建物の前の道が、将来つながったり広がったりすると聞くことがあります。
地区計画などで道の位置が定められている区域では、まだ整備されていない道も、扱いが変わることがあります。
建築基準法第68条の7は、特定行政庁が、その道を予定道路として指定できると定めています。
決め手になるのは、地区計画等に道が定められているか、指定できる三つの場合のどれに当たるか、そして指定されたあとの扱いです。
今回は建築基準法第68条の7と施行令第136条の2の7・第136条の2の8が定める、予定道路の指定と、指定された予定道路の扱いについて、条文の中身と、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
地区計画で道の計画があると、まだ整備されていなくても建物に影響しますか。
敷地の一部が道の予定地にかかることもあるようです。
特定行政庁が指定すると、その道は予定道路として扱われます。
まず、条文から見ていきましょう。
予定道路と計画道路は、どう違うのですか。
名前が似ていて、混同しそうです。
条文の中でも、別の語として書き分けられています。
順に確認していきますね。
- 建築基準法第68条の7第1項は、特定行政庁が、地区計画等に道の配置及び規模又はその区域が定められている場合で、三つの場合の一つに該当するときに、政令で定める基準に従って予定道路の指定を行うことができると定めています。
- 三つの場合は、土地の所有者等の同意を得たとき、区画道路が整備された区域で細街路網を一体的に形成するとき、整備済みの道の機能を著しく阻害するおそれがあるときです。
- 施行令第136条の2の7は、指定を、通行上、安全上、防火上又は衛生上地区計画等の区域の利便又は環境が著しく妨げられる場合に、幅員が4メートル以上となるものについて行うものと定めています。
- 同意を得た場合を除いて、指定の前に建築審査会の同意が必要です(第2項)。
- 指定された予定道路は、第42条第1項の道路とみなされ、第44条の道路内の建築制限が適用されます(第4項)。
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目次
予定道路の指定はなぜ地区計画等に道が定められている区域でだけできるのか

第1項の柱書きが、指定の前提を定めています。
まず、条文を確認しましょう。
指定するのは、市町村ではなく、特定行政庁です。
前提は、地区計画等に道の配置及び規模又はその区域が定められていることです。
指定は、地区計画等に定められた道に即して行い、政令の基準にも従います。
条文の書き方は「行うことができる」で、定められた道の全部が自動的に予定道路になるのではありません。 予定道路と似た語に、計画道路があります。
施行令第131条の2第2項が、両方を並べて書いています。
条文を確認しておきましょう。
計画道路は、都市計画において定められた道です。
予定道路は、法第68条の7第1項の規定により指定された道です。
本文で扱う予定道路は、後者の道です。
指定するのは特定行政庁で、地区計画等に道が定められていることが前提なのですね。
どんな場合に指定できるのでしょうか。
第1項の各号が、三つの場合を定めています。
施行令の基準とあわせて、確認していきましょう。
予定道路を指定できる場合はなぜ三つに分かれ幅員4メートル以上に限られるのか

ただし書も、あわせて条文で確認しましょう。
一 当該指定について、当該予定道路の敷地となる土地の所有者その他の政令で定める利害関係を有する者の同意を得たとき。
二 土地区画整理法による土地区画整理事業又はこれに準ずる事業により主要な区画道路が整備された区域において、当該指定に係る道が新たに当該区画道路に接続した細街路網を一体的に形成するものであるとき。
三 地区計画等においてその配置及び規模又はその区域が定められた道の相当部分の整備が既に行われている場合で、整備の行われていない道の部分に建築物の建築等が行われることにより整備された道の機能を著しく阻害するおそれがあるとき。
第一号は、土地の所有者などの同意を得たときです。
第二号は、土地区画整理事業などで主要な区画道路が整備された区域で、道が細街路網を一体的に形成するときです。
第三号は、道の相当部分の整備が既に行われている場合で、未整備の部分に建築が行われると、整備された道の機能を著しく阻害するおそれがあるときです。
第二号又は第三号では、指定に伴う制限で土地を利用することが著しく妨げられるときは、指定できません。 三つの場合の違いを、表にまとめます。
| 項目 | 第一号 | 第二号 | 第三号 |
|---|---|---|---|
| 決め手 | 土地の所有者その他の利害関係者の同意 | 区画道路に接続した細街路網を一体的に形成 | 整備された道の機能を著しく阻害するおそれ |
| 前提の状況 | 指定について同意を得ている | 土地区画整理事業等で主要な区画道路が整備された区域 | 道の相当部分の整備が既に行われている |
| ただし書 | 適用されない | 土地の利用が著しく妨げられるときは指定できない | 土地の利用が著しく妨げられるときは指定できない |
条文を、確認しておきましょう。
一 予定道路となる土地の区域及びその周辺の地域における地形、土地利用の動向、道路(法第四十二条に規定する道路をいう。第百四十四条の四において同じ。)の整備の現状及び将来の見通し、建築物の敷地境界線、建築物の位置等を考慮して特に必要なものについて行うこと。
二 予定道路となる土地の区域内に建築物の建築等が行われることにより、通行上、安全上、防火上又は衛生上地区計画等の区域の利便又は環境が著しく妨げられることとなる場合において行うこと。
三 幅員が四メートル以上となるものについて行うこと。
第一号は、地形や土地利用の動向などを考慮して特に必要なものについて行うことを求めています。
第二号は、建築が行われると、通行上、安全上、防火上又は衛生上、区域の利便や環境が著しく妨げられる場合に行うことを求めています。
第三号は、幅員が4メートル以上となるものに限っています。
三つの場合と、幅員4メートル以上という基準があるのですね。
指定の手続きは、どうなっていますか。
第2項と第3項が、手続きを定めています。
利害関係者の範囲も、施行令が定めています。
予定道路の指定にはなぜ建築審査会の同意と意見の聴取が関わるのか

