危険物施設の変更工事が終わっても、完成検査済証が届くまでは、その部分を使えません。
工期の最後に、この待ち時間が気になる事業所は多いはずです。
消防庁は、平成21年11月20日の消防危第207号で、認定事業所への完成検査済証の交付を、一層迅速にするよう市町村に求めました。
この記事では、通知が挙げた三つの取組事例と、その前提になる法律の決まりを解説します。
完成検査済証は、工事が終わったその日に交付されることもあるのですか。
どんな条件が必要なのでしょうか。
通知は、即日交付に努めるという取組事例を紹介しています。
まず、通知の中身から確かめましょう。
認定事業所でなければ、対象にならないのでしょうか。
はい、通知の宛先は、認定事業所の完成検査です。
条文と合わせて、順に見ていきます。
- 消防庁は、平成21年11月20日の消防危第207号で、認定事業所の完成検査済証の交付を一層迅速にするよう求めました。
- 別紙は、市町村の取組事例を三つ挙げています。即日交付の要件の明確化、ファクスの利用、決裁ルートの簡素化です。
- 即日交付の要件は、前日までの連絡と、当日の午前11時までの申請です。
- ファクスで送られた済証は、事業所が受け取ったその時点から使用を始められると別紙は述べています。
- 通知は助言で、要件や運用は市町村ごとに違うため、所轄の消防本部に確認する必要があります。
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目次
消防庁はなぜ認定事業所の完成検査済証の交付を迅速にするよう求めたのか

まず、その部分を引いて確かめます。
市町村長等が、工事管理を含む保安のための優れた体制を有することが実績からも明らかであると認められる事業所(以下「認定事業所」という。)が行う危険物施設の変更工事について、市町村長等が認定事業所の自主検査結果を活用して、現地に赴かずに完成検査等を実施することができる制度については、「危険物施設の変更工事に係る完成検査等について」(平成11年3月17日付け消防危第22号)により運用をお願いしてきたところです。
この制度の仕組みは、別の記事で解説しています。
この記事では、そのあとの、済証の交付の速さに絞って見ていきます。
まず、通知が挙げる経緯を、時系列で整理します。
| 時期 | 通知が述べる内容 |
|---|---|
| 平成11年3月17日 | 消防危第22号で、認定事業所の自主検査結果を活用する運用を依頼した |
| 平成20年1月28日 | 消防危第16号で、午前中の申請については、即日交付するよう努めることとした |
| 平成21年3月31日 | 閣議決定「規制改革推進のための3か年計画(再改訂)」で、交付の迅速化の推進に一層努めることとされた |
| 平成21年11月20日 | 消防危第207号で、具体的な取組事例の調査結果を、別紙にまとめて送付した |
「規制改革推進のための3か年計画(再改訂)」(平成21年3月31日閣議決定)において、危険物施設の変更工事等に係る完成検査等においては、事業者の負担を軽減するため、市町村等における実態を踏まえながら、安全の確保を前提に、認定事業所における完成検査済証交付の迅速化の推進に一層努めることとされました。
通知の末尾は、この通知が消防組織法第37条に基づく助言だと述べています。
義務を新しく課す文書では、ありません。
次に、別紙の最初の事例を確かめましょう。
規制改革の流れで、迅速化が求められたのですね。
はい、通知は、安全の確保を前提に、迅速化を求めています。
次に、即日交付の要件を見ましょう。
即日交付の要件はどのように明確にされたのか

まず、通知の文面を引いて確かめます。
以下の要件で申請された場合、完成検査済証の即日交付に努めることとした。①認定事業者が完成検査等の申請前日までに当該申請を行う旨の連絡を行うこと。②認定事業者は申請すると連絡した当日の午前11時までに申請手続きを行うこと。
| 要件 | 別紙が示す内容 |
|---|---|
| ①事前の連絡 | 完成検査等の申請の前日までに、申請を行う旨を連絡する |
| ②当日の申請 | 連絡した当日の午前11時までに、申請手続きを行う |
| 市町村側の対応 | 要件を満たした申請には、完成検査済証の即日交付に努める |
前日に連絡があれば、担当者の予定を、あらかじめ空けておけるからです。
午前11時という区切りがあれば、その日のうちの決裁の時間を、確保しやすくなります。
ただし、別紙は、これらの理由を書いていません。
上の説明は、この記事の推測であり、通知の文面ではありません。 「即日交付に努める」は、必ず即日に交付するという意味ではありません。
別紙の文面は、努力を求める書き方です。
別紙は、平成20年の消防危第16号が、午前中の申請について同じ努力を求めていたと、冒頭で述べています。
今回の事例は、その努力の中身を、時刻と手順で具体的にしたものと言えます。
前日の連絡と、午前11時までの申請が、条件なのですね。
はい、別紙の事例では、二つの要件がそろったときです。
次に、ファクスの使い方を見ましょう。
ファクスで送られた済証はどの時点から使えるのか

