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地区計画の通路の下の部分はなぜ建蔽率の算定の建築面積に入らないことがあるのか|建築基準法第68条の5の6を解説

高架の歩行者通路が低層部の上を通る大きな建物と街路の写真

建蔽率は、敷地面積に対する建築面積の割合で決まります。
地区計画などの区域では、歩行者用の通路が建物の上を通ることもあり、その下の部分まで建築面積に入れると建蔽率の枠を圧迫します。
建築基準法第68条の5の6は、地区計画等の区域内で、地区施設等の下にある部分のうち特定行政庁が支障がないと認めるものの建築面積を、建蔽率の算定の基礎となる建築面積に算入しないと定めています。
決め手になるのは、計画にどんな事項が定められているか、条例の制限があるか、そして特定行政庁の認定です。
今回は建築基準法第68条の5の6が定める、地区計画等の区域内における建築物の建蔽率の特例について、条文の中身と、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。

建物の上を通る通路の下の部分も、建蔽率に入るのでしょうか。
地区計画の区域なら、扱いが違うのですか。

一定の条件を満たすと、その部分は入れないことがあります。
まず、入れない部分の中身から見ていきましょう。

その特例は、建築基準法のどの条文に書かれているのですか。
容積率の特例とは別の条文ですか。

建築基準法第68条の5の6に書かれています。
順に確認していきますね。

この記事の結論
  • 第68条の5の6は、条件に該当する地区計画等の区域内で、地区施設等の下にある部分のうち特定行政庁が支障がないと認めるものの建築面積を、建蔽率の算定の基礎となる建築面積に算入しないと定めています。
  • 第一号は、計画に地盤面の上に配置が定められた通路などの地区施設等と、それに面する壁面の位置の制限が定められていることを求めています。
  • 第二号は、第68条の2第1項の規定に基づく条例で制限が、壁面の位置の制限に関して定められていることを求めています。
  • 算入されないのは、地区施設等の下にある部分のうち、認められた部分の建築面積に限られます。
  • 計画と条例の条件に加えて特定行政庁の認定が必要な点は、ほかの地区計画の特例と共通しています。

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地区施設等の下の部分が建蔽率の算定の建築面積に入らなくなる条件を、計画と条例と認定の三つで示す図解

地区計画等の区域内では地区施設等の下の部分がなぜ建蔽率の算定の建築面積に入らないことがあるのか

歩行者用の高架通路が低層の建物の前を横切る街角のイラスト
第68条の5の6は、建蔽率の算定で建築面積に入れない部分を定めています。
まず、条文の書き出しの部分を確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の五の六)次に掲げる条件に該当する地区計画等(集落地区計画を除く。)の区域内の建築物については、第一号イに掲げる地区施設等の下にある部分で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものの建築面積は、第五十三条第一項及び第二項、第五十七条の五第一項及び第二項、第五十九条第一項、第五十九条の二第一項、第六十条の二第一項、第六十八条の八、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する建築物の建蔽率の算定の基礎となる建築面積に算入しない。
第68条の5の6は、条件に該当する地区計画等の区域内の建築物について、第一号イの地区施設等の下にある部分で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものの建築面積を、建蔽率の算定の基礎となる建築面積に算入しない条文です
建蔽率は、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合で、第53条第1項が用途地域ごとの上限を定めています。
第68条の5の6が適用される部分は、この建築面積の計算から、外されることになります。
対象になる計画は、集落地区計画を除く地区計画等です。
条件は、書き出しの後に第一号と第二号として続いています。
外されるのは、地区施設等の下にある部分のうち、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めたものです。
数値は、あくまで読み方の仮の例です。近隣商業地域で、建蔽率の上限が10分の6、敷地面積が500平方メートルとします。
上限は500平方メートルの10分の6で、建築面積は300平方メートルまでです。
建築面積が350平方メートルで、そのうち認められた部分が60平方メートルなら、算入されるのは290平方メートルで、上限に収まります。

