建築基準法に基づいて検定や判定、認定を行う指定機関が、業務の停止を命じられたのに従わなかったら、どうなるのか気になる人は多いのではないでしょうか。
第100条には、機関の役員や職員を罰する規定があります。
今回は第100条・第102条・第104条を中心に、罰せられる人と、罰則が及ぶ場合を解説します。
指定機関が違反したら、機関だけが罰せられるのですか。
第100条などは、役員や職員を罰すると定めています。
この記事では、その中身を確認します。
報告や帳簿の義務にも、罰則はあるのですか。
第102条と第104条に、罰金の定めがあります。
順番に見ていきましょう。
- 第100条は、業務の停止の命令に違反したとき、指定機関の役員や職員を、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金で罰すると定めています。
- 対象は、検定機関、構造計算適合性判定機関、認定機関、性能評価機関などで、命令の根拠は第77条の15第2項などに置かれています。
- 第102条は、第12条第5項に基づく報告をせず、又は虚偽の報告をした指定構造計算適合性判定機関の役員や職員を、100万円以下の罰金で罰すると定めています。
- 第104条は、報告、帳簿、検査、廃止の許可、書類の保存の違反について、役員等を50万円以下の罰金で罰すると定めています。
- どの行為が違反に当たるかの細かい判断は条文に書かれておらず、個別の事案は建築の窓口で確かめます。
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目次
建築基準法第100条は業務停止命令に違反した指定機関の誰を罰するのか

罰せられるのは、機関そのものではなく、その違反行為をした役員や職員です。
検定機関の場合は、役員や職員に、検定委員も含まれます。
判定機関、認定機関、性能評価機関の場合は、法人ならその役員と、職員(判定員、認定員、評価員を含む)が対象です。
この総称が、第104条にも出てくる「指定建築基準適合判定資格者検定機関等の役員等」です。
第100条は、防火管理者にも関係があるのですか。
第100条は指定機関の業務の規定で、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、建築の制度を知るうえで役立ちます。
第100条が対象にする業務停止命令は誰がどの条文で出すのか

(建築基準法第七十七条の三十五の十九第二項(前文))国土交通大臣等は、その指定に係る指定構造計算適合性判定機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて構造計算適合性判定の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
(建築基準法第七十七条の五十一第二項(前文))国土交通大臣は、指定認定機関が次の各号の一に該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて認定等の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
第77条の15第2項は、指定建築基準適合判定資格者検定機関に対する国土交通大臣の命令です。
第77条の35の19第2項は、指定構造計算適合性判定機関に対する国土交通大臣等の命令です。
第77条の51第2項は、指定認定機関に対する国土交通大臣の命令です。
第77条の15第2項は第77条の17の2第2項により構造計算適合判定資格者検定機関に、第77条の51第2項は第77条の56第2項により性能評価機関に、それぞれ準用されています。
なお、指定確認検査機関の停止命令は、第100条には挙げられていません。
停止命令は、違反があると必ず出されるのですか。
条文は、命令を出すことができると定めています。
実際にどう運用されるかは、条文だけでは判断できません。
第102条は報告をしなかった指定構造計算適合性判定機関の誰を罰するのか

(建築基準法第十二条第五項(前文))特定行政庁、建築主事等又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。
(建築基準法第十二条第五項)三 第七十七条の三十五の五第一項の指定構造計算適合性判定機関
第12条第5項の第3号は、報告を求められる相手として、第77条の35の5第1項の指定構造計算適合性判定機関を挙げています。
罰せられるのは、その違反行為をした指定構造計算適合性判定機関(法人の場合は役員)又はその職員(構造計算適合性判定員を含む)です。
この報告を求めるのは、特定行政庁、建築主事等又は建築監視員です。
第104条の報告と、第102条の報告は同じものですか。
求める人と根拠が違います。
第104条は、大臣や知事などが求める報告を扱っています。
第104条は報告や帳簿や検査の違反でどのように役員等を罰するのか

