点検を、感知器を規定個数作動させる、発信機でも確かめる、解除したら必ず復元するの3つで整理した図解

蓄積機能や二信号機能は点検の基準のどこで確かめるのか

壁の灰色の受信機の箱の横に砂時計が置かれたイラスト
点検の基準は、この二つの機能を二か所に書いています。
受信機の火災表示等の欄と、機能ごとに独立した項目です。
消防用設備等の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号) 別表第11 1 機器点検
(2) 受信機及び中継器 セ 火災表示等(自動試験機能を有する自動火災報知設備を除く。)
(ア)蓄積式 蓄積機能及び火災表示が適正であること。
(ウ)二信号式 第一信号及び第二信号による火災表示が適正であること。
昭和50年消防庁告示第14号 別表第11 1 機器点検
蓄積機能(蓄積機能を有する自動火災報知設備のうち、自動試験機能を有しないものに限る。)
感知器が作動したときの火災表示までの時間が適正であり、かつ、発信機を作動させたときの火災表示の状況が正常であること。
二信号機能(二信号機能を有する自動火災報知設備のうち、自動試験機能を有しないものに限る。)
第一信号及び第二信号による火災表示が適正であり、かつ、発信機を作動させたときの火災表示の状況が正常であること。
どちらの機能も、自動試験機能を持たない設備が対象です。
自動試験機能付きの設備では、この部分を記録装置の記録で確認します。
その点検の中身は、自動試験機能付きの点検の記事で解説しています。
なお、蓄積付加装置そのものの考え方は蓄積付加装置の記事にまとめています。

蓄積式か二信号式かは、どうやって見分けるのですか。

受信機の仕様で確かめます。
蓄積機能や二信号機能を持つ設備だけが、この項目の対象です。

蓄積式の受信機は火災表示までの時間をどう判定するのか

天井の丸い感知器に、長い棒の先の試験器が向けられたイラスト
蓄積式の判定は、時間を測って行います。
点検要領の火災表示等の欄が、火災試験のやり方と時間の上限を示しています。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第11 自動火災報知設備 2 機器点検 受信機 火災表示等 蓄積式
火災試験を行い確認する。
ア 火災灯、地区表示装置の点灯及び主音響装置の鳴動並びに自己保持機能が正常であること。
イ 蓄積式受信機にあっては、前アによるほか、蓄積の測定時間は、受信機で設定された時間に5秒を加えた時間以内であること。
※ 回線別に蓄積機能を有しているものは、回線別に点検する。
蓄積の測定時間は、受信機の設定時間に5秒を加えた時間以内です。
設定が30秒の受信機なら、火災表示までの時間が35秒以内に収まっているかを見る計算です。
時間の測り方は、感知器を作動させてから火災表示が出るまでです。
回線ごとに蓄積機能を持つ受信機は、回線別に点検します。
設定時間そのものは、受信機に設定された値を基準にするので、点検の前に設定値を控えておきたいところです。

設定時間ちょうどで表示されなくても、不合格ではないのですか。

要領は、設定時間に5秒を加えた時間以内を上限としています。
それを超えると適正とは言えません。

蓄積機能の点検では感知器を何個作動させるのか

赤い押しボタンの箱が電線で灰色の受信機の箱につながれたイラスト
点検要領は、試験する感知器の個数を表で決めています。
個数は、警戒区域の数で二段階に分かれます。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第11 自動火災報知設備 2 機器点検 蓄積機能(蓄積機能を有する自動火災報知設備のうち、自動試験機能を有しないものに限る。)
第11-2表に掲げる警戒区域数に応じそれぞれ定める個数の感知器を所定の操作により作動させて確認する。
第11-2表 警戒区域数が50以下は、熱感知器・煙感知器・炎感知器とも試験感知器個数1。警戒区域数が51以上は、熱感知器・煙感知器・炎感知器とも試験感知器個数2。
警戒区域数が50以下なら各1個、51以上なら各2個です。
熱感知器、煙感知器、炎感知器のどれも、個数は同じです。
そのうえで、蓄積機能を持つ中継器や受信機を使う設備は、蓄積時間内に発信機を作動させて確認します。
判定は、蓄積を自動的に解除して火災表示を行うことです。
アナログ式は、注意表示までの時間が適正で、注意表示中に発信機を作動させたら火災表示を行うことも見ます。