建築面積から外れる部分があるのですね。
その条件は、どこに書いてありますか。

書き出しの条件に、第一号と第二号が続いています。
まず、第一号から確認します。

計画に地盤面の上に配置される通路などの地区施設等と壁面の位置の制限が定められているとなぜ第一号の条件に当たるのか

計画図の板と高架通路の模型のイラスト
第一号は、どんな事項が定められている計画の区域を対象にするかを決めています。
条文を、確認しておきましょう。
(建築基準法第六十八条の五の六)一 地区整備計画等(集落地区整備計画を除く。)が定められている区域のうち、次に掲げる事項が定められている区域であること。
イ その配置が地盤面の上に定められている通路その他の公共空地である地区施設等(第六十八条の四第一号ロに規定する施設、地域歴史的風致法第三十一条第二項第一号に規定する地区施設又は地区防災施設をいう。以下同じ。)
ロ 壁面の位置の制限(イの地区施設等に面する壁面の位置を制限するものを含むものに限る。)
第一号は、地区整備計画等に、イの地盤面の上に配置が定められた地区施設等と、ロの壁面の位置の制限が定められている区域であることを条件にしています
イが挙げるのは、その配置が地盤面の上に定められている、通路その他の公共空地である地区施設等です。
地区施設等とは、第68条の4第1号ロに規定する施設、地域歴史的風致法第31条第2項第1号に規定する地区施設、又は地区防災施設をいいます。
地盤面の上に配置が定められるとは、たとえば建物の上部を通る歩行者用の通路のようなものが、当てはまると考えられます。
ロが挙げるのは、壁面の位置の制限です。
ただし、ロは、イの地区施設等に面する壁面の位置を制限するものを含むものに限られます。
つまり、通路などの配置と、それに面する壁面の位置の制限が、計画にそろって定められていることが、第一号の条件です。

通路だけでなく、壁面の位置の制限も必要なのですね。
第二号は、どんな条件ですか。

第二号は条例の制限です。
ここは条例の対象に注意が要ります。

条例で壁面の位置の制限が定められているとなぜ第二号の条件に当たるのか

市役所と確認用のチェックリストのイラスト
第二号は、条例による制限が定められていることを条件にしています。
条文を、確認しておきましょう。
(建築基準法第六十八条の五の六)二 第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で、前号ロに掲げる事項に関する制限が定められている区域であること。
第二号は、第68条の2第1項の規定に基づく条例で、第一号ロに掲げる壁面の位置の制限に関する制限が定められている区域であることを求めています
第68条の2第1項は、市町村が、地区整備計画等が定められている区域内で、計画の内容として定められた建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項を、条例で制限として定めることができるとしています。
第二号が条例の対象として挙げるのは、ロの壁面の位置の制限です。
イの地区施設等の配置そのものは、条例の制限の対象としては挙げられていません。
つまり、計画に加えて、壁面の位置の制限が条例でも制限として定められていることが、第二号の条件です。

計画だけでなく、条例の制限まで必要になるのですね。
実際に外れるのは、どの部分ですか。

外れるのは、認められた部分だけです。
次の見出しで、地区施設等の下の意味を見ていきます。

地区施設等の下にある部分で特定行政庁が認めたものだけがなぜ建築面積に算入されないのか

高架通路の下に低層の建物が入り込む街角のイラスト
この条文で建築面積から外れるのは、建築物全体ではありません。
対象になる部分を、条文で確認しておきましょう。
(建築基準法第六十八条の五の六)次に掲げる条件に該当する地区計画等(集落地区計画を除く。)の区域内の建築物については、第一号イに掲げる地区施設等の下にある部分で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものの建築面積は、第五十三条第一項及び第二項、第五十七条の五第一項及び第二項、第五十九条第一項、第五十九条の二第一項、第六十条の二第一項、第六十八条の八、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する建築物の建蔽率の算定の基礎となる建築面積に算入しない。
外れるのは、第一号イの地区施設等の下にある部分のうち、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものの建築面積だけです
条文は、建蔽率の算定の基礎となる建築面積に算入しないと書いています。
算入しないのは、第53条第1項及び第2項をはじめ、条文に列挙された規定に規定する建築物の建蔽率の算定です。
建築物のほかの部分の建築面積は、これまでどおり算入されます。
認定を受けなければ、地区施設等の下の部分も、通常どおり建築面積に含めて建蔽率を計算します。
認定の基準の詳細は、条文には書かれていないため、具体的な扱いは特定行政庁に確かめる必要があります。
容積率の特例とは違い、この条文が扱うのは建蔽率の計算だけです。