第3項は、意見の聴取などの手続きを、準用で定めています。
条文で確認しましょう。
(同条第三項)第四十六条第一項後段、第二項及び第三項の規定は、前項に規定する場合について準用する。
第一号の場合は、土地の所有者などの同意を得ているので、この同意は不要です。
第二号と第三号の場合は、あらかじめ建築審査会の同意を得なければなりません。
第3項は、壁面線の指定に関する第46条の規定を、準用しています。 準用される第46条の規定を、確認しておきましょう。
(同条第二項)前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、同項の規定による指定の計画並びに意見の聴取の期日及び場所を期日の三日前までに公告しなければならない。
(同条第三項)特定行政庁は、第一項の規定による指定をした場合においては、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
意見の聴取は、指定に利害関係を有する者の出頭を求めて、公開で行います。
期日と場所は、期日の三日前までに公告しなければなりません。
指定をしたときは、遅滞なく、その旨を公告します。 第一号の同意を得るべき利害関係者の範囲は、施行令第136条の2の8が定めています。
条文を、確認しておきましょう。
仮登記、差押えの登記、買戻しの特約の登記の登記名義人も含まれます。
同意を得るべき相手は、土地の所有者だけではありません。
審査会の同意や、意見の聴取と公告の手続きがあるのですね。
指定されたあとは、どう扱われますか。
第4項が、道路とみなして扱うと定めています。
第44条との関係を、確認しましょう。
指定された予定道路はなぜ道路とみなされて第44条の建築制限が適用されるのか

条文で確認しましょう。
みなされる道は、第42条第1項の道路です。
適用される規定は、道路内の建築制限を定める第44条です。
第44条を、確認しておきましょう。
予定道路が指定されると、その中には、原則として建築物や擁壁を建てられないことになります。
第44条第1項のただし書には、地盤面下に設ける建築物や、特定行政庁が許可したものなどの例外があります。
例外の中身は、第44条の条文で確認が欠かせません。
指定されると、予定道路の中には原則建てられないのですね。
敷地にかかっている場合は、面積の数え方も変わりますか。
第5項が、許可を受けた建築物の面積の扱いを定めています。
防火管理者の確認と、あわせて見ていきましょう。
予定道路にかかる敷地では面積の数え方はなぜ許可で変わるのか

第6項は、その許可の準用を定めています。
条文で確認しましょう。
(同条第六項)第四十四条第二項の規定は、前項の規定による許可をする場合に準用する。
この特例は、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物に限られます。
許可の前には、第6項により、第44条第2項の建築審査会の同意の規定が準用されます。
第4項と第5項の違いを、表にまとめます。
| 項目 | 第4項 | 第5項 |
|---|---|---|
| みなす道 | 第42条第1項に規定する道路 | 第52条第2項の前面道路 |
| 適用される規定 | 第44条(道路内の建築制限) | 第52条第2項から第7項まで及び第9項 |
| 許可 | 指定されれば当然に適用 | 特定行政庁が支障がないと認めて許可した建築物 |
敷地面積が300平方メートルで、そのうち予定道路に係る部分が30平方メートルの敷地があるとします。
第5項の許可を受けた建築物では、その30平方メートルを算入しないので、敷地面積は270平方メートルとして扱います。
数値は、読み方の例です。 前面道路とみなす扱いは、前に見た施行令第131条の2第2項にも定めがあります。
建築基準法の話は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、増築や改修のときには、関係する場面があります。
判断に迷うときは、特定行政庁の窓口への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
- 建物のある地区に地区計画等が定められ、道の配置が定められているかを、市区町村の窓口で確認して記録する。
- 予定道路が指定されているかを、特定行政庁へ照会しておく。
- 敷地に予定道路がかかる場合は、敷地面積の扱いと許可の有無を、窓口で確認する。
- 増築や改修を考えるときは、予定道路との位置関係を、工事の前に特定行政庁へ事前に相談する。
- 消防用設備等の判断は、所轄消防署へ相談する。
道路の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。
予定道路の指定の有無と、敷地への影響を、まず確認します。
増築の前には、特定行政庁にも聞いてみます。
状況が分かれば、増築のときの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。
よくある質問
まとめ
予定道路の指定の有無と、敷地への影響を、確認しておく必要があるんですね。
この記事の内容を管理者にも共有します!
予定道路との位置関係が分かれば、増築や改修の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第四十四条・第六十八条の七・同法施行令第百三十一条の二・第百三十六条の二の七・第百三十六条の二の八(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。予定道路の指定の有無や範囲は特定行政庁ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