まず、別紙の文面を引いて確かめます。
完成検査済証の交付に係る手続について、認定事業所から完成検査結果記録のFAX等による送付があれば、内容を確認後、審査合格であれば迅速に完成検査済証(公印を押印したもの)を作成し、同事業所にFAX送付する。FAX送付を受けた事業所は、その時点から使用開始することができる。
| 順番 | 別紙が示す内容 |
|---|---|
| ① | 認定事業所が、完成検査結果記録を、ファクス等で市町村に送る |
| ② | 市町村が、内容を確認し、審査に合格すれば、公印を押した完成検査済証を作る |
| ③ | 市町村が、その済証を、同じ事業所にファクスで送る |
| ④ | 済証のファクスを受け取った事業所は、その時点から使用を始められる |
郵送や窓口での受け取りを待たずに、済証の内容を、その場で確認できるからです。
別紙は、続けて、次のことも述べています。
なお、完成検査結果記録については、検査管理組織等が活用されていることが明らかであるもの(組織内での稟議がされているもの等)であり、後日、完成検査結果記録を提出させ、完成検査済証を交付することとしている。
別紙は、稟議がされているものを、その例に挙げています。
また、この文面から、ファクスによる送付のあとにも、記録の提出と、済証の交付の手続きが続くと読めます。
この後日の手続きの詳しい扱いは、別紙に書かれていないため、所轄の消防本部に確認が必要です。
ファクスを受け取れば、その時点で使ってよいのですね。
はい、別紙の事例では、ファクスを受けた時点から使用できます。
次に、市町村側の手続きを見ましょう。
決裁ルートの明確化と簡素化とは何をすることなのか

まず、別紙の文面を引いて確かめます。
後閲及び代決を活用することや決裁権者への事前説明などを行い、交付手続の迅速化を図っている。
それぞれを、表で整理します。
| 手だて | 一般的な意味と別紙の位置づけ |
|---|---|
| 後閲 | 決裁のあとに、決裁権者が内容を確認すること。一般に、先に事務を進めるための仕組み |
| 代決 | 決裁権者が不在のときに、代わりの者が決裁すること |
| 事前説明 | 決裁権者に、あらかじめ内容を説明しておくこと |
どの手だてを、どの市町村が使っているかは、別紙に示されていません。
別紙は、いくつかの市町村の取組を、まとめて紹介する形です。
自分の市町村が、どの取組を採っているかは、所轄の消防本部に確認してください。
市町村の内部の事務も、速さに関わるのですね。
はい、通知は、市町村の決裁の手順にも、工夫を求めています。
次に、事業所が確かめる点を見ましょう。
完成検査済証の交付前にその部分を使うことはできるのか

まず、消防法の条文で確かめます。
第一項の規定による許可を受けた者は、製造所、貯蔵所若しくは取扱所を設置したとき又は製造所、貯蔵所若しくは取扱所の位置、構造若しくは設備を変更したときは、当該製造所、貯蔵所又は取扱所につき市町村長等が行う完成検査を受け、これらが前条第四項の技術上の基準に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。(略)
完成検査を受けて、基準に適合していると認められる前に、使ってはならないという決まりは、そのままです。
変更工事の一部だけを先に使いたいときは、条文のただし書が、市町村長等の承認による仮使用を定めています。
この仮使用は、別の記事で解説しています。
事業所が確かめる点を、次にまとめます。
- 自分の事業所が、市町村長等の認定を受けた事業所に当たるかを確かめる
- 即日交付の要件が定められているかを、所轄の消防本部に確かめる
- 前日までの連絡と、当日の午前中の申請を、工事の日程に組み込む
- 検査結果の記録を、社内の検査管理の手続きに乗せて、稟議まで済ませておく
- 済証を受け取る前は、その部分を使用しないことを、現場に周知する
別紙は、実際に調査した取組事例をまとめたもので、全国の共通ルールを示すものではありません。
迷ったときは、所轄の消防本部に確認してください。
うちの事業所でも、取組事例に当たるか確かめたいです。
まず、認定の有無と市町村の運用を確かめましょう。
迷ったときは、所轄の消防本部に相談します。
よくある質問
まとめ
認定の有無と市町村の運用を、確かめておきます!
危険物施設の完成検査や許可の相談は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防危第207号「認定事業所における完成検査済証交付の一層の迅速化について」(平成21年11月20日 消防庁危険物保安室長)と別紙
- 消防法(昭和23年法律第186号)第11条第5項 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