(建築基準法第百四条)一 第七十七条の十三第一項(第七十七条の十七の二第二項において準用する場合を含む。)、第七十七条の三十五の十七第一項又は第七十七条の四十九第一項(第七十七条の五十六第二項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
(建築基準法第百四条)二 第七十七条の十一(第七十七条の十七の二第二項において準用する場合を含む。)、第七十七条の三十五の十四第一項又は第七十七条の四十七第一項(第七十七条の五十六第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
(建築基準法第百四条)三 第七十七条の十三第一項(第七十七条の十七の二第二項において準用する場合を含む。)、第七十七条の三十五の十七第一項又は第七十七条の四十九第一項(第七十七条の五十六第二項において準用する場合を含む。)の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
第1号は、第77条の13第1項などの規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときです。
第2号は、帳簿を備え付けず、記載せず、虚偽の記載をし、又は保存しなかったときです。
第3号は、検査を拒み、妨げ、忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたときです。
第102条は100万円以下、第104条は50万円以下と、罰金の上限が異なります。
第104条の報告を求めるのは、誰なのですか。
第77条の13第1項などは、国土交通大臣や、国土交通大臣等又は委任都道府県知事が求めると定めています。
細かい運用は、建築の窓口で確かめます。
第104条は無許可の廃止や書類の保存の違反でも役員等を罰するのか

(建築基準法第百四条)五 第七十七条の三十五の十四第二項又は第七十七条の四十七第二項(第七十七条の五十六第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
(建築基準法第七十七条の三十五の十八第一項)指定構造計算適合性判定機関は、国土交通大臣等の許可を受けなければ、構造計算適合性判定の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(建築基準法第七十七条の三十五の十四第二項)前項に定めるもののほか、指定構造計算適合性判定機関は、国土交通省令で定めるところにより、構造計算適合性判定の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
第4号の根拠になる第77条の35の18第1項は、判定機関が業務の全部又は一部を休止し、又は廃止するには国土交通大臣等の許可が要ると定めています。
第5号は、第77条の35の14第2項と第77条の47第2項による、業務に関する書類の保存を対象にしています。
ここまでの内容を、条文ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 条文 | 違反の内容 | 罰則 |
|---|---|---|
| 第100条 | 業務の停止の命令に違反 | 役員や職員が、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| 第102条 | 第12条第5項第3号の報告をせず、又は虚偽の報告 | 判定機関の役員や職員が、100万円以下の罰金 |
| 第104条第1号 | 報告をせず、又は虚偽の報告 | 役員等が、50万円以下の罰金 |
| 第104条第2号 | 帳簿の備え付け、記載、保存の違反 | 役員等が、50万円以下の罰金 |
| 第104条第3号・第4号・第5号 | 検査の拒否、無許可の廃止、書類の保存の違反 | 役員等が、50万円以下の罰金 |
防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、どの行為が違反に当たるかは、条文には書かれていません。
建築確認や構造判定などで指定機関と関わるときは、機関にも罰則があることを頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
- 依頼する機関が、指定を受けた機関かどうかを、建築の窓口で確かめる。
- 機関から求められた報告や書類は、正確なものを出す。
- 検査や質問には、拒まずに対応する。
- 機関が業務を休止や廃止するときは、許可の有無を確かめる。
- 消防法令の義務は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
整理はできました。
現場では、何から確かめればよいですか。
まず、相手の機関が指定を受けているかを確認しましょう。
消防法令の義務は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
指定機関の役員や職員にも、罰則があることがよく分かりました。
まず、指定を受けた機関かを確認します!
建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第十二条・第七十七条の十三・第七十七条の十四・第七十七条の十五・第七十七条の三十五の十四・第七十七条の三十五の十八・第七十七条の三十五の十九・第七十七条の四十七・第七十七条の五十一・第百条・第百二条・第百四条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