認定を受けた部分だけが対象なのですね。
全体を、整理したいです。

一覧の表で、比べてみましょう。
あわせて防火管理者の確認事項も見ておきます。

第68条の5の6はなぜ計画と条例と認定の三つをそろえて読む必要があるのか

市役所と書類とチェックリストのイラスト
第68条の5の6を、条件ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
項目条文の書き方押さえる点
特例の中身地区施設等の下にある部分の建築面積は、建蔽率の算定の基礎となる建築面積に算入しない対象は建蔽率の計算です
第一号イその配置が地盤面の上に定められている通路その他の公共空地である地区施設等配置が地盤面の上に定められていることが要ります
第一号ロ壁面の位置の制限(イの地区施設等に面する壁面の位置を制限するものを含むものに限る)イとロがそろって定められている必要があります
第二号第68条の2第1項の条例で、前号ロに掲げる事項に関する制限が定められている条例の対象はロだけです
認定交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと特定行政庁が認める特定行政庁の認定が要ります
第68条の5の6は、計画と条例の制限をそろえたうえで、地区施設等の下にある部分のうち特定行政庁が支障がないと認めたものだけを、建蔽率の算定の建築面積に入れない条文です
前回までの容積率や高さの特例と同じく、この条文も特定行政庁の認定が前提になっています。
建築面積が変わっても、防火管理者の義務は直接変わりませんが、建物の規模の把握には関係します。 これらは建築基準法の建蔽率の話で、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、建物の増築や用途変更の話が出たときには、関係する場面があります。
判断に迷うときは、市区町村の窓口への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
  • 建物のある区域が、地区計画等の区域に当たるかを、市区町村の窓口で確認して記録する。
  • 計画に地区施設等の配置や壁面の位置の制限が定められ、条例でも制限が定められているかを照会しておく。
  • 地区施設等の下の部分について、建築面積に算入しない認定を受けたかどうかを、特定行政庁に確かめておく。
  • 増築などで規模や用途が変わることで、消防用設備等の基準が変わる場合があるため、所轄消防署へ事前に相談する。
  • 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築基準法の特例は、消防法令の基準を緩めるものではありません。
建築の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。

区域の計画と、条例の制限と、認定の有無を、まず確認します。
増築の話が出たら、両方の窓口に相談します。

状況が分かれば、あとの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。

よくある質問

Q第68条の5の6は、何の計算に関する特例ですか?
A地区計画等の区域内で、地区施設等の下にある部分のうち特定行政庁が支障がないと認めるものの建築面積を、建蔽率の算定の建築面積に算入しない特例です。
Q第一号の条件には、何が定められている必要がありますか?
Aイの地盤面の上に配置が定められた通路などの地区施設等と、ロの壁面の位置の制限が定められている区域であることが必要です。
Q条例の制限は、どの事項に必要ですか?
A第68条の2第1項の規定に基づく条例で、第一号ロに掲げる壁面の位置の制限に関する制限が定められている必要があります。
Q建築面積に算入されないのは、建築物のどの部分ですか?
A地区施設等の下にある部分のうち、特定行政庁が支障がないと認めたものだけです。ほかの部分の建築面積は算入されます。

まとめ

✔第68条の5の6は、条件に該当する地区計画等の区域内で、地区施設等の下にある部分のうち特定行政庁が支障がないと認めるものを、建蔽率の算定の建築面積に算入しない条文です。
✔建蔽率は、建築面積の敷地面積に対する割合で、第53条第1項が用途地域ごとの上限を定めています。
✔第一号は、計画にイの地盤面の上に配置が定められた地区施設等と、ロの壁面の位置の制限が定められている区域を求めています。
✔第二号は、第68条の2第1項の規定に基づく条例の制限が、ロの壁面の位置の制限に定められている区域を求めています。
✔算入されないのは、地区施設等の下にある部分のうち、認められた部分の建築面積だけです。
✔この特例も、条文上の要件に加えて、特定行政庁の認定が前提です。
✔これらは建築基準法の建蔽率の話であって、消防法令の基準を緩めるものではありません。防火管理者は、区域の計画と条例の制限を確認して記録します。

区域の計画と、条例の制限と、認定の有無を、確認しておく必要があるんですね。
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区域の計画と条例の制限が分かれば、増築や入居の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第六十八条の五の六・第五十三条・第六十八条の二・第六十八条の四(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。区域の計画と条例の制限の内容は地区計画と条例ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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