発信機を押すと、蓄積時間を待たずに表示が出るのですか。

要領の判定は、蓄積機能を自動的に解除して火災表示を行うことです。
これを点検で確かめます。

二信号機能の点検では第一信号と第二信号で何を確かめるのか

受信機から小さなベルと大きなベルへ電線がのびた二段階の警報のイラスト
二信号式は、一つの回線から二段階の信号を受ける方式です。
点検では、任意の1回線を選び、二つの信号の表示を順に確かめます。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第11 自動火災報知設備 2 機器点検 二信号機能
任意の1回線で、加熱試験器又は加煙試験器等を用いて、感知器を作動させ、第一信号及び第二信号による火災表示を確認する。また、第一信号及び第二信号にかかわらず、発信機を操作した場合の火災表示を確認する。
ア 第一信号により主音響装置又は副音響装置の鳴動及び警戒区域の表示の点灯が正常であること。
イ 第二信号により主音響装置及び地区音響装置の鳴動並びに火災灯及び地区表示装置の点灯が正常であること。
ウ 発信機を操作した場合、主音響装置及び地区音響装置の鳴動並びに火災灯及び地区表示装置の点灯が正常であること。
第一信号では主音響装置か副音響装置が鳴り、第二信号で地区音響装置まで鳴ります。
第二信号では、火災灯と地区表示装置の点灯も確かめます。
発信機を操作した場合は、第一信号か第二信号かにかかわらず、主音響装置と地区音響装置の鳴動まで正常であることが判定です。
火災表示等の欄の要領には、二信号式の第一信号による火災表示は自己保持機能がないものもあるので注意するとあります。
また、1回線ごとに自己保持機能を確認したら、復旧スイッチを操作して次の回線へ移ります。

二信号式は、全部の回線で試験するのですか。

二信号機能の項目は、任意の1回線で確認するとされています。
火災表示等の欄は、回線ごとに自己保持を見ます。

感知器の作動試験のとき蓄積機能は解除してよいのか

壁のスイッチ箱のレバーが元の位置へ戻る矢印のイラスト
蓄積式の回線で感知器を一つずつ試験すると、蓄積時間ぶん待つことになります。
要領の一般的留意事項は、この点に触れています。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第11 自動火災報知設備 1 一般的留意事項
(4) 感知器の作動試験は、蓄積機能を有する回線に接続されているものは、当該蓄積機能を解除して行ってもよい。点検終了後はこれを復元すること。
解除してもよいが、点検が終わったら必ず復元します。
感知器の作動試験のための解除であって、蓄積機能の点検そのものを省く意味ではありません。
蓄積機能の点検は、解除を戻した状態で、前の節の個数と発信機の確認を行うことになります。
ほかにも、点検の前に連動回路を遮断し、終わったら復元することが要領に示されています。
点検票の最後に、蓄積機能と連動回路の復元を一つずつ確かめる欄を設けておくのは、当記事の実務上の提案です。
感知器の作動試験そのものは、空気管式の作動試験の記事でも扱っています。

解除したまま点検を終えてしまったら、どうなりますか。

蓄積機能が働かない状態のまま残ります。
要領が復元することと明記している理由です。

よくある質問

Q自動試験機能付きの設備でも、蓄積機能の点検は必要ですか?
A告示の蓄積機能と二信号機能の項目は、自動試験機能を有しないものに限られています。自動試験機能付きは、記録装置の記録で確認します。
Q蓄積式の火災表示までの時間は、何秒以内が適正ですか?
A受信機で設定された時間に5秒を加えた時間以内です。回線別に蓄積機能を持つものは回線別に点検します。
Q警戒区域が60ある建物では、感知器を何個作動させますか?
A警戒区域数が51以上なので、熱感知器・煙感知器・炎感知器のいずれも2個です。50以下なら1個です。
Q蓄積機能の点検で、発信機はなぜ作動させるのですか?
A蓄積時間内に発信機を作動させたとき、蓄積機能を自動的に解除して火災表示を行うかを確かめるためです。

まとめ

✔蓄積機能と二信号機能の点検は、自動試験機能を持たない設備が対象
✔蓄積式は、火災表示までの時間が設定時間に5秒を加えた時間以内かを見る
✔作動させる感知器は、警戒区域数が50以下なら各1個、51以上なら各2個
✔蓄積時間内に発信機を作動させ、蓄積の自動解除と火災表示を確かめる
✔二信号式は、任意の1回線で第一信号と第二信号の表示を確かめる
✔感知器の作動試験で蓄積機能を解除したら、点検後に必ず復元する
✔根拠は昭和50年消防庁告示第14号と消防用設備等の点検要領で、要領は改正されることがある

蓄積式の点検では、感知器の個数と発信機の確認を、点検票に書き分けることにします!

その一手が、解除の戻し忘れも防ぎます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第11
  • 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年消防予第172号)及び消防用設備等の点検要領の一部改正について(令和6年消防予第412号) 第11 自動火災報知設備

※本記事は公表されている告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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